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『自然と部下を動かす上司』は無意識にやっていた…臨床心理士が明かす、“指示待ち部下”が変わる「魔法の声かけ」とは?

  • 2026.3.11
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

職場で「指示を待つだけの人」という印象を持つ部下に、どう声をかければよいか悩んだことはありませんか?

なぜ自発的に動かないのか、その背景にはどんな心理があるのでしょうか。上司としては、部下のやる気を引き出すために何ができるのか気になるところです。この記事では、指示待ちになってしまう原因や、適切な声かけ、そしてモチベーションの持続につながる効果的な支援方法について、臨床心理士 のaiirococcoさんの見解をもとに解説します。今日から使えるポイントが見つかるはずですので、ぜひお読みください。

指示待ち人間になる心理とは?その背景にあるもの

----なぜ人は指示を待つだけになってしまい、自発的に動けなくなるのでしょうか?

aiirococcoさん:

「指示待ち人間になってしまっている状態ですね。指示を待つだけになってしまい、自発的に動かないのは、自分を守ろうとしているからかもしれません。

指示待ちになる人が、何より恐れているのは、周りから叱責されることです。せっかく考えて動いたのに、迷惑そうにされたり、怒られたりすることがありますよね。そういう周りから責められることによって、傷ついてしまわないように、指示を待ってしまうのでしょう。

それは、元々その人が持っている自己肯定感の低さであったり、仕事に対する意欲の低さだったりが影響します。前者の場合は、自分がやることに自信が持てず、失敗すると思ってしまって自発的に動けなくなってしまいます。後者の場合は、積極性がないことで、考えて動くという方向に向かいづらいのです。

また、失敗が許されない職場環境も、こういった指示待ち人間を作ってしまいます。ちょっとしたミスで叱責されている人を見たら、やはり失敗を出来るだけ避けたくなりますよね。全部思った通りに進めたい上司の下では、部下も自発的に動くということは難しくなってしまうものです。」

「君に任せる」「期待している」は鼓舞の言葉?プレッシャー?

---モチベーションを上げるために部下にかける言葉は、どのように選べばよいのでしょうか?

aiirococcoさん:

「『君に任せる』『期待している』と言われると、モチベーションが上がるような気がするかもしれません。確かに、自信があって、その仕事のこともある程度わかっている人にかける言葉としては、適切ではないでしょうか。

ただ、もしも、いまいち仕事に自信が持てていない時や、仕事のことがよくわかっていないと感じている時に『君に任せる』と言われたら、余計に不安が湧いてくるのではないでしょうか。真っ暗なトンネルの中で、急に『君に任せる』と言われたようなものです。

また『期待している』も、自分の仕事に自信が持てている時であれば、嬉しい言葉ですが、自分の力量で大丈夫なのか不安を感じている時には、プレッシャーに感じてしまうでしょう。期待に応えなければならないと感じてしまい、逆に萎縮してしまう場合もあります。

そういった一見モチベーションを上げるような言葉は、部下の力量と自信の具合を見てから、かけた方がいいかもしれません。そこを見誤ってしまうと、せっかくの声かけが、部下を萎縮させてしまい、不安を掻き立てる結果となってしまうのです。

もし、自信がないけど力量はあると感じている部下に仕事を任せたいのであれば、こういう声かけがいいかもしれません。『私は、あなたの仕事ぶりを信頼している。いつでも相談に乗るから、一度自分の力でやってみてほしい』そう言われると、自己肯定感も上がりますし、安心感も感じることができるはずです。」

長続きするモチベーションとは?上司ができる支援のヒント

---どうすれば部下のやる気を持続させ、自発的な行動を引き出すことができるのでしょうか?

aiirococcoさん:

「動機には、内発的動機付けと外発的動機づけの両側面が存在しています。外発的動機づけは、昇給や昇進など、いわゆる‘ご褒美’です。確かにご褒美の存在はモチベーションを上げますが、得た途端に満足してしまい、長続きしません。

上司が部下にしてあげられて、長続きするのは内発的動機づけです。仕事に対するやりがいであったり、興味や関心を持つことで、モチベーションを上げるのです。楽しいこと、やりがいがあることであれば、人は自分からどんどん頑張りますよね。

まず第一歩としてやっていただきたいのが、ポジティブなフィードバックを伝えることです。部下の仕事を見ていて、ここはいいなと思ったところを率直に、そして具体的に伝えてあげてください。

人は、具体的に褒められたことは、自信を持って、もっとやろうと思うことができます。その気持ちが、自発的な行動を生み出すのです。つまり、ポジティブなフィードバックの積み重ねが、自発的に行動できる部下を育てていくのです。

また、職場環境を見直してみることも、できることかもしれません。ミスが許されなかったり、失敗を恥ずかしいことであると感じされるような雰囲気がある職場では、なかなか‘やってみよう’という自発的な行動は生まれてこないのではないでしょうか。

ミスや失敗をした時は、みんなでカバーをするという雰囲気ができていると、自信がない人も自発的に動いてみようかなと思えるようになってきます。上に立つ人みんなで、そういう雰囲気を作っていけるよう、普段から話し合えるといいかもしれません。」

部下の自発性を育むために今日からできること

指示待ちになるのは、自信のなさや失敗を恐れる心理的な防御反応が大きな要因です。上司としては、部下の自信や力量を見極め、不安を軽減する言葉かけが重要になります。また、外的な報酬よりも仕事のやりがいや興味に働きかける内発的動機付けを意識し、具体的なポジティブフィードバックを積み重ねることが効果的です。職場全体で失敗をカバーし合う文化をつくることも、自発的な行動を促すうえで欠かせません。今日から意識して取り組むことで、あなたのチームに自発的に動ける部下が育ち、活気のある職場環境が作られていくでしょう。


監修者:aiirococco(note
総合病院の心理職として、幼児から高齢者まで様々な年齢層のカウンセリングを担当しています。元々は子どもの心理が専門で、箱庭療法や遊戯療法を好んでいました。最近は、コンパッションフォーカストセラピーに興味を持っています。幅広い年齢層の悩みに対応できるよう、プライベートでも色々な年齢層の友人を持ったり、心情描写に優れた本を読んだりしています。楽しく自分らしく生きるお手伝いができればと思います。