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念願の団地リノベを完成させた40代夫婦→「まるで自分の家で鳴っているような“音”が…」床の薄さの正体とは【一級建築士は見た】

  • 2026.3.16
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「上階の足音が、まるで自分の部屋で鳴っているように聞こえるんです」

そう語ってくれたのは、念願の団地リノベを完成させたGさん(40代)夫婦です。

内装は北欧風で完璧に整えられましたが、暮らし始めてすぐに「音」の問題に直面しました。深夜の足音、椅子を引きずる音、さらには掃除機の振動まで。

どれほど壁紙やキッチンにこだわっても、構造がもたらす騒音は防げませんでした。

図面チェック時に注意すべきポイント

音が響く原因の一つは、床のコンクリートの厚みである「スラブ厚」にあります。図面をチェックする際、非常に注意を払うべきポイントです。

・昔と今の基準差:
現代の分譲マンションでは、スラブ厚200mm以上が一般的です。しかし、築40年〜50年の団地では、120mm〜150mm程度しかないケースも少なくありません。

・遮音性能の限界:
コンクリートが薄ければ、それだけ振動が階下へ伝わりやすくなります。古い団地のスラブは、現代の基準から見ると薄い傾向にあるといえます。

「畳からフローリングへ」が引き金になる可能性

リノベーションで人気のある「和室を洋室に変える」改修ですが、ここにも注意点があります。

・畳の優れた吸音性:
実は、昔ながらの「藁畳(わらだたみ)」は優れた遮音材としての側面もありました。厚さ50mm近い畳が、足音の衝撃を吸収する役割を果たしていたのです。

・硬い床の反響:
畳を取り払い、スラブの上に直接、あるいは遮音性の低いフローリングを貼ってしまうと、音の吸収源が失われます。結果として、リノベーション前よりも騒音の問題が気になってしまう場合があるのです。

「管理規約」という名の動かせないルール

どれだけ対策を考えようとしても、団地特有のルールがそれを阻むことがあります。

・フローリング・二重床の禁止:
古い団地の中には、騒音トラブル防止のために、管理規約でフローリングへの変更や二重床(床下に空気層を作る工法のこと)への改修を禁止している物件もあります。

・使用細則の確認:
「床材はL-40と同等以上の遮音性能のものに限る」「遮音シートの使用が必須」など、使用細則(管理規約をより具体的に定めたルール)で細かく指定されている場合もあります。これらを確認せずに工事を進めることは避けなければなりません。

購入前に確認しておきたい3つの書類

中古物件の購入を決める前に、以下の書類を読み解くことが大切です。

・管理規約・使用細則:
床材の制限や工事可能な時間帯など、リノベーションの自由度を左右するルールが記載されています。

・長期修繕計画:
建物全体のメンテナンス予定を確認します。近いうちに排水管の更新や窓サッシの交換が予定されているなら、そのタイミングに合わせた設計が効率的といえます。

・過去の修繕履歴:
これまでにどのようなメンテナンスが行われてきたかを知ることで、建物の状態を把握するヒントになります。

古い団地には、今の建物にはない独特のゆとりや風情があります。
しかし、その魅力を十分に楽しむためには、ルールと構造を理解した上での性能のアップデートが必要です。

教訓は、「表面を飾る前に、まずは管理規約と床下の構造を確認することが大切」ということです。


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
地方自治体で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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