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患者「夏場は心配だから全部冷蔵庫に…」良かれと思って工夫する60代女性。薬剤師が「かえってダメにする場合もある」と指摘した“意外な盲点”

  • 2026.6.14
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出典:photoAC ※画像はイメージです。

湿度が高くなる梅雨や夏の時期、「薬は冷蔵庫に入れておけば安心」と考える方は少なくありません。

しかし、良かれと思った保管方法が、かえって薬の品質を損ねてしまうこともあります。本記事では、薬局で実際に伺った保管にまつわるエピソードをもとに、見落とされがちな注意点をご紹介します。

冷蔵保存の落とし穴や、季節特有のうっかりミス、そして迷ったときに頼れる相談先について整理しました。日々のちょっとした工夫が、薬を本来の力で働かせるための大切な一歩になります。

「冷蔵庫に入れておけば安心」という思い込み

湿気や暑さが気になる季節、つい冷蔵庫に薬をしまいたくなりますが、実はすべての薬に冷蔵保存が向いているわけではありません。

よかれと思った行動が、薬の効き目を弱めてしまうこともあるのです。

冷蔵保存に向かない薬もあるという事実

60代の女性が「夏場は心配だから全部冷蔵庫に入れている」とお話しくださったことがありました。

確かに一部の点眼薬やシロップ剤などは冷所保存が指示されていますが、多くの内服薬は「室温保存」が基本です。

冷蔵庫の中は想像以上に乾燥していたり、逆に庫内の場所によっては湿度が高かったりと環境が一定ではありません。薬の説明書や薬袋には「室温」「冷所」など保管条件が明記されていますので、まずはそこを確認していただくのが安心です。

取り出すたびの結露が劣化を招くことも

冷たい場所から常温に出すと、容器の表面や錠剤に水滴がつくことがあります。これが繰り返されると、薬がしっとりと湿気を帯び、変色したり崩れやすくなったりすることも。

特にPTPシートから出した状態の錠剤や、開封済みのカプセル剤は影響を受けやすい傾向があります。出し入れの頻度が多いものほど、結露によるダメージを受けやすい点は意識しておきたいところです。

高温多湿の季節にやりがちな保管ミス

梅雨から夏にかけては、室内外を問わず温度や湿度が大きく変動します。普段は気にならない場所も、この時期だけは要注意ということがあります。

車のダッシュボードや窓際の置きっぱなし

50代の男性から「出かけ先で飲もうと思って車に置いていた薬が、なんだか変色していた」とご相談を受けたことがありました。

夏場の車内は驚くほど高温になり、ダッシュボード付近は60℃を超えることもあります。これは薬にとって過酷な環境です。

また、自宅でも直射日光が当たる窓際や、火を使うキッチン付近は温度が上がりやすく、保管には不向き。「忘れないように目につく場所へ」というお気持ちはよくわかりますが、光と熱を避けた引き出しの中などに置き場所を決めておくと安心です。

「一包化した薬」を湿気の多い場所へ

飲み忘れ防止のために複数の薬をひとつの袋にまとめる「一包化」は便利な仕組みですが、PTPシートから出された状態のため、湿気の影響を受けやすくなります。

洗面所の棚やキッチンのシンク下など水回りに近い場所は、想像以上に湿度が高いもの。

一包化された薬は、できれば乾燥した冷暗所で、防湿剤と一緒に保管していただくと品質を保ちやすくなります。

読者へのワンポイントアドバイス

薬の保管は、難しく考えすぎる必要はありません。ただ「いつもの場所が本当に適切か」を一度見直していただくだけでも、リスクはぐっと減らせます。

保管に迷ったら遠慮なく薬局へひと声を

「この薬は冷蔵庫に入れたほうがいい?」「旅行に持っていくときはどうすれば?」といった疑問は、どんな小さなことでも薬局でお尋ねいただけます。

薬ごとに適した保管方法は異なりますし、季節や生活スタイルによっても工夫の仕方は変わります。

お薬手帳を見せていただければ、より具体的なアドバイスもしやすくなります。普段の何気ない置き場所が、実は薬の効果を左右していることもあります。

気になることがあれば、処方を受け取るタイミングでぜひひと声おかけください。安心して薬を続けるための、ちょっとした習慣づくりのお手伝いができれば嬉しく思います。


ライター:下田篤男

京都大学薬学部総合薬学科を卒業後、調剤薬局やドラッグストアグループで薬剤師として勤務してきました。総合病院の門前店舗では管理薬剤師を務め、たくさんの患者さんと向き合う日々の中で、「薬を渡す」だけではない、人と人との関わりの大切さを実感しています。現在は薬剤師として現場に立ちながら、医療記事の執筆・編集や薬局経営コンサルタントとしても活動中。読者の皆さまに、薬局がもっと身近で頼れる場所になるような情報をお届けしていきたいと思っています。


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