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トレイルランニングとは?効果や必要なアイテム、始め方を解説!

  • 2026.3.10
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山の空気を感じながら、自然の中を走る“トレイルランニング”。ロードでは味わえない解放感や景色に、心をつかまれる人が最近増えているんだとか。けれど、「装備が大変そう」「危なくない?」と不安に思う人も多いはず。

そこで今回は、トレイルランナーであり、トレイルランニング講師も務める伊東ありかさんに、装備や走り方、マナー、安全対策までを教えてもらった。これからトレランを始めてみたい人は、ぜひ参考にしてみて。

伊東ありかさん:トレイルランナー/トレイルランニングコーチ。2024年トレイルランニング・アジア選手権日本代表。世界的トレイルレースシリーズ「UTMB」の大会で優勝・上位入賞を果たすなど国内外で活躍し、現在は初心者向け講習などを通してトレイルランニングの魅力を伝えている。


トレイルランニングとは?ロードにはない3つの魅力

「トレイルランニングとは、登山道や林道など、舗装されていない自然の道(トレイル)を走るスポーツのこと。山道や森の中、砂利道、土の道など、ロードランニングとは違い、アップダウンや足場の変化があるのが大きな特徴です。“山を走る”と聞くとハードルが高そうに感じるかもしれませんが、必ずしも険しい山を駆け上がるわけではありません。初心者の場合は、整備された登山道やなだらかな丘など、比較的走りやすい道を歩きと走りを織り交ぜながら進みます」

魅力①:「自然そのもの」を全身で味わえる

「トレイルランニング最大の魅力は、自然の中に身を置きながら走れること。山の上から見下ろす景色、森の中の空気、川のせせらぎなど、ロードランでは出合えない風景が次々と現れます。ただ走るだけでなく、五感を使って自然を感じられるのがトレイルならでは。景色を楽しみながら進むため、距離やスピードに縛られにくく、“気づいたらこんなに動いていた”という感覚を味わえるのも特徴です」

魅力②:童心に返れる“遊び感覚”

「トレイルでは、泥水やぐちゃぐちゃした道を進むことも少なくありません。一見大変そうに思えますが、それすらも楽しめるのがトレイルランニングの面白さ。“小さい頃、泥だらけになって遊んだ感覚に近い”という声も多く、どこか幼い頃の好奇心に戻れるような感覚があるのも魅力のひとつです」

魅力③:全身運動としてのフィットネス効果

「ロードランニングとの大きな違いは、動きのバリエーションの多さ。ジャンプしたり丸太を越えたり、急な登りや下りに対応したりと、さまざまな動作が求められるため、自然と全身を使う運動になります。また、トレイルではザック(バックパック)を背負って走るため、水分や補給食を携帯する分、ロードランよりも負荷は高め。脚だけでなく、体幹やバランス感覚を鍛えられ、走る+αの運動効果を感じやすいのもトレイルランニングの魅力です」

トレイルランニングと登山・トレッキングとの違い

simonkr / Getty Images

「トレイルランニングは、登山やトレッキングと同じく山道を使いますが、いちばんの違いは“走ることを前提にしているかどうか”です」

・装備の違い

「登山は、山の頂上を目指すことが目的になるため、しっかりした登山靴、大きめのリュック、食料や装備をたくさん入れます。トレイルランニングは走ることがメイン。そのため装備はできるだけ軽量化されていて、ザック(バックパック)も必要なものがコンパクトに収まる小さめ設計になっています。またシューズも登山靴ではなく、走りやすさを重視した“トレイルランニング専用シューズ”を使います」

・選ぶ山の違い

「トレッキングは、自然の中を歩いて楽しむことが目的で、比較的なだらかな山やコースを選ぶことが多いのが特徴です。一方でトレイルランニングは、走れる区間は走りながら進むアクティビティ。競技の世界では、標高2,000〜3,000メートル級の山を走って登るようなレースもあります。ただ、“トレイルラン=険しい山を走る”というわけではありません。実はフィールドの幅がとても広いため、初心者向けでは、林道が中心のコースやなだらかな丘、公園内のトレイルなども、トレイルランニングとして楽しむことができます」

トレイルランニングの必須装備6選

SrdjanPav / Getty Images

①トレイルランニングシューズ

「まず必要なのが、トレイルランニング専用のシューズ。舗装路用のランニングシューズとは違い、滑りやすい山道や凹凸のある路面でも安定して走れるように作られています」

【トレランシューズはロード用となにが違うの?】
「大きな違いは、ソール(靴底)とつま先の構造。靴底のソールは凹凸のある形状で、岩や木の根、ぬれた地面でも滑りにくい工夫がされています。また、つま先にはプロテクトがあり、石などに軽く当たっても足先が痛くなりにくくなっています。足首までしっかり覆う登山靴とは異なり、トレイルランニングシューズは軽量化を重視した作りで、足首のサポートは最小限。その分、走りやすく、ランニングシューズに近い感覚で動けるのが特徴です。

