『なぜか落ち込まない人』が持っている…「頑張らなきゃ」でも「もうダメだ」でもない、“自分を立て直す言葉”とは？

2025.11.26

誰もが一度は感じたことのある「落ち込み」。仕事のミス、人間関係のもつれ、思い通りにいかない日々。そんな時、多くの人は「頑張らなきゃ」と自分を奮い立たせるか、「もうダメだ」と落ち込むかのどちらかに陥りがちです。しかし、なぜか落ち込まない人たちも存在します。彼らが持つのは特別な才能ではなく、「自分を立て直す言葉」なのです。

今回は、彼らの心を支える言葉の秘密について探ってみましょう。

「頑張らなきゃ」でも「もうダメだ」でもない言葉とは？

「頑張らなきゃ」という言葉は目標達成の原動力になる一方で、プレッシャーが大きくなると自分を追い込んでしまうことがあります。また、「もうダメだ」というネガティブなフレーズは、落ち込みを深めやすいと言われています。

一方で、落ち込みにくい人が口にする言葉には、不思議と心を落ち着かせ、自分を優しく受け入れる響きがあります。それは「今はそういう時期だ」や「完璧じゃなくても大丈夫」といった、自分の感情や現状を認めるフレーズ。これらは「頑張らなきゃ」や「もうダメだ」とは違い、自分を責めずに受け入れることで、感情の波を和らげ、立て直しやすくしているのです。

心理学の視点から見ると、自分の感情を否定せず「ありのまま」を受け入れる姿勢は「セルフコンパッション（自己慈悲）」と呼ばれ、ストレスを緩和し、精神的安定に寄与しています。自己慈悲が高い人は、失敗や困難に直面したときに自分を責めにくく、立て直しやすい傾向があると指摘されています。

例えば、仕事でミスをした時に「自分は不器用だ」と落ち込む代わりに、「こういうこともあるよね、次回はこうしよう」と自分に語りかける。このような言葉がけは、失敗を否定的に捉えず、成長の機会として捉える助けになります。また、日常会話でも「しんどい時は無理しないでね」「そのままの君でいいよ」といった優しい言葉は、心の回復を助けるといわれています。

こうした言葉の違いが、無理に前向きになろうとするプレッシャーを和らげることがあります。その結果、心が落ち着きやすくなるといわれています。

やさしい言葉で自分と向き合うヒント

では、誰でも実践できる「自分を立て直す言葉」の取り入れ方はどんなものでしょうか？ポイントは「自分をジャッジしない」ことです。自分に対して厳しい言葉を選ぶのではなく、「今の気持ちは自然だよ」と認めてあげることが大切です。

日記やメモに、自分を励ます言葉を書いてみる方法もあります。例えば、「焦らなくていい」「今日できたことに目を向ける」「疲れたら立ち止まってもいい」といったフレーズは、自分の心をやわらかく包み込みます。こうした声かけは、感情的な余裕を作るのに役立つでしょう。

“がんばりすぎない”勇気。自分を大切にする言葉たち

「がんばらなきゃ」という言葉に自分を縛られすぎてしまうと、心の疲れは増すばかり。「もうダメだ」と自分を諦めてしまうのも辛いものです。そんなとき、少し視点を変えて「今日はこれでいいよ」「そのままで十分だよ」と自分に優しく語りかけることが、自分自身を救い出す力になるのかもしれません。

落ち込まない人が持つのは、決して特別な才能やポジティブシンキングではなく、感情を否定しないやわらかな言葉です。その言葉は心にそっと寄り添い、静かに立て直す力を秘めています。誰にでもできる、その一言を大切にすることで、日々の心が少し楽になるかもしれません。

監修者：あゆ実社労士事務所

人材育成とキャリア支援の分野で約10年の経験を持ち、社会保険労務士・国家資格キャリアコンサルタントとしても活動。
累計100名以上のキャリア面談を実施し、1on1面談制度の設計やキャリア面談シート作成などを通じて、組織の人材定着と成長を支援してきた。
新入社員向け「ビジネスマナー」「マインドセット」「ロジカルシンキング」研修やキャリア研修では、企画・コンテンツ作成から講師まで一貫して担当。
人間関係構築や部下育成、効果的な伝え方に関する豊富な実務経験を活かし、読者や受講者が一歩踏み出すきっかけとなる関わりを大切にしている。