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「今後は個人の判断で」駅員の“働き方改革”に歓喜するも…→直後、廃止に。原因となった客からの“意見”に戸惑い…

  • 2026.2.28
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出典:photoAC ※画像はイメージです。

こんにちは。元鉄道駅員の川里です。

今回は、私が駅員時代に経験した「働き方改革」の一環で起きた、制服のルールを巡るある出来事についてご紹介します。多くのお客様と接する鉄道の現場ならではの、少し考えさせられる思い出です。

駅員の働き方改革

さまざまな業界で「働き方改革」として、服務規程の見直しや規制緩和が行われていると思います。鉄道業も同じで、これまで一律禁止だった副業を認めたり、働く場所を自分で決めたりできるようになってきました。

私が働いていた頃にも

「これまで会社が指示する日付で一斉に変えていた制服を今後は個人の判断で柔軟に選べるようにしよう」

と変更されました。夏服から冬服に変えるタイミングを任意で決められるようになったのです。

私たち社員は大喜びでした。多くの職場で男性社員は暑がり、女性社員は寒がりな傾向にありましたが、どちらかに我慢を求める必要がなくなったためです。夏休みが終わり、夕方が涼しくなってくる時期には、早くも一部の社員が冬服になっていました。

急な指示

ところがある日、急に会社から指示が出されました。
「◯月◯日までは全員夏服、それ以降は冬服を着るように」

まさかのルール変更に衝撃が広がります。特に、すでに冬服にしていた社員が最も大きな影響を受けることになりました。

上司からは、お客様から制服の統一感に関するご意見が寄せられたため、と説明を受けました。

「制服のデザインが人によって違い、誰が駅員なのかわからない」
「あっちは半袖、こっちは長袖で統一感がない」

内容は以上の2点で、これを聞き入れる形で、制服の衣替えを従来通り一斉に行うようにしたとのことでした。

この年は暑さが長引き、私にとってはまだ暑い時期の衣替えとなりました。

後輩からは「『あの2人は駅員だが制服のデザインが違うな。どちらが駅員かわからない』というのは、少し矛盾しているように感じます」といった声もあがり、現場の社員たちには戸惑いが広がりました。

その後

それからまたしばらく時間が経ち、やっと駅員たちは制服の選択の自由を手に入れました。それだけでなく、髪の色やネイルの色も「自然な範囲」と限定されているものの、緩和されていきました。

「やっぱりやめた」という話は聞かないので、私が退職して以降もこの規制緩和は残っているものと思われます。もしかすると、在職中の社員たちの働き方改革のほか、就活生へのアピールに活用したいという狙いもあるのかもしれません。

実際、よほど長い爪や奇抜な髪型・髪色でない限り、駅員としての業務や企業のイメージに支障は出ないでしょう。

「それなら、あのときの強制衣替えはなんだったんだ?」

とも感じますが。

駅員は意外とファッショナブル?

「それでも髪色やネイルにルールがあって、制服のある職業は…」

と感じている就活生の方、ちょっと待ってください。確かに駅員はお客さまの命を預かっているため完全に服装自由というわけにはいきませんが、実はイベントなどに合わせてさまざまな装いをしています。

プロスポーツチームの本拠地最寄り駅なら、そのチームのユニフォームを着られるかもしれません。都道府県や市区町村などのキャンペーンでバッジをつけたり、法被を着たりしたこともありました。

「一年中ずっと同じ格好をし続けるとは限らない」という意味では、駅員はむしろ学生やほかの制服のある職業よりもファッショナブルといえるかもしれません。

駅員も人

最近はポスターなどで店員へのカスタマーハラスメントを啓発する場所が増えているようですが、駅員も同じように人間です。人によって暑さ寒さを感じる温度には違いがあり、一律に運用させていては無理がある時代なのかもしれません。

私はお客さまから

「制服がバラバラだから、誰が駅員かわからなかった」

と直接言われたことはありません。夏服でも冬服でも、それを着ているのは駅員だとわかるようにデザインされているはずです。

お客様が求める「わかりやすさ」と、現場で働く従業員一人ひとりの「働きやすさ」。その両立は、これからのサービス業にとって大きな課題です。駅員という「人」が介在する価値を保ちながら、多様な働き方をどう実現していくか。サービスを提供する側と利用する側、双方で考えていく必要があるのかもしれません。


ライター:川里隼生

鉄道会社の駅係員として8年間、4つの駅を経験しました。コロナ禍やデジタル化を通して移り変わってきた、会社としての鉄道サービスの未来像と、お客様それぞれが求めている鉄道サービスのあり方の両方から学んだことを記事にしていきます。


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