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『壁の黒い点』を放置しただけで100万円→築18年目、建築士の診断に絶句…50代夫妻を襲った“落とし穴”

  • 2026.3.11
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。二級建築士・インテリアコーディネーターの桐野由衣です。

戸建住宅のメンテナンスは、快適性や安全性を守り、資産価値を落とさないことにもつながります。しかし、集合住宅とは違って、所有者自身が計画を立てて実施しなければいけません。

「見た目はそう変わらないから」「節約したいから」といった理由でメンテナンスを後回しにした結果、通常のメンテナンス費用を大きく上回る出費につながってしまうことがあります。

今回は、ある事例を通してメンテナンスの重要性をお伝えします。

はじまりは壁にできた小さな黒い点

18年前に念願のマイホームを新築し、共働き世帯として忙しいながらも充実した毎日を過ごしていた50代後半のAさんご夫婦。

施工会社の保証が受けられる期限となった築10年の節目を迎えても大きなトラブルはなかったため、水まわりの小さな修理以外のメンテナンスをしないままでいました。

やがて成長した2人の子どもは大学進学を機に家を出て、2つの子ども部屋は空き部屋状態に。誰も使わないため、週末に時々窓を開けて風を通す以外はほとんど締め切ったまま放置という状態を5年ほど続けていたある日、Aさんは1つの子ども部屋の北側壁面に小さな黒い点を見つけました。

洗剤を使って掃除するときれいに取れたため、Aさんは「最近掃除していなかったから汚れが浮いて出てきたのかも、でも取れたから大丈夫だろう」と思ったそうです。しかしそれ以来、黒い点は繰り返し発生するようになり、もう1室にも出始めただけでなく、広がるスピードが速くなってきたのでした。

黒い点の正体・カビがもたらしたもの

最初は汚れかと思っていた黒い点が広がり始め、壁紙の変色が進んできたのを見て、カビではないかと疑い始めたAさんは、カビ取り剤を使って何度か掃除をしました。しかしきれいになるどころか壁紙の継ぎ目が浮いてくるようになったため、壁紙の張り替えが必要と判断したAさんは、リフォームをすることにしました。

建築した施工会社はすでに廃業していて連絡が取れないため、ネットで見つけた近所の施工会社に調査を依頼。壁の一部を解体して調べてもらったところ、「壁の中が結露してますね。下地の石膏ボードや断熱材にもカビが広がっているので全交換が必要です」と言われてしまったそうです。

調査時の写真を見せてもらうと、石膏ボードや断熱材がカビの繁殖によってグレーに変色した部分がたくさんあり、壁紙の張り替えだけでは解決できない状態まで悪化していました。

窓を開けて換気する回数が少ないのに加えて、2室とも家の北側に位置し、隣家との距離が近いことで風の通りがよくないという条件も、カビの繁殖に拍車をかけていたようです。現場調査では、北面以外の壁面にもカビが侵入しつつある状態でした。

全面的な壁リフォームで大幅な出費に

カビは胞子の飛散によって住む人の健康被害を生む可能性もあるため、急いでリフォームをすることになりました。2室の石膏ボードや断熱材は全面撤去・交換のうえ、消毒作業と壁紙張り替えという大がかりな内容に。

結露防止の目的で内窓の設置も加えたため、リフォーム費用の合計は1室あたり40万円強、諸費用を含めて2室で100万円近くになってしまいました。Aさんは「最初にカビを見つけた時になぜ放置してしまったのか」と後悔しています。

定期的なメンテナンス計画を立てて実行することが一番の節約

Aさんの場合、最初にカビに気づいた時点で調査を依頼していれば、クリーニングと防カビ処理で済んだかもしれません。この作業内容なら1室10万円前後で対応できたでしょう。もう少し進行していて壁紙の張り替えを加えたとしても、1室20万円弱におさまった可能性が高いのではないでしょうか。

周辺環境や入居後の日頃のメンテナンスなどの状況にもよりますが、一般的に築10年を超えるとトラブルが増えてきます。Aさんのように使わない部屋ができると、その部屋の環境が急速に悪化するので劣化が加速しやすいです。

見た目が変わっていないように見えても、住宅の劣化は築年数分だけ確実に進んでいます。新築時にメンテナンス計画をしっかり立てて、こまめにメンテナンスや調査をしましょう。「大きなトラブルが起きないうちに行う」、これがメンテナンス費用を抑えるコツです。

不安を抱えることなく快適な生活を続けるために、特に屋根や壁、基礎、床下など家全体を支える構造部分は重点的なチェックを忘れずに。


ライター:桐野由衣
住宅設備メーカーや住宅コンサルタント会社、大手リノベーション設計会社にて新築分譲マンションの設計変更、戸建住宅・オフィス・医療施設等の設計およびインテリアコーディネートに携わる。
建築関連分野の記事執筆・校正校閲・監修業務、企業研修講師、インテリアコーディネーター資格対策テキスト監修、工務店の施工事例集ディレクションなどの実績も多数。


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