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「これで老後は大丈夫」退職金2,000万円で“新車を購入”した60歳夫婦→10年後、二人を襲った“想定外の大誤算”【お金のプロは見た】

  • 2026.3.1
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

長年勤めて受け取る退職金は、老後を支える大切な資金です。退職金を受け取れば老後の生活は安泰と考える人も多いでしょう。しかし、退職金に頼った生活をしてしまうと、老後の家計は静かに崩れていきます。

今回ご紹介するのは、60歳で退職金2,000万円を受け取ったAさん(仮名)夫婦のケースです。

「老後は安心」のはずだった退職金2,000万円

60歳で定年退職を迎えたAさんは、退職金として2,000万円を受け取りました。

住宅ローンは完済済み。子どももすでに独立しています。現役時代の世帯年収は約800万円。外食や年1~2回の旅行も楽しめる、安定した暮らしでした。

「これで老後は大丈夫だろう」

そう考えるのは自然なことだったのかもしれません。退職後もしばらくは、それまで通りの生活を続けることにしました。

さらに、「これが最後の車」と新車を購入。

古い車に乗っていた息子夫婦にも車を買い替えてあげました。退職金というまとまった資金が、心に余裕を与えていたのです。

静かに家計を蝕む収支のズレ

定年後、Aさんは再雇用として働き続けましたが、手取りは月20万円ほどに減少しました。一方、夫婦の生活費は月30万円前後。毎月10万円の赤字です。

年間では120万円。退職金から補填すれば問題ないと感じていました。

しかし、その赤字は毎月確実に積み重なります。

退職金は、ある日突然ゼロになるわけではありません。通帳を見るたびに残高が減っていく現実を感じながらも、「まだ1,000万円以上ある」「もう少し働ける」と自分に言い聞かせてきました。

物価と医療費が広げた想定外の支出

やがて物価の上昇により食費や光熱費が増加。通院回数も増え、医療費の負担も重くなりました。

家電の買い替え、冠婚葬祭、親族への支援。単発の支出が重なるたびに、退職金は着実に減っていきます。特別な浪費をしたわけではありません。それでも、収入に対して支出が多い状態が続けば、資産は減少していきます。

「気づいた時には、どうすればいいのかわかりませんでした」

Aさんはそう振り返ります。退職時に生活を収入水準に合わせて見直さなかったことが、後々大きな影響を及ぼしました。

10年後、口座残高が示した現実

定年から10年。70歳になった頃、退職金はほとんど残っていませんでした。車を手放し、旅行も取りやめます。それでも将来への不安は拭えません。

老後破産は、突発的に訪れるものではありません。毎月の赤字と、「まだ大丈夫」という感覚の積み重ねが、家計を静かに圧迫していきます。

退職金は余裕資金ではなく、老後を支える原資です。退職前から生活水準を収入に合わせて見直し、長期的なライフプランを立てることが、老後の安心につながるでしょう。


監修者:中川 佳人(なかがわ よしと)(@YoshitoFinance

金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。 20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。 専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。


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