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金利上昇で住宅ローンがブクブク膨らんでいく…荻原博子が「投資より確実」という"繰り上げ返済"驚きの効果

  • 2026.1.2

日銀は政策金利を30年振りの高さとなる0.75%に引き上げた。私たちの家計への影響はいかほどか。経済ジャーナリストの荻原博子さんは、「金利はまだまだ上がる。変動型の住宅ローンを抱えている人は、固定金利に借り換えるか、繰り上げ返済すべきだ」という――。

金利のイメージ
※写真はイメージです
金利上昇で生活への影響はどうなるか

2025年12月19日、日本銀行(以下、日銀)がこれまで0.5%だった短期の市場金利を、0.75%まで引き上げました。

この利上げの発表にもかかわらず、円安は進み、1ドル157円台になりました。9月の総裁選前に1ドル147円だったことを考えると、3カ月で10円も円安が進行したことになります。

今回の利上げは、政府と日銀がもくろんだ「円安を阻止する」という効果が出せず、マーケットではさらなる利上げに備えるという声も聞かれます。

実際、日銀は実質金利が依然としてマイナスであるという認識で、利上げの公表文の中でも「経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えている」と記しています。

つまり、まだまだこの先も利上げがあるということで、30年間低金利が続いた私たちの暮らしにもさまざまな変化が出てきそうです。

預貯金がある人にはうれしい金利の上昇

金利が上がるとメリットがあるのは、預貯金をしている人たちです。

実際に、日銀の利上げに呼応するように、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行、三井住友信託銀行などの大手が、普通預金の金利を0.2%から0.3%に引き上げると公表しています。今後は、地方銀行や信用金庫など、他の金融機関にも波及してきますから、預貯金をしている人にとっては明るい話題です。

もうひとつ、金利の引き上げで期待されているのが、物価高の抑制です。

アメリカでは、新型コロナウィルス感染症が終息して景気が加熱するという見通しから2023年7月には、金利を5.5%まで引き上げましたが、物価が上がりすぎ景気が不安定化したため、2024年9月から利下げを始め、2025年12月時点で3.75%まで下げています。一方、日本はマイナス金利から0.75%まで上げてきました。

アメリカの金利が下がり、日本の金利が上がれば、金利差が縮まって円高になり、輸入品が安くなって生活にはプラスになってくるはずです。

ただ、今回は、利上げ幅が小さかったことで期待した円高方向には振れず、逆に円安が進んでしまいました。仮に円高に振れたとしても、安い輸入品が店頭に並ぶまでには2〜3カ月かかるために、高い輸入品の価格がすぐに下がるというわけにはいかないでしょう。

ですから、2026年は2025年より物価高が抑制されるかどうかは、現時点では不透明なままです。

気がついたらローンの借入金が増えている

一方、金利が上がると、お金を借りている人にとっては借入金の返済額が増えるというデメリットが出てきます。

住宅ローンには「固定金利」と「変動金利」があり、ローン利用者の約8割は低金利の中で変動金利を選んでいます。

変動金利は半年ごとに金利が見直されますが、「5年ルール」といって返済額は、5年間変わりません。

たとえば、金利0.3%で2000万円を35年ローンで借りると、返済額は月々約5万円。もし借りた直後に0.3%の金利が1%上がって1.3%になると、毎月の返済額は約6万円(ボーナス払いなしで計算)になります。2%上がって2.3%になると約7万円、3%上がって3.3%になると約8万円と増えていきます。

【図表1】金利%別・年間支払額
図版作成=編集部

ところが「5年ルール」があるので、返済額は5年間変わりませんから、借りた当初の月々約5万円のまま。では、契約の半年後に金利が1%上がって1.3%になったら、差額の約1万円はどうなるかといえば、「未払い利息」ということで元金に繰り入れられていきます。

【図表2】住宅ローンがブクブク増えていく仕組みのイメージ
図版作成=編集部

つまり、銀行から2000万円を借りる際、月々約5万円ずつ返済する契約をして、それに基づいて5年間返済を続けたのに、5年後には住宅ローン残高が減るどころか、元金は約2050万円と、当初借りた額よりも50万円も増えているという、納得できない状況になる可能性があるということです。

今回の利上げで、三菱UFJ銀行とみずほ銀行は、銀行ローンの指標となる自行の短期プライムレートを年1.875%から2.125%に引き上げると発表しています。変動金利の住宅ローンの場合は、上がった金利の差額が「未払い利息分」とされ、元金に組み込まれ、返済総額が増えますから、要注意です。

投資の前に、借金返済が基本

金利の引き上げは、急激に上がってきた株式市場をクールダウンさせる効果もあるので、今後、株価が下がる可能性があるということ。

だとすれば、今やらなくてはいけないことは、投資ではなく借金の返済でしょう。

特に多額の住宅ローンが残っているという人は、固定金利に変えておくか「繰り上げ返済」をしましょう。「固定金利」も金利が高くなっているので、「繰り上げ返済」が効果的です。

たとえば、変動金利35年ローンを金利0.3%で2000万円を借りて1年になる人が、100万円を「繰り上げ返済」すると、支払う利息が約10万4000円減少します(期間短縮)。

これは、100万円を投資して確実に110万円のリターンになるのと同じ。「確実」というところが投資と違うところです。

投資のイメージ
※写真はイメージです

国は2027年から「こどもNISA」をスタートさせ、「子どもの将来のために資産形成を」などと言っていますが、本当に子どもの将来を考えるなら、今のうちに借金を減らし、金利が高くなっても、返済で家計が苦しくならないような状況をつくっておくべきでしょう。

荻原 博子(おぎわら・ひろこ)
経済ジャーナリスト
1954年、長野県生まれ。経済ジャーナリストとして新聞・雑誌などに執筆するほか、テレビ・ラジオのコメンテーターとして幅広く活躍。難しい経済と複雑なお金の仕組みを生活に即した身近な視点からわかりやすく解説することで定評がある。「中流以上でも破綻する危ない家計」に警鐘を鳴らした著書『隠れ貧困』(朝日新書)はベストセラーに。『知らないと一生バカを見る マイナカードの大問題』(宝島社新書)、『5キロ痩せたら100万円』『65歳からはお金の心配をやめなさい』(ともにPHP新書)、『年金だけで十分暮らせます』(PHP文庫)など著書多数。

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