1. トップ
  2. 『レンタル・ファミリー』大規模ロケに潜入!日曜日の東京・神楽坂でどうやってハリウッド映画を撮影した?

『レンタル・ファミリー』大規模ロケに潜入!日曜日の東京・神楽坂でどうやってハリウッド映画を撮影した?

  • 2026.3.10

アカデミー賞俳優ブレンダン・フレイザーが、日本を代表する多彩なキャストと共に贈る感動ドラマ『レンタル・ファミリー』が公開中だ。全編オール日本ロケとなった本作は、東京をはじめとした各地の風景が作品に彩りを与え、ロケ地が“もうひとりの主役”ともいえる存在だ。

【写真を見る】エキストラも本気の仮装!1年先のお祭りを再現した神楽坂での大規模ロケ

オール日本ロケで撮影されたハリウッド映画『レンタル・ファミリー』 [c]2026 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.
オール日本ロケで撮影されたハリウッド映画『レンタル・ファミリー』 [c]2026 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.

そんな本作での東京ロケ撮影を支援したのは、公共施設、民間施設、映像事業者、関連業者、地域の人々との協力によって、東京での映画やドラマなどの円滑なロケ撮影をサポートする東京都の窓口である「東京ロケーションボックス」だ。ロケ地の情報提供、案内、調整をはじめ、警察、消防等の関係機関や施設管理者に対する撮影許可手続の方法、ロケの立ち会いや都内区市町村のロケ支援窓口の紹介など、撮影に関する様々なサポートを行っている。

MOVIE WALKER PRESSでは「東京ロケーションボックス」の協力のもと、ポスタービジュアルにも使用された名シーンの撮影が行われた、神楽坂での大規模ロケに潜入!毎年秋に新宿区神楽坂で実際に開催されている「化け猫フェスティバル」を、時期を移して完全再現した撮影現場の模様をご紹介していきたい。

歩行者天国の名所・神楽坂での大規模ロケに潜入!

名実共に世界が注目する映画監督HIKARIが、長編2作目にしてサーチライト・ピクチャーズとタッグを組み、日本を舞台にして世界に送り出したオリジナル作品。東京で暮らす落ちぶれた俳優フィリップ(フレイザー)は、日本での生活に居心地の良さを感じながらも、本来の自分自身を見失いかけていた。そんななか、レンタル家族として他人の人生のなかで仮の役割を演じる仕事に出会い、想像もしなかった人生の一部を体験していく。共演には、エミー賞ノミネート俳優の平岳大、山本真理、新鋭のゴーマン シャノン 眞陽、柄本明らが名を連ねる。

2024年3月から5月の約2か月間、日本各地で撮影が行われ、主演のフレイザーも日本に長期滞在しながら役づくりに臨んだ。「化け猫フェスティバル」のシーンの撮影が行われたのは3月24日。まだ肌寒さが残る日曜日に、編集部はサーチライト・ピクチャーズ製作のハリウッド映画の大規模ロケが実施されると聞いて、歩行者天国の名所と知られる神楽坂に駆け付けた。

“神楽坂の毘沙門様”として知られる善國寺にて撮影が行われた 撮影/植村忠透
“神楽坂の毘沙門様”として知られる善國寺にて撮影が行われた 撮影/植村忠透

当日の天気予報は曇りのち雨。天候が最後まで持つか不安がありつつも、早朝に最初のシーンが撮影される神楽坂の善國寺に到着すると、もうすでに「化け猫フェスティバル」の準備は万端に!「化け猫フェスティバル」主催の表現者・おかめ家ゆうこ全面協力のもと再現され、一部を除いて実際のお祭りとほぼ変わらないのだという。作品の時代設定に合わせて“2025年版”のポスターがあちこちに貼られており、まるで1年未来にタイムリープしてしまった気分にもなる。映画完成後に実施したインタビューでおかめ家も、「2024年は『化け猫フェスティバル』を2回開催した感覚があるんですよ」と話しており、この撮影にどれだけ力が入っていたかが伝わってくる。

受付まで用意されていて、本当にお祭り気分になってくる 撮影/植村忠透
受付まで用意されていて、本当にお祭り気分になってくる 撮影/植村忠透

この「化け猫フェスティバル」の場面では、フレイザー演じるフィリップと依頼者の一人娘・美亜が、“父娘”としての関係を深めていく様子が描かれる。撮影期間はたったの1日で、善國寺境内にてフィリップと美亜が交友を深めるシーンと、安藤玉恵が演じるローラによる占いシーン、そして神楽坂路上での「化け猫パレード」の3シーンの撮影が行われた。

