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「ウインカーが左右とも点灯しない」トラックの修理で、同業者からのひと言に元整備アドバイザーあぜん…

  • 2026.3.12
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

みなさま、こんにちは。元自動車整備技術アドバイザーの松尾です。

クルマの修理には経験も大切ですが、それ以上に重要なのが「正確な情報」です。いまや整備工場の多くは、メーカーの整備解説書をオンラインで閲覧できる時代。それでも、目の前のツールを使わずに他人へ頼る場面があるとしたら。ある出来事を通して見えてきた、“調べる姿勢”の大切さについて考えます。

ウインカーが点かないトラックの相談

ある日、小型トラックについて相談を受けました。症状は「ウインカーが左右とも点灯しない」というものです。状況から考えると、まず疑うのはウインカーリレーや電源系統。点検の第一歩は、リレーの位置確認と電圧チェックです。先方からは、「リレーの場所を教えてほしい」との依頼がありました。そこで私は、該当箇所が記載された資料を探し、FAXで送付しました。

この「資料を送る」という作業はほぼすべての電話相談でおこなっていました。業務が落ち着いているタイミングなら、すぐに対応できます。しかし忙しい日には、他の業務が優先となり、どうしても後回しになりがちです。

そのため、少し時間がかかることもあります。その間に催促の電話が入ることもありました。中には怒る人もいました。もちろん、現場が困っていることは理解しています。ただ、こちらも電話対応専門ではありません。複数の案件を同時に抱えながらの対応であることを、ほんの少しでも想像してもらえたら…そう感じた瞬間でした。

契約しているのに使わない理由

実はその整備工場、メーカーの整備解説書を閲覧できる有料サイトに契約していました。月額費用を払い、公式資料にアクセスできる環境が整っているのです。

そこで私は、「こちらも時間がかかる場合がありますので、お急ぎでしたら契約サイトで確認されてはいかがでしょうか」とお伝えしました。

返ってきたのは、「そんな暇はない」という言葉でした。

その一言の裏には、人手不足や目の前の作業に追われる切迫した状況があったのかもしれません。しかし、正直なところ、少し複雑な気持ちになりました。契約しているツールがあり、公式の情報にアクセスできるのに、それを使わない。そして、返答が遅いと不満をぶつける。

今はスマートフォン一つで多くの情報に触れられる時代です。ましてや公式資料が閲覧できる環境なら、検索すれば数分でたどり着ける可能性も高い。それでも「調べる時間がない」という理由で、他人に依存してしまう。これは整備の世界に限らず、私たちの日常にも潜んでいる姿勢かもしれません。

道具よりも大切なのは“使う姿勢”

今回の出来事を通じて強く感じたのは、「道具があるかどうか」よりも、「道具を使う姿勢」の重要性でした。どれだけ便利なツールが身近にあっても、活用しなければ意味はありません。逆に言えば、特別な才能や経験がなくても、手元の情報を丁寧に調べるだけで、問題解決の精度は大きく上がります。

クルマのトラブルでも同じです。警告灯が点いたとき、すぐに不安になるのではなく、まずは取扱説明書を開いてみる。メーカーの公式サイトを確認してみる。ほんの数分の行動が、不要な出費や時間のロスを防いでくれることもあります。

忙しい毎日の中で、「そんな暇はない」と言いたくなる気持ちは誰にでもあります。しかし、そのひと手間こそが、結果的に一番の近道になることも少なくありません。便利なツールがあふれている今の時代。だからこそ、それをどう使うかが問われています。

仕事でも、クルマとの付き合い方でも、そして日常生活でも。まずは手元にある道具を活用する。その小さな習慣が、大きな差を生むのかもしれません。


筆者:松尾佑人(二級ガソリン・ジーゼル自動車整備士資格保有)
新卒で自動車整備業界に入り約8年、メーカーを問わず現役メカニック向けに故障診断アドバイザーや各種講習の講師として活動。年間約1,200件の技術相談に対応し、電気回路や配線図の読解を基盤とした電子制御システムの解説を得意とする。現在は自動車専門ライターとして、トラブル診断や構造解説、DIY整備まで幅広く分かりやすく発信している。


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