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『なぜか敵を作らない人』には共通点があった。累計100名以上を面談したプロが語る、嫌なことを言われた時の「賢い返し方」

  • 2026.3.4
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

職場やプライベートで、つい感情的になってしまったり、相手の言葉にどう返せばいいか迷ったりすることはありませんか?「嫌なことを言われた瞬間、どう返すかで、その後の空気がまったく変わる」と専門家は語ります。波風を立てたくないのに、なぜか関係がこじれてしまう。そんな経験を持つ方もいるかもしれません。

この記事では、あゆ実社労士事務所の社会保険労務士が、感情に流されず、建設的な人間関係を築くためのプロのコミュニケーション術を解説します。攻撃的な言葉への対処法から、曖昧な対応が招く落とし穴、そして「敵を作らない」コミュニケーションの真髄まで、明日から実践できるヒントが満載です。

攻撃的な言葉にどう返す? 「感情の応酬」を避けるプロの切り返し

---攻撃的な言葉を受けた際、どのように対応すれば感情的な応酬にならずに済むのでしょうか?

あゆ実社労士事務所さん:

「嫌なことを言われた瞬間、どう返すかで、その後の空気がまったく変わることがあります。

会議で強い口調で詰めてくる人が、『では事実ベースで教えてください』と静かに返されると、突然言葉を選び直す。

攻撃的な言葉は、優位に立ちたい、反応を引き出したいという欲求から出ることが少なくありません。感情的に応酬すると相手の土俵に乗ってしまう一方で、『具体的にはどの点ですか』と静かに問い返すと、相手は説明する側に回ります。勢いで放った言葉ほど、説明を求められるとトーンが落ちるものです。

これは、会話を感情の応酬から事実確認のフェーズへと移すことで、攻撃のエネルギーを自然に削ぐ原理だと思います。特別な言い回しが必要なのではなく、『受け止めてから問い返す』という構造が機能しているのだと感じています。

企業側としては、こうした対話の型をチーム内で共有し、感情ではなく事実と目的に立ち返る文化を日常的に育てていくことが重要だと思います。」

「穏やかな人」ほど要注意? 曖昧な対応が関係をこじらせるワケ

---常に穏やかに接しているつもりでも、なぜか人間関係がうまくいかなくなることがあります。その原因と、自己主張とのバランスについて教えてください。

あゆ実社労士事務所さん:

「穏やかに見える人ほど、ある日突然距離を置くことがあります。そういうケースをいろんな組織や集まりの中で見てきました。

曖昧に笑って受け流す対応が続くと、『そうですね』と繰り返しながら内心では納得していない状態が積み重なっていきます。周囲には波風を立てない人に映っても、本人の中では小さな不満が静かに蓄積されている。あとから『あの時は何も言わなかったのに』と関係がこじれる例も、決して珍しくありません。

曖昧な肯定や話題の転換は、その場を収める技術として有効な側面はあります。ただ、自分の立場や事実まで曖昧にしてしまうと、相手に『本音がわからない人』という印象を与えることがあります。敵を作らないことと、自己主張をしないことは、同義ではないと思います。

企業側としては、率直に意見を伝えても評価が下がらないという安心感を日常的に示し、小さな違和感をその場で共有しやすい雰囲気を整えていくことが、長期的な関係の質を守ることにつながると感じています。」

「敵を作らない人」の真髄とは? 感情的にならない「一呼吸」の技術

---人間関係で「敵を作らない」ためには、どのようなコミュニケーションを心がければ良いのでしょうか?

あゆ実社労士事務所さん:

「敵を作らない人は、特別な言い回しを持っているというより、相手の言葉をいったん受け止める余裕を持っている、というのが私の見立てです。

嫌味を言われた瞬間に言い返すのではなく、一呼吸置いて『今のはどういう意図でしたか』と穏やかに確認する。これは突き放しているのではなく、相手の言葉をきちんと聞こうとしているサインでもあります。雑談の流れで軽く皮肉を言った人が、その問いにはっとしてトーンを下げ、『いや、深い意味はないです』と言い直す。そういう場面は珍しくありません。

最初の一歩は、上手な一言を覚えることより、感情が動いた瞬間にすぐ反応しない習慣を少しずつ身につけることだと思います。すぐに返さないことは、冷たさではなく、相手との関係を丁寧に扱おうとする姿勢の表れでもあると感じています。

企業としても、素早く切り返せる人だけが評価されるのではなく、落ち着いて問いを立てられる人を大切にする姿勢を示すことが、職場全体のコミュニケーションの質を底上げしていく一歩になるのではないかと思います。」

感情を「事実」に変え、より良い人間関係を築くために

職場やプライベートにおける人間関係は、私たちの生活の質に大きく影響します。取材を通じて見えてきたのは、感情的なやり取りに流されず、「事実」や「意図」に焦点を当てるコミュニケーションの重要性でした。

攻撃的な言葉に対しては、感情で応じずに「事実ベース」で問い返すことで、相手の勢いを削ぎ、建設的な対話へと導くことができます。また、波風を立てないための曖昧な対応は、時に「本音がわからない人」という印象を与え、長期的な関係の質を損ねる可能性も。自分の立場や事実を明確に伝えつつも、相手との信頼関係を深めるには、自己主張とのバランスが鍵となります。

「敵を作らない」コミュニケーションの秘訣は、特別な話術ではなく、相手の言葉を「受け止める余裕」と「一呼吸置く」習慣にあります。感情が動いた瞬間にすぐ反応せず、一旦冷静になって相手の意図を確認する。この「丁寧に扱う姿勢」こそが、関係の質を高める第一歩となるでしょう。

明日からできることは、シンプルです。嫌なことを言われた時、まずは「一呼吸」。そして「具体的にはどの点ですか?」や「どういう意図でしたか?」と静かに問い返してみる。この小さな習慣が、あなたの人間関係を大きく好転させるはずです。


監修者:あゆ実社労士事務所
人材育成・キャリア支援を軸に約10年の実務経験を持つ、社会保険労務士/国家資格キャリアコンサルタント。 IT企業の人事として、新卒・若手育成、研修設計、評価・キャリア支援の仕組みづくりに携わる一方、個人では企業や個人に向けたキャリア相談・人事支援を行っている。 これまでに累計100名以上のキャリア面談を実施し、1on1制度設計や面談シートの設計、育成施策の言語化を支援。 近年は生成AIを活用した業務設計・人事業務の効率化にも注力し、「現場で使えること」を前提にしたAI活用の伴走支援を行っている。