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「固定資産税もかからないしお得」新築に作った“空間”が「60℃のサウナ」に…30代夫婦を襲った大誤算【一級建築士は見た】

  • 2026.3.13
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「普段使わないものをしまっておけるし、固定資産税の対象にもなりにくいからお得ですよね」

そう語ってくれたのは、念願のマイホームを建てたばかりのDさん夫婦(30代)です。

確かに、屋根の下の余った空間を活用する屋根裏収納は、面積効率を最大化できる素晴らしいアイデアに思えます。ところが、その「お得な空間」が、夏を迎えた瞬間に家族を悩ませる場所に変わることがあります。

夏場は60℃近い「サウナ状態」に

屋根裏は、家の中で最も太陽に近い場所です。屋根が受けた太陽の熱は、輻射熱となって屋根裏に溜まり続けます。

・家電や精密機器の劣化:
夏場の屋根裏は、室温が50℃から60℃に達することも珍しくありません。扇風機や古いパソコンなどの家電を保管しておくと、熱によってプラスチックが変形したり、基板が傷んだりする原因になります。

・思い出の品の危機:
最も注意が必要なのが、雛人形や五月人形といった繊細な品物です。高温多湿な環境は、着物の変色や接着剤の剥がれ、さらにはカビの発生を招きます。「大切なものだから」と屋根裏にしまったはずが、数年後に取り出したときには台無しになっていたという大誤算は、実はよくある話なのです。

重い荷物とハシゴの「危険な関係」

屋根裏へのアクセスが「折りたたみ式のハシゴ」である場合、そこには物理的なハードルが立ちはだかります。

・両手が塞がるリスク:
扇風機や重い衣装ケースを抱えながら、垂直に近いハシゴを上り下りするのは、想像以上に危険を伴います。バランスを崩せば大きな事故に繋がりかねません。

・「出し入れが面倒」という心理的障壁:
最初は張り切って収納していても、あまりの暑さとアクセスの悪さに、次第に「あそこにあるものを出すのは諦めよう」という心理が働きます。結果として、何が入っているのか分からない「開かずの間」になってしまうのです。

建築士が教える「失敗しない屋根裏」の条件

もし屋根裏を有効活用したいのであれば、以下の3つのポイントを検討してみてください。

1.断熱と換気の強化:
屋根のすぐ下に断熱材をしっかりと入れ、換気扇を設置して熱気を逃がす工夫をするだけでも、室温の上昇を抑えられます。

2.「固定階段」の検討:
ハシゴではなく固定の階段にすることで、荷物の運び出しが劇的に楽になり、安全性も向上します。ただし、自治体によっては固定階段を設置すると床面積に算入され、固定資産税の対象となる場合があるため、設計時の確認が必要です。

3.入れるものを厳選する:
屋根裏はあくまで「熱や湿気に強いもの」を置く場所と割り切り、大切な思い出の品は、空調の効く室内クローゼットに保管することをおすすめします。

収納は「出し入れ」まで含めて設計する

屋根裏収納は、決して悪い設備ではありません。しかし、その「環境」と「使い勝手」を無視した設計は、暮らしのストレスを生む原因になります。

「スペースがあるから作る」のではなく、「そこで何を保管し、誰がどのように出し入れするのか」。一歩引いた視点でシミュレーションすることが、後悔しない家づくりへの第一歩となるはずです。


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
地方自治体で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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