②トレイルランニング用ザック(バックパック)

「トレイルランニングでは、水分や防寒具などを背負いながら走るのが基本。そのため、一般的なリュックではなく、体にフィットして揺れにくいトレイルランニング専用のザックを使用します」

【容量の目安】
「ザックの容量は、走る距離によって変わります。短い距離であれば表記が5〜6リットル前後の軽いザックが目安で、必要最低限の水分や防寒具が収まるサイズ感。100マイル(約160km)などの長距離レースでは、10リットル前後のバックパックが使われることが多くなります。 そして軽さも大事ですが、“重たいから持たない”という判断は危険。自分を守るために必要なものは、きちんと持っていくという意識を忘れないように」

③帽子・サングラス

「とくに夏場はあると安心なアイテム。直射日光や照り返しから身を守り、体力の消耗を防ぐ役割もあります」

④防寒具

「トレイルランニングでは、天候の変化や標高差によって急に寒くなることがあります。防寒具は、水をあまり通さないゴアテックスなどの素材で、浸透圧(透湿性)がしっかりしたものが推奨されています。軽量でコンパクトにまとめられるタイプを選び、ザックに入れて携帯するのが基本。突然の雨や冷えに備えるための必携アイテムです」

⑤トレイルランニング用ポール(必要に応じて)

「トレッキングポールを使う人もいますが、慣れていないと邪魔に感じることもあるため、必ずしも全員が使うわけではありません。使う場合は登山用ではなく、トレイルランニング専用のポールを選びます。こちらも、自分のスタイルや経験に合わせて判断すればOKです」

➅速乾性のあるウェア

「ウェアは、基本的にTシャツ+短パンが中心。ランニングウェアと大きな違いはありません。初心者の場合、今すでに持っているランニングウェアで十分対応できます」

シューズやザック選びで大切なこと

「シューズやザックを選ぶうえで、いちばん大切なのは安全面を最優先に考えること。シューズはしっかりした作りか、ザックは自分にとって必要なものがすべて収まるかを確認することが重要です。また、長時間身につけるものだからこそ、走っていて壊れたり、ズレたりしないかも大切なポイント。ズレがあると、擦れや痛みの原因になることもあります。必ず試着・フィッティングをしてから選びましょう。

最近では、ファッションとしてトレイルランニング用やランニング用のベストを着用している人も多く見かけますが、食べ物や水分をきちんと入れられるものであれば、それでも十分です。ただし、ランニング用のベストの中には、前側にポケットがなく、飲み物を入れられないタイプもあります。トレイルランニングでは、前側のポケットにすぐ手が届き、水分や補給食を取り出せることがとても重要。できるだけ、前面ポケットがあり、収納が充実したタイプのザックを選ぶのがおすすめです」

トレイルランニングの必携品リスト

Lilkin / Getty Images
  • ファーストエイドキット

「ガーゼ、消毒液、テーピングなど、緊急時に最低限の手当てができるものをセットで携帯しておくと〇。足首をひねった際の固定用テーピングもあると安心です」

  • ポイズンリムーバー

「ハチやダニに刺されたり、蛇や虫など自然の中ならではのトラブル対策として、持っておくことをおすすめします」

  • 携帯用トイレ

「山にはトイレがない場所も多いため、緊急時用として携帯用トイレを用意しましょう。災害用として販売されているコンパクトなタイプで十分です」

  • コースマップ/GPS付き地図アプリ

「山では道に迷うリスクもあるため、コースマップやGPS付き地図アプリで現在地を確認できるようにしておくといいと思います」

  • ヘッドライト

「日没が遅れた場合や、万が一の遭難時に備えて必須です。夜間走行を想定していなくても、必ず持っていきましょう」

「地域によっては熊対策として鈴の携帯が推奨されます。走るエリアに応じて判断を」

  • エマージェンシーシート

「遭難時や長時間動けなくなった場合に、体温低下を防ぐためのもの。多くのレースでも必携品として指定されています」

  • 水分

「大会参加以外のトレイルでは、途中で補給ができないため、その場合は多めに携帯するのが〇。ザックの前ポケットに収納できるソフトフラスクがおすすめです」

  • 補給食(エナジージェル・ようかんなど)

