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築28年アパートを『2,800万円』で購入した50代投資家→3ヶ月後、家賃収入ゼロに…入居者が“全員退去”した恐ろしい理由

  • 2026.2.17
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出典:PhotoAC ※画像はイメージです

皆さま、こんにちは。現役の不動産会社社長として、日々さまざまな土地や建物のご相談に向き合っている岩井です。

銀行にお金を預けてもほとんど増えない今の時代。「毎月きちんと家賃が入る」と聞けば、魅力を感じる方も多いのではないでしょうか。通帳に振り込まれる家賃収入は、まるで“もう一つの給料”のように見えます。

しかし、不動産投資は数字だけで判断すると危険です。利回り(物件価格に対して、年間家賃収入がどれくらいあるかを示す割合)や収支表(家賃収入とローン返済・経費をまとめた計算表)がどれだけ魅力的でも、そこに書かれていない問題が一気に表に出ることがあります。

今日は、築古の4戸アパートを購入した直後、わずか数ヶ月で入居者が全員退去し、家賃収入がゼロになった方の実話をご紹介します。

利回り12%に目がくらんだ購入判断

今から1年前のことです。50代の個人投資家Aさんが購入したのは、築28年・木造2階建ての4戸アパートでした。価格は2,800万円。満室なら年間家賃収入は約336万円。表面利回り(年間家賃収入を物件価格で割って計算する、経費を差し引く前の利回り)は12%です。

銀行ローンを組んでも、毎月の返済を差し引いて手元にお金が残る計算でした。収支表を見る限り、条件は悪くありません。

ところが、現地を見た瞬間に違和感を覚えました。共用部や敷地内に、次のような物がそのまま置かれていたのです。

  • 共用廊下の隅に古い冷蔵庫
  • 駐車場に壊れた洗濯機
  • 物置の横に朽ちかけた棚

問題は見た目の悪さだけではありません。「誰の物なのか」「誰が処分するのか」がはっきりしていない点でした。

それでも売買契約書には「放置物は撤去のうえ引渡す」と記載されています。Aさんはその一文を信じ、購入を決めました。

このときAさんの頭にあったのは、12%という数字だけでした。しかし本当に見るべきだったのは、契約書の文字ではなく、管理状況だったのです。

引渡し後も消えなかった“放置物”

ところが、引渡し当日。現地を確認すると、冷蔵庫も洗濯機も棚も、そのままでした。

売買契約書に「撤去のうえ引渡す」と書かれていたはずの物が、そのまま放置されていたのです。前所有者に連絡を入れても、返ってきたのは頼りない言葉でした。

「入居者には伝えたんですがね…」

それ以上の対応はありません。Aさんは管理会社を通じて、入居者に状況の確認と片付けをお願いしました。すると、返ってきたのは思わぬ言葉でした。

「前からここに置いているんだよ。ここは俺の場所だ」

さらに別の入居者は、語気を強めてこう言います。

「急に片付けろって、どういうことだ。嫌がらせか?」

ここで初めて分かったのは、4人の入居者が全員知人同士だったという事実です。日常的に行き来する関係で、結束はかなり強い。

Aさんの申し入れは、すぐに全員に伝わりました。

「新しいオーナーはうるさいらしい」

そんな空気が広がっていきます。そして数週間後、管理会社から一本の連絡が入りました。

「4名全員、退去の申し出が出ています」

ただの放置物の問題が、4戸すべての退去に発展するとは。Aさんにとって、それは想像もしていなかった展開でした。

わずか3ヶ月で家賃収入ゼロへ

そして3ヶ月後には、4部屋すべてが空室になっていました。毎月28万円あった家賃収入は、ゼロ。それでも出ていくお金は変わりません。

  • ローン返済:月々約18万円
  • 固定資産税:月々1万円
  • 火災保険料:月々5,000円
  • 共用部の電気代:月々2,000円

合計すると、毎月およそ20万円の持ち出しです。家賃が入らないのに、20万円が確実に口座から消えていく。Aさんは貯金を取り崩しながら返済を続けました。

半年で減った金額は約120万円。急いで入居者募集を始めましたが、4部屋同時に空いている物件を一気に埋めるのは簡単ではありません。空室が並ぶ建物は、それだけで「何かあったのでは」と疑われます。

家賃は1円も入らないのに、通帳の残高だけが確実に減っていく。数字の上では「利回り12%」だったはずの投資が、いつの間にか“お金を生まない重荷”に変わっていたのです。

見抜けなかった「人と運営」のリスク。数字の裏にある地雷

現在は、4部屋中2部屋まで回復しました。それでも収支は赤字のままです。

Aさんが振り返って何度も口にしたのは、「数字だけを信じすぎた」という後悔でした。もし購入前に、次の点を徹底していれば、展開は違っていたかもしれません。

  • 放置物の撤去完了を確認してから引渡しを受ける
  • 契約書の内容と現地の状況を自分の目で照らし合わせる
  • 入居者同士の関係や雰囲気を事前に把握する

利回りは、満室で家賃が入り続けて初めて成り立つ数字です。 一斉に空室になれば、ただの赤字物件へと変わります。

「数字が良いから安心」という考えは危険です。利回りの魅力だけで舞い上がると足元が見えなくなり、“地雷”を踏むことになるでしょう。



筆者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹

不動産売買の専門家として仲介・査定・買取に携わりながら、不動産Webライターとして1,000記事以上を執筆。「売る力×伝える力」を軸に、情報発信と販売の両面から不動産の価値を高めている。派手さよりも誠実さを大切にし、地域に寄り添う姿勢で「早く・高く・安心」の取引を支える不動産の専門家。



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