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客「つい、入れたままに…」引っ越し当日、業者が“運搬拒否”。衣装ケースから見えた「入ってちゃいけないモノ」

  • 2025.12.17
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

こんにちは。引っ越し・家財の運搬をしているしーやんです。

引っ越しや家財の運搬業務の現場では、思わぬ事態に遭遇することがあります。

もうすぐ引っ越しのシーズン。

今回は、思わぬ“モノ”が荷物の中に紛れ込んでいたエピソードとともに、安心して引っ越しするために、押さえておくべき“基本ルール”をご紹介します。

中身が入ったまま…引き出し式の“衣装ケース”

その日、単身引っ越しの集荷で伺ったお宅では、ほとんどの荷物が段ボールにまとめられていました。

梱包も丁寧で、作業は順調に進むだろうという印象でした。

しかし、衣装ケースに目を向けると、引き出しの内部には大量の衣類が入ったままでした。

衣装ケースは空の状態でも大きく、運ぶには注意が必要です。そこに衣類がぎっしり詰まっていると、重量が一気に増えます。

そのため、多くの引っ越し会社では「衣装ケースの中身は段ボールに移す」というルールを設けています。

今回は段ボールが十分になかったため、お客様には、歪みや破損が起きやすいことをご説明した上で、衣装ケースに衣服を入れたまま、作業リーダーと慎重に運び出しました。

プラスチックケースの中に見た“入ってちゃいけないモノ”

さらに驚いたのは、半透明のプラスチックケースを運搬しようとした時です。

うっすらと中身が見え、その中身をお客様に確認することに。

やはり、そこには印鑑が入っていたのです。

また、別のケースには通帳も入っており、「事前に案内があったかと思うのですが…」と案内の有無を確認しながら聞くと、お客様はまったく悪気がなく、「つい、ケースに入れたままにしていた」とのこと。

とはいえ、貴重品の運搬は引っ越し業者では行えないため、プラスチックケースに封じられていた通帳と印鑑については、運搬をお断りさせていただくしかありませんでした。

荷物に入れてはいけない物がある

引っ越し会社には、運搬できない物のルールがあります。安全面や法令上の理由だけでなく、紛失・破損時に責任を負えない物が含まれるためです。

代表的な例は以下の通りです。

  • 貴重品

通帳、印鑑、実印、貴金属、パスポートなどは、紛失した場合の影響が非常に大きいため、引っ越し会社では一切扱えません。今回のようにケースの中に入っていると気付きにくく、トラブルにつながるため、必ず自身で持ち運ぶ必要があります。

  • 危険物

スプレー缶、ライター、アルコール類、オイル類などは、温度変化で破裂する可能性があります。特に夏場の車内は高温になりやすく、火災の危険性が高まります。

  • 食品類

冷蔵品や冷凍品はもちろん、常温食品でも気温によって品質が変わる物があります。車内は外気温の影響を受けやすく、衛生面で問題が生じるため、原則として運搬できません。

  • 中身が入ったままのタンスや衣装ケース

重さによって破損するだけでなく、運搬時の転倒リスクが高まるためです。多くの引っ越し会社では、衣類は段ボールに移し替えてもらうよう案内しています。

どのルールにも共通しているのは、「お客様の荷物を安全に届ける」という引っ越し業者の責任です。

事前に案内される持ち込み不可リストを確認し、該当する物は必ず取り除いてください。

参照:国土交通省告示 標準引越運送約款

まとめ:事前案内のルール確認で“安全な引っ越し”を実現する

今回のように、お客様の認識違いから「本来は運べない物」が紛れ込むケースは珍しくありません。

しかし、貴重品や危険物が荷物に含まれていると、トラブルのリスクが高まるため、内容によっては安全上の理由から運搬を断ることもあります。

「段ボールの中身は見えないからいいだろう」ではなく、事前に必ず業者からの案内資料を読み、運搬可能な物や梱包のルールに則って、適切な荷造りを心がけていただきたいです。


ライター:しーやん

現在は日本語教師をしながら、ライター業、引っ越し・家財の運搬業務をしております。鉄道、受付、テーマパークなど様々な業種で培った経験をもとに「正しい日本語で心に刺さる文章を」をモットーに執筆中。


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