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フライト中、誰かが通るたびに“何かを隠す”女性。「ドリンクもう一杯いかがですか?」とCAが声をかけると…到着後渡された“感謝の手紙”

  • 2026.2.27
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。大手航空会社で10年間、CAとして勤務しておりましたSAKURAです。

飛行機には、さまざまな背景を抱えたお客様がいらっしゃいます。

中には、言葉にはされないけれど、胸の内に「大切な想い」を秘めている方もいらっしゃいます。

そんな時、私たちCAに求められるのは「察する力」と、踏み込みすぎない「一歩引いたおもてなし」です。

今回は、機内でのある女性との出会いから、お客様の大切な世界を尊重する「心地よい距離感」を見つめ直してみたいと思います。

あえて言葉にしないことで通じ合う心、そしてお客様が大切にしている世界をそのまま尊重する大切さについて、私の実体験からお伝えしたいと思います。 

落ち着かない様子の女性が、手にしていたもの

それは、平日の、観光地へ向かう国内線での出来事でした。

空席が多くゆったりとした機内で、一人の女性が搭乗中からどこか落ち着かない様子でした。

私たちCAは、お客様の安全を守る保安要員であると同時に、皆様が快適に過ごせるよう常に機内全体に気を配っております。その中で、何かお困りのご様子ではないかと、一人の女性のことが自然と心に掛かりました。

何かを出しては、誰かが通るたびに隠す女性。

気付かれないよう見守っていると、女性が手にしていたのは、小さな男の子の写真が入った写真立てでした。

時折、その写真に優しく話しかけ、愛おしそうに抱えていらっしゃったのです。

確信した「二人旅」と、伝えた一言

女性の様子を拝見し、もしかしたらこのご旅行は、写真の中の男の子とご一緒の『二人旅』なのではないか。私はそう強く感じ、胸が熱くなりました。

同時に、保安要員としての視線とはいえ、お客様が隠そうとしていた大切な世界を覗き見てしまったような、申し訳ない気持ちも込み上げてきました。

私は、女性の想いを尊重しつつ寄り添える方法はないかと考え、お飲み物を提供する際にこう声を掛けました。

「よろしければ、もう一杯いかがですか? 」

女性は、一瞬驚いた様子でしたが「……では、ジュースを。ありがとうございます」と、はにかむように答えると、隠していた写真立てを出し、ジュースの後ろ側に置かれたのです。

そして降り際、私は女性から小さな手紙を渡されました。

そこには「息子と旅行がしたかったので、二人で過ごせているようで嬉しかった」と、お礼の言葉と共に書かれていました。

一歩引いた言葉選びの重要性

お二人の、詳しい背景は分かりません。

繊細なことだからこそ、何もしないことも正解なのだと思います。

けれど「二人で」旅行へ行くことを選んだ女性にとって、思い出に残るひとときとなってほしい。女性が大切にしている世界を壊さずに、お手伝いできることはないか。

そう考えて掛けた言葉が「もう一杯いかがですか?」という一言でした。

もし想像と違っていたとしても、そっとしておいてほしい場合でも「おかわり」として受け流すことができる言葉です。

捉え方に「余白」を残すことは、お客様へ負担をかけないことへの配慮でもあるのです。

「会話」以上の信頼を築くために

今回、特別な会話を交わしたわけではありませんでしたが、踏み込みすぎずとも突き放さない「言葉の余白」があったからこそ、心で通じ合うことができたのだと感じています。

お客様が大切にされている世界を壊さず「尊重」する距離感は、一歩引いた言葉選びから生まれるのかもしれません。

そこには、会話を交わす以上の温かな瞬間があるはずです。


ライター:SAKURA * 心を読む元国際線CA

日系大手航空会社にて10年間、客室乗務員(CA)として勤務。国内線・国際線を経験し、多種多様なお客様と接する中で「感情を読み解く力」を磨く。客室責任者としてVIP対応や後輩育成に携わる傍ら、社内の人材教育やグループ会社での業務にも携わり、多角的な視点から接客のあり方を見つめてきた。

現在は、その鋭い洞察力を活かし、言葉だけでない、「心理的・物理的アプローチによるクレーム回避術」を発信するライターとして活動中。国内線での細やかな気配りから国際線での難しい状況判断まで、現場での実体験に基づいた「心に届く接客のヒント」を言語化し、接客業にとどまらず、人と人とがよりよい関係を築けるサポートをしている。


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