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雪道後の「謎の白い汚れ」を放置すると…数年後、“高額な修理費”に愕然!?クルマのプロが教える“落とし穴”

  • 2026.2.17

 

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出典元:PIXTA(画像はイメージです)

あの白い汚れの正体は、道路に撒かれた融雪剤が雪と混ざり合った、強力な「塩水」なんです。洗車機でボディはピカピカになっても、実は見えない下回りでは、残った塩分が鉄を蝕む化学反応を密かに加速させています。

なぜ水、塩水だと急激に錆びるのか。その科学的な理由を紐解き、愛車を守るための「あとひと手間」のケアを解説します。

雪道後の「謎のサビ」…犯人は“見えない塩水”かもしれません

久しぶりの休日、スキーや温泉旅行を満喫してリフレッシュ。心地よい疲れとともに自宅へ戻り、愛車を降りたとき、ふと現実に戻される瞬間があります。それは、ドアの下やタイヤ周りにびっしりと付着した、あの頑固そうな「白い汚れ」を目にしたときです。

「早くきれいにしてあげたい」。そう思ってガソリンスタンドへ直行し、洗車機へ。高圧のシャワーとブラシでボディが輝きを取り戻すと、ようやく旅の締めくくりができたようでホッと一息つけるものです。

しかし、一見ピカピカになったその愛車には、まだ見落としがちな「盲点」が潜んでいます。ボディの表面はきれいになっても、普段はのぞき込むことのない「クルマのお腹」、つまり下回りでは、金属を傷める厄介な化学反応が、洗車後もなお進行している可能性があるのです。

数年後の車検や下取りの際に「下回りが錆だらけです」と指摘され、高額な修理費に愕然とする。そんな事態を避けるために、雪道の汚れが持つ「本当の怖さ」についてお話しします。

雪道汚れの正体は「強力な腐食ブースター」乾く前に流すのが鉄則

雪道を走った後のクルマに付着しているのは、単なる泥水ではありません。道路の凍結を防ぐために撒かれた「融雪剤(塩化カルシウムなど)」がたっぷり含まれています。

結論から言うと、この汚れは「金属が錆びるスピードを劇的に早めるブースター」のような働きをします。そのため、錆を防ぐための最大の防御策は、反応が進みきる前に「真水で洗い流してしまうこと」につきます。

では、なぜただの水なら大丈夫なのに、融雪剤が含まれると危険なのでしょうか。その理由は、金属の表面で起きているミクロな化学反応を知るとよくわかります。

しくみ:「鉄の鎧」の隙間を、塩が狙い撃ちにする

クルマの骨格に使われている鉄は、そのままではすぐに空気中の酸素と反応して錆びてしまうため、工場で作られる段階で「塗装」や「サビ止め」といった、何重もの「人工的なバリア」で覆われています。いわば、鉄が頑丈な鎧(よろい)を着て、外界から完全に遮断されているような状態です。そのため、新車の状態であれば、少しくらい雨や泥に濡れても、この鎧が弾いてくれるので中身の鉄はビクともしません。

しかし、走行中のクルマは私たちが思う以上に過酷な環境にあります。タイヤが跳ね上げた小石や砂粒が、走行中の勢いで弾丸のように下回りに当たると、この頑丈な鎧に、目に見えないほどの「小さな切り傷」が無数についてしまいます。すると、そこからガードされていない鉄の素肌(素地)が、ひょっこりと顔を出してしまうのです。

もし、この傷口に入ったのが「ただの水」であれば、鉄が酸素と結びつくスピードは比較的ゆっくりとなります。

ところが、融雪剤に含まれる「塩素」という成分には「鉄が水に溶け出すのを、猛烈な勢いで手伝う」という性質があり、鉄にとっては最悪の敵となります。

つまり、傷口に入り込んだ塩分は、鉄をボロボロのサビへと変えていくのです。さらに恐ろしいのは、塩分があるとできたサビが固まらず、脆く崩れやすくなることです。「サビる→崩れる→奥の新しい鉄が出る→またサビる…」この負の連鎖が止まらなくなり、まるでドリルで穴を掘るように、鉄の奥へ奥へと腐食が進んでしまうのです。

雪道を走った後の下回りは、走行中に無数についた「鎧のほころび」から、この強力な塩分が侵入し、鉄を内側から食い荒らしている状態といえるでしょう。

なぜ「隙間」が危ない?塩水が乾かない「濃縮」の罠

さらに厄介なのが、クルマの下回りには複雑な凹凸や隙間が多いという点です。平らな鉄板であれば、風が当たってすぐに乾くため、反応はそこでストップすることもあります。しかし、鉄板同士の重なり目やボルトの隙間などはそうはいきません。

こうした狭い隙間に入り込んだ塩水は、なかなか乾きにくいものです。そして、水分だけが少しずつ蒸発していくと、残された水の中の塩分濃度はどんどん高くなっていきます。

濃度が高くなった「濃い塩水」ほど、先ほど説明した「傷口を攻める力」は強まります。洗車機で表面をきれいにしたつもりでも、ブラシの届かない隙間の奥にこの濃縮された塩水が残っていると、そこだけ集中的に金属が食い破られてしまうことになります。これは「隙間腐食」と呼ばれる現象で、気づかないうちに深いダメージを与えてしまう原因となります。

今日からできる対策:狙うべきは「タイヤの裏」と「お尻」

このような化学反応を止めるには、どうすればよいのでしょうか。答えはシンプルで、隙間に入り込んだ塩水を「真水に入れ替える」ことです。これを専門的には「置換(ちかん)」と呼びますが、要は高圧の水で塩分を押し流してしまうイメージを持ってください。

コイン洗車場の高圧洗浄ガンや、ご自宅のホースを使う場合、特に狙っていただきたい「急所」が2つあります。

1つ目は「タイヤハウスの内側」です。ここはタイヤが巻き上げた塩水が最も濃く溜まる場所ですので、念入りに水を当ててください。

2つ目は「リアバンパーの裏側」です。クルマの後ろ側は空気の渦ができやすく、巻き上げられた飛沫が滞留しやすい構造になっています。後ろからのぞき込むようにして、たっぷりと水をかけることが大切です。

対策において重要なのは、洗う回数よりも「タイミング」です。塩が固まってしまったり、反応が進んでしまったりする前に、雪道を走った直後にリセットするのが最も効果的といえます。

帰宅後の「ひと手間」が愛車を救います

鉄は塗装などのバリアで守られていますが、飛び石などでついた傷に塩水が触れると、そこから集中的にサビが広がってしまいます。特にクルマの下回りの隙間では、塩水が乾かずに濃縮されやすいため、そのリスクはさらに高まります。

雪道ドライブから戻った後は、できるだけ早めに真水で下回りを流し、この厄介な化学反応をストップさせてあげてください。そのひと手間が、愛車を長く大切に乗るための大きな助けになるはずです。



ライター:根岸 昌輝
自動車メーカーおよび自動車サブスク系ITベンチャーで、エンジニアリング、マーケティング、商品導入に携わった経験を持つ。
現在は自動車関連のライターとして活動し、新車、技術解説、モデル比較、業界動向分析など、業界経験に基づいた視点での解説を行っている。



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