間近で見るブレンダン・フレイザーの演技のすごさ

境内で撮影が始まるのを待っていると、頭に猫耳を着け法被という“化け猫フェスティバル”仕様で現場に登場したフレイザー。美亜役のシャノンとおそろいの化け猫メイクを施し、HIKARI監督、撮影スタッフたちとディスカッションしながら撮影準備に入っていく。本作はハリウッド作品であるものの現場スタッフは日本人が中心。クランクイン後少し経ってからの撮影とのことで、すでに“TEAM HIKARI”として一枚岩になっているように見え、各地で行われているロケ撮影を楽しんでいるようにも感じられた。

【写真を見る】エキストラも本気の仮装!1年先のお祭りを再現した神楽坂での大規模ロケ 撮影/植村忠透
【写真を見る】エキストラも本気の仮装!1年先のお祭りを再現した神楽坂での大規模ロケ 撮影/植村忠透

しかし今回は神楽坂という観光スポットで、しかも日曜日のロケ撮影。ハリウッド映画の撮影が行われているとは思えないほど、一般の通行者があちらこちらからやってくる。本番の瞬間はもちろん物音を立てることができないのだが、だからといって撮影のために神楽坂を完全に封鎖することは不可能だ。そんな時に活躍しているのが、撮影現場でのサポートも行っている「東京ロケーションボックス」をはじめとしたスタッフたちだ。「こんにちは」と笑顔で声がけをしながら、撮影状況に合わせて制作スタッフと協力して、「ご協力ありがとうございました。どうぞお通りください」と丁寧に撮影現場の人の流れをコントロールしていく。時間が限られるロケ撮影での滞りない進行や現場の安全、そして街の人たちがロケを楽しみつつ気持ちよく撮影が進むよう裏側で支えているのだ。

善國寺での撮影中のフレイザー&シャノン。キュートな衣装ながら目は真剣そのもの [c]2026 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.
善國寺での撮影中のフレイザー&シャノン。キュートな衣装ながら目は真剣そのもの [c]2026 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.

リラックスしながらも真剣な眼差しで幾度かのリハーサルを行ったフレイザーとシャノンは、いよいよ本番の撮影に。寺院周辺は通行人も含めた皆の協力のもとで静まり返り、10mほど先で演技している2人の声もはっきりと聞こえてくる。その先にいるのは、オスカー俳優のブレンダン・フレイザーではなく、父親のような存在になろうとしているフィリップが実在しているように感じ、その表現力豊かな演技に思わず見とれてしまうほど。スタッフたちも物語の核となるこのシーンの撮影に集中力が高まっている様子で、続く占いシーンでは、HIKARI監督が化け猫仕様の出店を縦横無尽に動き回り、フレイザー、シャノン、安藤の4人でディスカッションを行っている姿が印象的だった。

総勢200人超!大迫力の「化け猫パレード」撮影の裏側

神楽坂は正午から歩行者天国となるため、午前中と比べてもかなりの人だかりができてきたなか、境内での撮影が終了し休憩をはさみつつ、化け猫の仮装でダンスパフォーマンスを行う「化け猫パレード」のシーンへと移っていく。このシーンでは神楽坂の車道を大胆に使い、総勢200名以上にも及ぶボランティア&エキストラによってパレードが行われる。実際の「化け猫パレード」に参加しているパフォーマーたちに集まってもらったとのことで、大がかりなシーンでも抜群の連帯感でまとまっていた。

ド迫力でパレードが行われ、思わず一般の人も見入ってしまう 撮影/植村忠透
ド迫力でパレードが行われ、思わず一般の人も見入ってしまう 撮影/植村忠透

スタッフたちは画面に映り込んでも大丈夫なよう猫耳を着け、なかには簡単なメイクをしている人も!?車道にカメラが移動できるようにレールを敷き撮影準備が完了すると、まずはリハーサルから始まる。音楽隊の太鼓が大音量で轟き始めると、全員が前へと進みながら踊りだしパレードがスタート!通りすがりの歩道の人たちが、思わず見入ってしまう迫力だ。しかしある程度の距離を進んだところでスタッフから合図されると、太鼓の音が鳴りやみ、化け猫パフォーマーたちは最初の位置へと戻っていった。そう、これは“映画の撮影”なので、当たり前なのだが一度のパレードですべてを撮り切ることはできないのだ。

