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築45年木造戸建てに住む高齢夫妻「税金は後回しに…」数年後、“年金15万円”家計を追い打ちした、恐ろしい結末

  • 2026.2.16
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。現役の不動産会社社長として、日々さまざまな土地や建物のご相談に向き合っている岩井です。

年金生活や家計に余裕がなくなると、税金の支払いを後回しに考えてしまう方もいるかもしれません。その場を乗り切る判断としては、決して珍しいものではないでしょう。

ただし税金は本来、原則として必ず納める義務があるものです。この義務を「少しだけ後回し」にした結果、老後の住まいでは取り返しのつかない事態につながることがあります。

今日は、数万円の税金滞納をきっかけに補助金も使えず、家も売れず、暮らしそのものが行き詰まっていった高齢夫婦の実話をご紹介します。

年金15万円の家計。固定資産税を後回しにし始めた日

これは、知り合いの不動産業者から聞いた話です。地方にある築45年の木造戸建てで、高齢のAさんご夫妻が暮らしていました。

ご夫妻の収入は年金のみで、月の手取りはおよそ15万円。固定資産税は年10万円弱でしたが、元気なうちは特に問題なく支払えていたそうです。

ところが数年前から通院の回数が増え、医療費と薬代で毎月2〜3万円かかるようになりました。そこへ、家電の買い替えや車検といった出費が重なります。家計に余裕がなくなり「税金は少し後で払えばいい」そんな考えが頭をよぎるようになりました。

そんなある日、自宅に督促状が届きます。滞納額は数万円程度でした。しかし、この時点でAさんは、すでに税金を滞納している状態になっていました。

ここから、状況は少しずつ悪い方向へ動き始めます。

雨漏り発生。補助金を頼るも「滞納があると対象外」

固定資産税の支払いに悩んでいた頃、今度は住まいそのものに問題が起きました。台風のあとから、家の中で雨漏りが始まったのです。

最初は天井に小さなシミが出る程度でしたが、被害は少しずつ広がっていきました。

  • 天井に広がるシミ
  • 畳がふわつく和室
  • 浮いてきた壁紙
  • 黒ずみが目立つ柱

業者に見てもらったところ、屋根だけでなく下地まで傷んでいる可能性があるという説明を受けました。出された見積は、屋根と下地の補修で約180万円。さらに、足場費用だけで20〜30万円が必要でした。

年金生活のAさんにとって、到底用意できる金額ではありません。そんなときに知ったのが、自治体の住宅改修補助金でした。

「これが使えれば何とかなるかもしれない」

そう思い、窓口に相談したものの、返ってきた答えは厳しいものでした。

  • 固定資産税の滞納がある場合、補助金は使えない
  • 金額の大小に関係なく、滞納がないことが条件

滞納分をまとめて払える余裕はなく、Aさんは補助制度を使う道を完全に失ってしまいました。

修理も売却もできない。査定額は300万円以上ダウン

補助金は使えず、修理に踏み切ることもできませんでした。雨漏りは止まらず、寝室にはカビのにおいが残るようになります。

湿気と寒暖差の影響で体調を崩す日が増え、通院の回数も増えました。その分、医療費はさらにかさみ、家計は限界に近づいていきます。

「このまま住み続けるのは難しい」

そう考え、不動産会社に売却の相談をして査定を依頼。しかし、結果は厳しいものでした。

老朽化が進み、雨漏りもある状態では建物の評価はほとんど見込めません。査定額はほぼ土地代のみとなり、想定していた金額より300万円以上低い水準だったそうです。

解体して更地にする案も出ましたが、解体費用は150〜200万円ほどかかります。その費用を用意することも、現実的ではありませんでした。

  • 修理したくてもできない
  • 売ろうとしても売れない
  • 住み続けると身体に負担がかかる

こうしてAさんの住まいは、どの選択もできない状態に追い込まれていったのです。

老後の不動産で一番怖いのは「制度が使えない状態」

Aさんご夫妻は今も、雨漏りの不安を抱えながら住まいを変えられずに暮らしています。望んで選んだ生活ではありませんが、ほかに選べる道が残っていないのが現実です。

税金を後回しにしたのは、ほんの軽い判断でした。ところが、その一手がきっかけで、次のような状態に追い込まれてしまいました。

  • 補助制度が使えない
  • 修理に踏み切れない
  • 結果的に理想の金額で売却ができない

税金を滞納すると、本来受けられるはずの補助や支援を自分から手放す形になります。大切なのは、生活が立ち行かなくなってから慌てて動くことではなく「この先、少し危ないかもしれない」と感じた段階で、自治体の窓口や不動産会社などの専門家に相談することです。

それができなかったとき、気づいた頃にはすでに手遅れかもしれません。

 

※補助制度の適用条件は自治体によって異なります。必ずお住まいの自治体窓口にご確認ください



筆者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹

不動産売買の専門家として仲介・査定・買取に携わりながら、不動産Webライターとして1,000記事以上を執筆。「売る力×伝える力」を軸に、情報発信と販売の両面から不動産の価値を高めている。派手さよりも誠実さを大切にし、地域に寄り添う姿勢で「早く・高く・安心」の取引を支える不動産の専門家。


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