「トレイルランニングは消費エネルギーが大きいため、補給はとても重要。初心者の場合は、エナジージェル5〜6個、ようかん2〜3個など、少し多めに用意すると安心です」

  • 塩タブレット

「熱中症対策として、とくに暑い時期は忘れずに持っていくことをおすすめします」

  • 手袋

「岩や木を掴む場面が多く、手の保護に役立ちます。また、山頂付近で冷えることもあるため防寒対策としてもいいですね」

トレイルランニング初心者がまずやるべき「始め方」3ステップ

TravelCouples / Getty Images

▶ Step 1:近所の未舗装路や低山で慣れる

「いきなり山奥へ行く必要はありません。まずは、森林公園や里山、未舗装路のあるコースなど、身近な場所でトレイルの感覚に慣れるところから始めましょう。走ったり、歩いたりを繰り返すスタイルでOK。“トレイルを走る感覚”を体に覚えさせることが、最初の一歩になります」

▶ Step 2:経験者とイベントに参加する

「トレイルランニングでは、1人で山に入るのは危険。初心者のうちは、必ず経験者と一緒に行くか、トレイルランニング初心者向けのイベントや練習会に参加するのがおすすめです。最近は、初心者向けイベントも増えていて、装備や走り方、山でのマナーを学べる機会も多くあります。なにから始めればいいかわからないという人ほど、こうした場を活用するといいかなと思います」

▶ Step 3:ショートレース(10〜20km)にエントリーしてみる

「少し慣れてきたら、10〜20km程度のショートレースに挑戦するのもひとつ。長距離やハードな大会を目指す必要はありません。レースに出ることで、装備の準備や補給のタイミング、自分のペース配分などを実践的に学ぶことができます。“完走すること”ではなく、“雰囲気を体験する”くらいの気持ちでエントリーしてみるのもいいと思います」

ロードとは違う!トレイルランニングの走り方とテクニック

・上り(登り)のコツ

「下りではスピードが出やすいため、視野を広く保つことが大切です。足元だけを見るのではなく、岩や木の根などを早めに察知できるよう、2〜3歩先に目線を置くようにしましょう。足元ばかりに気を取られると、かえってバランスを崩しやすくなります。

また、怖さから体が後ろに傾いてしまう“後傾姿勢”や、かかとでブレーキをかける走り方は、転倒や膝への負担につながることも。歩幅を小さめにしてスピードをコントロールしながら、怖がりすぎずに走ることが、安定した下りにつながります」

トレイルランニングを行う際の「マナー」と「安全対策」

FrancescoCorticchia / Getty Images

「トレイルランニングを安全に楽しむために、知っておきたいのが“マナー”と“安全対策”。自然の中を走るスポーツだからこそ、自分だけでなく、ほかの利用者や環境への配慮も欠かせません。ほんの少しの意識と事前準備がトラブルを防ぎ、安心して山を楽しむことにつながります。以下に初心者がまず押さえておきたいポイントをお話しますね」

マナー

・ハイカーを見かけたら必ず立ち止まる
「すれ違うときは“こんにちは”など、一言声をかけるのが基本です」

・無理な追い越しはしない
「細い登山道では、後ろから追い越すのは危険。相手が気づいていない場合も多いため、必ず声をかけてから判断しましょう」

・ショートカットは禁止

「登山道から外れると、植物を踏み荒らしたり、山が崩れる原因になります」

・草花を踏まない、摘まない、持ち帰らない

「見かけても手を触れず、そのままにするのがマナーです。自然と動物を守る行動を」

・ゴミは必ず持ち帰る

「自分のゴミだけでなく、落ちているゴミを見つけたら拾う意識を忘れずに」

・動物に餌を与えない

「食べ物の匂いに引き寄せられ、クマなどの野生動物が人に近づく原因になります」

安全対策

・登る前に、必ず天候を確認する

「山へ行くと決めたら、現地の天候を事前にチェックすることが必須です。気温だけでなく、風の強さや天気の変化まで確認しておくといいと思います。想定よりも悪天候になった場合は、無理をせず早めに下山を判断することが大切です」

・山岳保険への加入

「万が一、すぐに下山できない状況になったときに備えて、山岳保険への加入をおすすめします。最近では、1日単位で加入できる山岳保険もあるので、トレイルランニングに行く際は事前に対策をしておくといいですね」

・GPS機能を活用する

「地図閲覧や現在地を共有できる登山・山用アプリ、GPS発信機能を備えた遭難対策サービスなど、安全面を意識した選択肢が増えています。たとえば、遭難時に位置情報をもとに救助を行う“ココヘリ”のようなサービスもあります。専用のGPS端末を携帯することで、万が一の際にヘリコプターによる捜索・救助につながります」

