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遠足当日の朝に“骨折連絡”…保護者「車いすで連れて行けますよね?」安全のため厳しいと伝えるも…保護者が30分納得しなかったワケ

  • 2026.6.15
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出典:photoAC ※画像はイメージです。

こんにちは。元小学校教員ライターの、みずいろ文具です。

遠足は、子どもたちにとって楽しみな行事の一つです。

一方で、教員にとって遠足は、神経を使う行事でもあります。

学校の外へ出るということは、交通安全、熱中症などの体調不良、行方不明、けがなど、さまざまなリスクに備えなければなりません。

今回は、遠足当日の朝に起きた、今でも印象に残っている出来事をご紹介します。

学年をまたいだ全校遠足

以前勤務していた学校では、学年をまたいだグループで全校遠足がありました。

行き先は、学校から片道4キロ程の距離にある大きな公園です。

1年生と6年生、2年生と4年生、3年生と5年生というように、ペア学年でグループを組んで歩いて行くことになっていました。

上級生が下級生を見守りながら歩くので、異学年交流としてはとてもよい機会です。

学年が混じる分、担任は下見をしたうえで必要事項を細かく確認していました。

グループ名簿。
どのルートで歩くのか。
配慮が必要な子には、どの教員や支援員がつくのか。

遠足当日に子どもたちが楽しく過ごせるよう、職員会議では名簿や隊列、見守り体制を確認していました。

当日の朝に入った一本の電話

ところが、遠足当日の朝。

5年生のGさんの保護者から、担任に電話が入りました。

前日の放課後、公園の遊具から落ちて右足を骨折してしまったというのです。
その日から松葉づえで登校することになった、という連絡でした。

「これは、遠足は厳しいな…」

担任は、そう感じていたと言います。

ところが、保護者の方からは、思いがけない要望がありました。

「急に仕事を休めません」
学校の車いすに乗せれば連れて行けますよね?

子どもの急な休みは、働く親にとって苦慮する出来事なのは理解できます。

しかし、車いすで遠足に向かうというのは、簡単なことではありません。

車いすはあるが…

急に体調が悪くなった子を移動させたり、けがをした子を保健室へ連れて行ったりするために、車いすが用意されている学校は少なくありません。

しかし、車いすがあるからといって、校外学習に使用できるかは別問題です。

遠足では、担任は自分の学級の児童全体を見守らなければなりません。
支援員も、配慮が必要な児童の対応に入る予定でした。

Gさんの車いすを押しながら、安全に公園まで移動し、活動中もずっとそばで見守り、帰り道まで対応できる人員がいなかったのです。

万が一、移動中に転倒したり、痛みが強くなったりした場合、責任をもって安全を確保できる状況ではありませんでした。

参加させたい気持ちはあるけれど

もちろん、Gさんを参加させたくなかったわけではありません。

遠足に行けなくなるのは、本人にとっても残念な出来事でしょう。

ただ、今回のけがは前日の放課後に起きたもので、遠足当日の朝に連絡が入った状況でした。
人員配置や移動方法を改めて組み直す時間は、もうありません。

担任は、参加させたい気持ちはあるが、
安全面を考えると車いすで連れて行くのは難しいことを、保護者に丁寧に説明しました。

しかし、保護者の方にはなかなか納得してもらえず、通話は30分ほど続きました

仕事を休めない事情があり、家庭側も追い詰められていたのかもしれません。

それでも学校としては、「安全に責任を持てないまま連れて行く」という判断はできませんでした。

校外行事でのリスク

遠足のような校外行事では、教室の中とは違うリスクがあります。

子どもたちを安全に連れて行くためには、入念な準備や人手が必要です。

遠足の季節になると、公園へ下見に行き、隊列を考え、当日の天気や子どもたちの体調に気を配っていた日々を思い出します。

楽しい行事の裏側には、子どもたちを無事に学校へ帰すために、先生たちが必死に考え、準備する時間があるのです。

学校と家庭、それぞれに事情はあります。
しかし、だからといって安全をおろそかにすることはできません。

子どもの安心と安全が何より大切。そう当たり前に思える社会であってほしいと、今も切に思っています。



ライター:みずいろ文具

関東の公立小学校で15年間、子どもたちと向き合ってきました。教室での日々を通して感じた喜びや戸惑い、子どもたちから教わったことを、今は言葉にしています。教育現場のリアルや、子どもたちの小さな成長の瞬間を、やさしい視点でお届けします。


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