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パンクしていないのに…自分で冬用タイヤから履き替えた直後、オーナーを襲った“大誤算”

  • 2026.2.17
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出典元:PIXTA(画像はイメージです)

みなさま、こんにちは。元自動車整備技術アドバイザーの松尾です。クルマに乗っていると、突然メーターに見慣れない警告灯が点灯して、不安になった経験はありませんか?

ある日、「冬用タイヤ・ホイールから純正のタイヤ・ホイールに履き替えたら、タイヤ空気圧警告灯が点灯して消えない」という相談を受けました。

今回は、タイヤの履き替えをきっかけに起きたエピソードとともに、タイヤ空気圧警報システムについて分かりやすくご紹介します。

純正に替えたら警告灯が点灯

ある日、「純正のタイヤ・ホイールに交換してリセットもしたのに、警告灯が消えないんです」という相談を受けました。

オーナー様は冬用タイヤから夏用タイヤへ履き替え、取扱説明書に沿ってタイヤ空気圧警報システムのリセット操作も実施。それでも走行後に警告灯は消えず、空気圧を確認しても異常なし。パンクもしていません。

「空気圧は正常なのに、なぜ警告灯が?」

この症状、実は最近のクルマでは珍しくありません。原因はタイヤではなく、「システム側の認識」にあることが多いのです。

タイヤ空気圧警報システムとは?

タイヤ空気圧警報システムは、走行中にタイヤの空気圧を監視し、異常があるとメーター内の警告灯でドライバーに知らせる安全装置です。空気圧の低下は燃費悪化や偏摩耗(タイヤが部分的に摩耗する現象)、最悪の場合はバーストにつながるため、それを未然に防ぐ重要な役割を担っています。

高級セダンや輸入車、ランフラットタイヤ(パンクしても所定のスピードで一定距離走行できるタイヤ)装着車に多く採用されており、最近ではトラックなど商用車にも広がっています。

このシステムには大きく分けて2種類あります。

1. 回転速度から空気圧を判断するタイプ(間接式)

車輪速センサー(タイヤの回転速度を見ているセンサー)を利用し、タイヤ4輪それぞれの回転速度差から空気圧の異常を検知する方式です。

タイヤは空気圧が下がると外径が小さくなり、同じ速度でも回転数が増えます。この変化をコンピューターが検知し、異常と判断すると警告灯を点灯させます。

構造がシンプルでコストが低いのが特徴ですが、実際の空気圧数値は分からず、4輪同時に空気圧が低下すると検知しにくいという弱点もあります。

2. センサーで直接測定するタイプ(直接式)

タイヤの空気圧バルブ部分にセンサーが組み込まれており、空気圧や温度を直接測定して車両へ無線送信します。精度が高く、車種によってはメーター内に空気圧数値が表示されることもあります。

誰でもできる作業…のはずが落とし穴

タイヤローテーション(タイヤの位置を入れ替える作業)やタイヤ交換は、ジャッキと工具があれば個人でも可能な作業です。しかし、直接式のシステム装着車では注意が必要です。

タイヤ内部のセンサーにはそれぞれ固有のIDがあり、車両側は「どのIDがどの位置にあるか」を記憶しています。ところが、タイヤローテーションや履き替えを行うとセンサーの位置関係が変わり、正しく認識できなくなることがあります。

その結果、空気圧が正常でも警告灯が消えないという現象が起きるのです。今回のケースもこれが原因でした。

ID登録が必要になる主な作業

次の作業を行った場合は、車種によりますが、センサーIDの再登録が必要になることがあります。

・タイヤ空気圧センサーを交換したとき
・タイヤローテーションを行ったとき
・タイヤ空気圧警報システムのECUを交換したとき

この登録作業は、基本的に専用の車両診断機を使用して行います。

メーカーごとに方法が違う

ここで注意したいのが、メーカーや車種によって登録方法が異なる点です。

スキャンツールだけで完了する車もあれば、メーカー専用ツールが別途必要な場合もあります。リセット操作だけでは解決しないケースもあるため、作業前に確認が必要です。

警告灯=必ずしもパンクではない

今回の車両も、専用ツールでセンサーIDを再登録したところ警告灯は正常に消灯。タイヤにも車両にも異常はありませんでした。

タイヤ空気圧警告灯は「空気圧低下」だけでなく、システムの認識ズレでも点灯します。むやみに空気を入れるだけでは解決しないこともあるのです。

知っているだけで防げるトラブル

タイヤ交換やローテーションは身近なメンテナンスですが、システム装着車では電子制御も関係してきます。

警告灯が点いたときは、空気圧だけでなく「システムの状態」も疑ってみることが大切です。小さな知識の積み重ねが大きなトラブル防止につながります。

タイヤ交換の際は、空気圧とあわせて「センサーの存在」も思い出してみてください。それだけで、不要な警告灯トラブルを避けられるかもしれません。


筆者:松尾佑人(二級ガソリン・ジーゼル自動車整備士資格保有)
新卒で自動車整備業界に入り、約8年にわたり技術分野に従事。メーカーを問わず、主に現役メカニック向けの自動車整備・故障診断アドバイザーとして活動し、新機構研修、故障診断勉強会、検査員教習、自動車整備士資格講習の講師を歴任。年間約1,200件の技術相談に対応し、電気回路の理解や配線図の読解を基盤に、電子制御システムの解説を得意とする。
現在は自動車専門ライターとして、トラブル診断、車両構造・電子制御の解説、DIYによる整備・カスタムなど幅広い分野で執筆。専門性の高い内容を一般ユーザーにも分かりやすく伝える実践的な解説に定評がある。自身でも日常的にマイカーの整備・改造を行っており、ユーザー目線に立ったリアルな情報発信を行っている。


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