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【映画】看護学生が見た原爆投下のリアル!今こそ観たい『長崎―閃光の影で―』

  • 2025.7.18

こんにちは。

昭和生まれ、2児の母の地域特派員・ハヅムラルダです!

今年の8月15日、日本は終戦80年を迎えます。

私が子供の頃は、太平洋戦争に関する漫画、ドラマ、映画などに常に触れて育ち、しかも、祖父母などの戦争体験者が家族にいたため、戦時中のエピソードを身近に聞くことができました。それに比べ、現在、私の子供たちは、戦争体験について知る機会が少なくなっているように感じます。

今回、太平洋戦争の悲劇を描いた映画『長崎―閃光の影で―』の試写を視聴することになり、戦争モノをほとんど観たことのない15歳の娘と一緒に観ることにしました。

看護学生の視点から見た長崎の原爆投下後1か月

出典:リビングふくおか・北九州Web

©2025「長崎―閃光の影で―」製作委員会

この映画は、終戦直前に起こった長崎での原爆投下という惨劇を看護学生だった少女たちの視点から描いた物語です。

長崎に帰郷した3人の少女たちが家族と過ごすおだやかな日々から始まりますが、日付が1945年8月ということで、いつあの惨事が起こるのかとドキドキさせられます。

そして、原子爆弾投下による閃光と爆風で、長崎の街は一瞬にして廃墟となります。医療体制もままならない被爆地で、3人は看護学生として奔走し、命と向かい合い続けます。“青春”を奪われた少女たちの苛烈な救護活動の1か月が描き出されます。

実話を元にした強烈なリアル感

観始めると、まず、どのシーンでも画になるような映像の美しさに魅了されます。映し出されるのは、少しセピアがかったレトロカラーとビビッドな自然の色彩が合わさった昭和の風景。ノスタルジックな映像美に、まるでその時代に自分がいるように感じる没入感があります。

出典:リビングふくおか・北九州Web

©2025「長崎―閃光の影で―」製作委員会

被爆者救護の場でも、地獄絵図のように目を背けるほどのショッキングな映像はなく、過酷なシーンであっても美しさがあります。多くの人に観てもらえるようにという監督の配慮のようです。

本作の脚本は、日本赤十字社の看護師たちが被爆後の救護活動を記録した「閃光の影でー原爆被爆者救護赤十字看護婦の手記ー」(1980年出版)という手記を基に脚色を加えながら生み出されたとのこと。それだけに、次々に起こる悲惨なエピソードは克明で実話ならではのリアル感があります。たとえば、目にガラスが入って失明した妊婦の出産、救急救護の場でもあった朝鮮人差別など。経験した人でなければ語れない容赦ない現実は、心に突き刺さり、命の尊さを意識せずにはいられません。

教会やカトリック信者も登場し、当時から長崎でキリスト教が根付いていたことが垣間見えます。本作は、カトリック司教協議会の推薦映画であり、カトリック系の学校に通う娘によると、校内に本作映画のポスターが貼られており、学校でいつも歌う讃美歌を劇中で被爆者が歌うシーンがあったそうです。

新鋭女優たちの好演と長崎ゆかりのスタッフ

出典:リビングふくおか・北九州Web

©2025「長崎―閃光の影で―」製作委員会

愛らしく、ピュアな主人公の看護学生を演じるのは、フレッシュな若手女優3人。共に日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞している菊池日菜子(写真右)と小野花梨(写真左)、NHK連続テレビ小説『虎に翼』に出演していた川床明日香(写真中央)です。菊池日菜子と川床明日香は福岡県出身。それぞれが繊細で瑞々しい演技を魅せています。

ほか、加藤雅也、有森也実、萩原聖人、南果歩など、スクリーンでおなじみのベテラン俳優たちが脇役でも存在感を発しています。

ラストシーンでは、主人公の80年後の姿として、原案にも体験を寄せた元看護学生のひとりである生き証人の山下フジヱさんが特別出演。彼女の思いを語る声に聞き覚えがあると思ったら、長崎出身の被爆者・美輪明宏の声でした。

主題歌は、長崎出身の福山雅治が被爆クスノキを題材にした「クスノキ-閃光の影で-」のプロデュース・ディレクションを担当しており、主人公を演じる3女優が歌っています。

社会的メッセージを持つ作品を手掛けてきた監督の松本准平は長崎被爆3世。長崎ゆかりのスタッフたちが作り上げた長崎色の強い映画なのです。

後世に残すべき戦争の記録

出典:リビングふくおか・北九州Web

©2025「長崎―閃光の影で―」製作委員会

世界が再び戦争の影に覆われて緊張が高まる今、この映画のように、戦争の記憶を後世に伝えることは、ますます重要になっていると感じます。

初めて映像化した戦争体験を目の当たりにした娘は、本作を「みんなが観るべき」作品だと思ったようです。日本人が過去体験した戦争の悲惨さと平和の大切さが次の世代に伝わり、未来へ繋いでいければいいな、と思います。

夏休みに子供と観る映画として、終戦の日に平和を意識するために、おすすめの映画です。

出典:リビングふくおか・北九州Web

映画『長崎―閃光の影で―』
◆公開日:2025年8月1日(金)より全国公開
◆福岡県内の公開劇場:ユナイテッド・シネマ福岡ももち、シネプレックス小倉、ユナイテッド・シネマなかま16、TOHOシネマズ 福津、ららぽーと福岡、TOHOシネマズ直方、ユナイテッド・シネマトリアス久山、T・ジョイ久留米、kino cinéma天神
・原案:「閃光の影で―原爆被爆者救護 赤十字看護婦の手記―」(日本赤十字社長崎県支部)
・監督:松本准平
・出演:菊池日菜子、小野花梨、川床明日香、水崎綾女、渡辺大、田中偉登、加藤雅也、有森也実、萩原聖人、利重剛/池田秀一、山下フジヱ、南果歩、 美輪明宏(語り)
・主題歌:「クスノキ ―閃光の影で―」(アミューズ/Polydor Records)作詞・作曲:福山雅治
・制作プロダクション:SKY CASTLE FILM ふればり
・推薦:日本カトリック司教協議会
・後援:長崎県 長崎市 公益財団法人 長崎平和推進協会
・『UDCast』方式による視覚障害者用音声ガイド、聴覚障害者用日本語字幕に対応
(2025年/110分/配給:アークエンタテインメント)
公式サイト:https://nagasaki-senkou-movie.jp/
©2025「長崎―閃光の影で―」製作委員会

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