指示を出すスタッフも猫耳着用!連帯感がすごい 撮影/植村忠透
指示を出すスタッフも猫耳着用!連帯感がすごい 撮影/植村忠透

カメラアングルを変えてはリハーサルと本番と、何度もパレードが繰り返し行われ、そのたびに何度も往復することに。3月下旬の昼ごろとはいえ気温も低く、撮影が進むにつれて疲れも当然溜まるのだが、周りのパフォーマーたちと声掛けをしながら士気を高めていき、全力のパフォーマンスを披露し続けていた。

その後1~2時間パレードは続けられたが、撮影はまだまだ終わらない。次はフレイザーとシャノンを交えてのパレードだ。ロケ撮影ゆえに日没というタイムリミットがあるなか、リハーサルと本番の一回一回を、俳優陣、パフォーマー、スタッフら全員の集中力を注ぎ込む姿には、離れた位置で見学していた編集部員も魂が打ち震える感覚になる。この躍動感のあるシーンは、撮影のために集まった数百人が各々の役割を完璧にやり遂げた結果生まれており、作品のポスタービジュアルとして使用されるのも納得がいく。

何度も往復して撮影をしても、笑顔は決して絶やさない! 撮影/植村忠透
何度も往復して撮影をしても、笑顔は決して絶やさない! 撮影/植村忠透

途中、天気予報どおりに小雨となる場面もありつつも、パレード撮影はその後も撮影アングルを変えながら繰り返し行われ、ついに最後の「カット」の声がかかる。その場にいた全員が清々しい笑顔となり現場全体に充実感が漂った…のもつかの間、途端に雨が強くなり撮影できないほどの土砂降りに。ギリギリのタイミングで撮影しきれたのは、映画の神様がHIKARI監督に味方したのか、いやはや化け猫たちが発揮した魔力なのか…。ともあれ、早朝から準備が始まり、日没ギリギリまで行われた神楽坂でのロケ撮影は終了した。

この一連の撮影にフレイザーも来日した際のインタビューで、「エキストラの皆さんは全員ボランティアでしたが、『これが私たちの仕事、私たちは猫だ』という意識で演じてくださいました。彼らがすばらしい衣装を身につけ、街中で歌い踊る光景に心から興奮しました。日本のエキストラは世界一だと、僕は本気で思っているんです」と大絶賛。また、エグゼクティブ・プロデューサーを務めた小泉朋も「スタッフのなかには不安視する人がいましたし、確かにリスクはあると思っていたんですけど、おかめ家さんたち『化け猫フェスティバル』を主催する皆さんが一緒につくってくださって、なにしろ助けていただいたなと実感しています」と感謝しきりの様子だ。

フレイザー&シャノンも最高の笑顔を魅せ、ポスタービジュアルにも使用された [c]2026 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.
フレイザー&シャノンも最高の笑顔を魅せ、ポスタービジュアルにも使用された [c]2026 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.

また、すでに本作を鑑賞した方ならご存じだと思うが、この『化け猫フェスティバル』のシーンは実際の映画の上映時間のなかではとりわけ長いシーンではない。だが演者やスタッフ、ボランティアを含めた全員が一丸となって全力を作り上げた瞬間の積み重ねによって、本作のなかでも印象深く心に残る場面へと深化しているのであろう。

『レンタル・ファミリー』で日本の魅力を再発見!

鑑賞前後でチェックしたい『レンタル・ファミリー』特別ロケーションマップ [c]2026 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.
鑑賞前後でチェックしたい『レンタル・ファミリー』特別ロケーションマップ [c]2026 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.

日本でオールロケを敢行した本作は、自然な形で日本独自のカルチャーが盛り込まれ、日本各地の美がスクリーンに刻み込まれている。今回現場レポートをした神楽坂以外にも、文豪・坂口安吾にも愛された浅草にあるお好み焼きの名店「染太郎」や、武蔵新田駅近くの「中華麺舗 虎」、麻布台ヒルズにある「チームラボボーダレス」など多くの名所が登場する。公開に合わせて制作された特別ロケーションマップでは、そんな数々のロケ地情報が集約されているので、ぜひこのマップと共に本作で東京をはじめとした日本の魅力を味わいながら、温かさと優しさに満ちたドラマを堪能してほしい。

取材・文/MOVIE WALKER PRESS編集部

元記事で読む
の記事をもっとみる