トレイルランニング初心者におすすめのコース・大会

Gonzalo Azumendi / Getty Images

「いきなり険しい山や長距離レースを目指す必要はありません。トレイルランニングは、公園の未舗装路や里山など、身近な自然からでも始められるスポーツです。大切なのは、自分のレベルに合ったコースや大会を選ぶこと。段階を踏めば、無理なくステップアップしていくことができます。下記に初心者が安心して挑戦しやすいコースと大会を紹介しますね」

初心者向けのおすすめのコース5選

・砧公園(東京都世田谷区)

距離目安:1〜5km(周回可)

「未舗装路があり、まずは“土の上を走る感覚”に慣れるのにいいですね。またアクセスも良く、初心者の一歩目に◎」

・代々木公園(東京都渋谷区)

距離目安:1〜4km(周回可)

「木陰のある自然道があり、軽いアップダウンも体験できる。ロードランナーがトレイルに移行する入口としておすすめです」

・新治(にいはる)市民の森(神奈川県横浜市)

距離目安:3〜6km

「里山らしい自然道とほどよい登り下りがあるため、トレイルの基礎を身につける練習にちょうどいいかなと思います」

・鎌倉トレイル(天園ハイキングコース周辺)

距離目安:5〜10km

「アクセスしやすく、整備されたハイキングコースが中心。アップダウンもほどよく、山に入る感覚を安心して体験することができます」

・奥多摩・高水山トレイル(東京都青梅市)

距離目安:8〜12km前後

「関東の定番入門コース。登り・下りの練習ができ、本格トレイルへのステップアップに最適かと思います」

・高尾山(東京都八王子市)

距離目安:5〜15km(ルートによる)

「イベントや大会も多く開催され、道も整備されています。初心者が“トレイルランニングらしさ”を実感しやすい山ですね」

大会ならこの3つがおすすめ

「初心者が大会に挑戦するなら、“初心者向け”と明記があるものや、10km前後のショートコースがある大会を選ぶのが安心です」

・モントレイル戸隠マウンテントレイル(長野)

ショート:10km

「10kmのショートコースがあり、初心者向けとして参加しやすい大会。戸隠の自然を感じながら、無理なくレースデビューができます」

・富士忍野高原トレイルレース(山梨)

ショート:約13km

「富士山を望みながら走れる人気大会。ショートコースは初挑戦にちょうどよく、ステップアップも視野に入れやすい構成です」

白馬国際トレイルラン(長野)

ショート:約22km

「北アルプスの絶景を楽しめる人気大会。距離はやや長めですが、整備されたコースで、初レースでも挑戦しやすい雰囲気があります」

トレイルランニングのQ&A

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Q1:熊対策は?

A:「基本は、鈴を携帯して音を出すこと。走っている音だけでは気づかれにくいため、存在を知らせることが大切です。不安がある場合は、熊スプレーを持つのもいいと思います。また、背の高い草が多く見通しの悪い場所は避け、できるだけ見晴らしのいいルートを選ぶのも対策のひとつ。そうした場所を通る場合は、ホイッスルを吹く、鈴を大きめに鳴らすなど、音で知らせましょう」

Q2:一人でも大丈夫?

A:「初心者が一人で山に入ることは危険です。何かあったときに対応が難しいため、まずは経験者と一緒に行くか、グループランニングやイベントを活用するのがおすすめです。慣れてきて“一人でも行けそう”と感じたら、GPS機能のあるアプリなどの安全対策を整えたうえで、短く身近なコースから挑戦するといいと思います」

Q3:雨の日は?

A:「雨の日に備えて、防水性のあるレインウェアは必携。縫い目やファスナー部分にシームレス加工が施され、水が入りにくいタイプを選ぶのがいいと思います。レースではこうしたレインウェアの携帯が、必須装備として指定されることもあります。また、レース自体は雨天決行が多いものの、雷が鳴っている場合は走行を避けるのが基本。天候次第では、無理をせず中止・下山をするようにしましょう」

まとめ:トレイルランニングを始めてみよう

skynesher / Getty Images

まずは身近な未舗装路から、一歩踏み出してみて。きっとロードでは出合えなかった景色が待っているはず。

お話を伺ったのは......伊東ありかさん

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北海道出身、宮崎県在住。トレイルランナー/トレイルランニングコーチ。2024年トレイルランニング・アジア選手権日本代表。国内外のトレイルレースで活躍しており、世界的なトレイルランニングシリーズ「UTMB」が主催するレース大会(trans JEJU、trans Lantau)でも優勝・上位入賞を経験。2025年には国内最大級の大会「Mt.FUJI100」で3位入賞を果たすなど、トップレベルの実力を持つランナー。初心者向け講習やイベントなどで、トレイルランニングの魅力を広める活動も行っている。

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