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タワマンを8,500万円で購入→入居3年後、離婚を決意も…30代夫婦が2年間も“家庭内別居”を余儀なくされたワケ

  • 2026.3.12
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※ChatGPTにて作成(イメージ)

皆さま、こんにちは。宅地建物取引士の資格を持ち10年以上現場で不動産実務に携わってきた、ライターのT.Sです。

共働き世帯が増える中、借入額を増やして理想の住まいを手に入れるため、ペアローン(夫婦がそれぞれ個別に住宅ローンを組む仕組み)を利用する方は多いのではないでしょうか。しかし人生は何が起こるか分からず、万が一関係が悪化した場合、その家が二人の人生の足かせになるリスクも潜んでいます。

今回はペアローンでタワーマンションを購入した夫婦が、離婚を決意したにもかかわらず家を手放せず、家庭内別居生活を送ることになったエピソードを紹介します。

離婚を決意するも家が売れない!八方塞がりの現実

不動産のプチバブル期だった、2007年の出来事です。都心のタワーマンションを購入した30代のAさん夫婦は、購入価格8,500万円の物件に対し、夫が5,000万円で妻が3,500万円というペアローンを組みました。

購入時は、夫婦仲は円満でしたが、入居から3年後に関係が悪化してしまい離婚を決意します。二人は家を売却して、財産を清算しようと試みました。

しかしリーマン・ショックによる市況悪化の煽りを受け、査定額は7,800万円に下落していました。住宅ローンは返済初期ほど支払いの多くが利息に消えるため、ローンの残債はまだ8,100万円もあり、売却代金で完済できないオーバーローン状態であることが発覚したのです。

売却するには諸費用を含めて約500万円の現金が必要ですが、二人にそれほどの貯蓄はありませんでした。

資金不足で引くに引けない、終わりの見えない家庭内別居

売却を諦めた夫は「俺が家を出るから住み続ければいい」と提案します。しかしペアローンはお互いが連帯保証人になっているため、家を出た夫が支払いを滞納すれば妻も共倒れになるリスクがありました。

かといって妻が夫のローンを引き継ぎ単独名義に借り換えるには、収入が足りず銀行の審査が通りません。逆に妻が出て行くから夫単独のローンにしてほしいと頼んでも、やはり夫一人の年収では借り換え不可でした。

名義をそのままにして別居しようにも、家を出た側は自分名義のローンと新しい家賃などの二重払いになり、家計が破綻することは明白です。「家が売れないから財産分与(夫婦の財産を分けること)ができず、別居するお金もない」という八方塞がりに陥ります。

財産を清算できないため離婚手続きを進められないまま、同じ部屋に住み続ける家庭内別居がスタートしました。顔を合わせないよう生活時間をずらす、重苦しい日々が始まったのです。

購入時に必要な出口戦略とは

精神的に追い詰められる2年間の同居を経て、限界を迎えた妻が自身の親族に泣きつき、残債との差額を援助してもらいました。その結果ようやく売却が成立し、無事に家を手放した二人は、晴れて離婚届を提出できたといいます。

ペアローンは借入額を増やせる便利な仕組みですが「今の二人の収入がずっと続くこと」を前提に、ギリギリまで借入額を膨らませてしまうことが最大のリスクといえるでしょう。

万が一どちらかの収入が減っても対応できるよう、余裕を持った資金計画を立てるか、頭金を多く入れてオーバーローンのリスクを減らしておくことが重要です。銀行の審査が通ったから安全だと過信せず、5年後に売却した際に残債を返せるか試算する出口戦略(将来手放す際の計画)を、購入時から持っておくことをおすすめします。



ライター:T.S(宅地建物取引士)
大学卒業後、大手不動産会社に入社。10年以上にわたり、都心のタワーマンションから郊外の築古戸建てまで、数多くの現場経験を積む。現在は不動産ライターとして「業界の不都合な真実」や、消費者が陥りやすいマネーの罠について、実体験に基づく記事を執筆している。


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