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『とりあえず資格を取れば安心』は間違いだった。社労士が警告する、AI時代に「市場価値が急落する人」の特徴とは?

  • 2026.3.12
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※Google Geminiにて作成(イメージ)

「自分の仕事がAIになくなるかもしれない」

そんな漠然とした不安を抱える40代のビジネスパーソンが増えています。

焦りから「とにかく何か資格を取らなくては」と勉強を始める人も少なくありませんが、その努力が実は「逆効果」になってしまうケースもあると言います。

なぜ、資格取得がAI時代のリスクになり得るのでしょうか? そして、40代が本当に武器にすべき「見えない強み」とは一体何なのでしょうか。

今回は、多くのキャリア面談を通じて40代の悩みに寄り添ってきた専門家に、AI時代のキャリアに対する誤解と、明日から始められる正しい対策について詳しく解説していただきました。

AIへの不安の正体は「技術への恐怖」ではない?

---AIの進化によって「自分の仕事がなくなるかもしれない」と不安を感じる40代が多いですが、この不安の根本には何があるのでしょうか?

あゆ実社労士事務所:

「『自分の仕事がなくなるかもしれない』という感覚は、技術の話だけではないと思います。

40代になると、多くの方がある種の『役割の固定化』を経験します。長年同じ業務を担い続けた結果、自分の強みがどこにあるのかを言語化しにくくなっている方が少なくありません。AIへの不安の正体は、技術そのものへの恐怖というより、『自分が何者であるか』が曖昧になってきたことへの不安である場合が多いと感じています。

背景には、対人スキルや高度な判断力が『当たり前のもの』として評価されにくい構造があります。会議ではほとんど発言しないのに、終了後に関係者へ個別に声をかけて意見の落としどころを探っている人がいます。あるいは、部下が行き詰まっていることに誰よりも早く気づいて、さりげなく話しかけている人もいます。こうした行動は数値化されないまま消費され続けており、本人も『特別なことをしている』と思っていないことがほとんどです。

AIに不安を感じている人ほど、実は現場では重要な調整役を担っていることがあります。AIが苦手とするのは、文脈を読んだ判断や感情を伴う対話です。40代にはそれらが蓄積されている一方、自分ではその価値に気づきにくい傾向があります。企業側も、こうした『見えない強み』を可視化する機会を意識的につくっていくことが、これからの時代には重要になるのではないかと思います。」

「とりあえず資格取得」が逆効果になるケースとは

---不安から「まずは資格を取ろう」と考える人も多いと思います。この選択にはどのような注意が必要なのでしょうか?

あゆ実社労士事務所:

「『資格を取れば安心できる』という気持ちは、とても自然だと思います。ただ、その選択が逆効果になるケースも、現場では見てきました。

注意が必要なのは、『暗記すれば取れる』『定型的な知識を問われる』タイプの資格を、キャリアの主軸に置いてしまうケースです。AIが最も得意とする領域が『情報の整理・検索・定型処理』であることを考えると、そこに時間とエネルギーを集中することには慎重さが必要です。

人事として多くのキャリア面談に関わってきましたが、管理職経験のある40代の方が『何か資格を』と、取得しやすい検定資格の勉強を始めるケースがあります。時間をかけて取得できたとしても、面接では『それを現場でどう使っていますか』という問いの前で言葉に詰まってしまう場面も少なくありません。資格は持っているのに、実務では誰も相談に来ないという状況も起こり得ます。知識が経験と結びついていないと、資格が『飾り』になってしまうのです。

大切なのは、『この資格は自分の経験と重ねることで意味を持つか』という視点です。企業側も、資格の有無だけではなく『その知識を現場でどう使っているか』を評価する視点を持つことが、AI時代の人材育成では重要になるのではないかと思います。」

AI時代を生き抜く「武器」を見つけるための第一歩

---変化が必要だと感じつつも「何から始めればいいかわからない」と立ち止まってしまう40代は、まず何をするべきでしょうか?

あゆ実社労士事務所:

「『何から始めればいいかわからない』という声は、40代の方から特によく聞きます。変化の必要性は感じていても、何が自分の武器になるのかが見えないと、行動が止まってしまいます。

最初の一歩として、『自分が判断してきた場面の棚卸し』から始めることをお勧めしたいと思います。『あの取引先は最初に雑談をしてから本題に入った方がうまくいく』『このメンバーには指示より先に背景を説明した方が動いてくれる』——こうした経験から身についた判断は、意識されないまま蓄積されていることが多いものです。

ある方は、過去の仕事を振り返って書き出してみたところ、『自分は常にリスクと関係性を同時に考えて動いていた』という気づきを得ました。その視点がリスクマネジメント系の資格学習と結びつき、『学んでいる内容が腑に落ちる感覚がある』とおっしゃっていました。資格が経験を照らし、経験が資格に意味を与えるという構造です。

社会保険労務士・中小企業診断士・キャリアコンサルタントなど『対人・判断・組織』に関わる資格は、40代の経験と重なりやすい領域だと感じています。資格はあくまで『自分の経験を言語化するためのツール』です。その視点で学びを始めた人ほど、AIには代替されにくい専門性が育っていくのではないかと思います。企業側も、資格取得を支援する際には『なぜその資格か』を本人と一緒に考える機会をつくることが、育成の質を高めることにつながると思います。」

経験という「見えない強み」を言葉にする

AI時代に求められるのは、決して新しいITスキルや暗記型の知識だけではありませんでした。40代のビジネスパーソンが長年現場で培ってきた「文脈を読む力」や「感情を伴う対人スキル」こそが、AIには代替できない最大の武器になります。

「何から始めればいいかわからない」と悩む方は、まずは過去の仕事で自分が「どう判断し、どう動いたか」を振り返り、棚卸しすることから始めてみてはいかがでしょうか。

資格は、その豊かな経験を「言語化するツール」として活用してこそ、真の価値を発揮します。自分の中にすでに眠っている「見えない強み」に気づくことが、AI時代を前向きに生き抜くための確かな第一歩となるはずです。


監修者:あゆ実社労士事務所
人材育成・キャリア支援を軸に約10年の実務経験を持つ、社会保険労務士/国家資格キャリアコンサルタント。 IT企業の人事として、新卒・若手育成、研修設計、評価・キャリア支援の仕組みづくりに携わる一方、個人では企業や個人に向けたキャリア相談・人事支援を行っている。 これまでに累計100名以上のキャリア面談を実施し、1on1制度設計や面談シートの設計、育成施策の言語化を支援。 近年は生成AIを活用した業務設計・人事業務の効率化にも注力し、「現場で使えること」を前提にしたAI活用の伴走支援を行っている。