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熱帯夜のリスクに注意! 快眠のための対策や習慣

  • 2025.7.9

気候変動の影響で、命が危険にさらされるほどの猛暑日が増えています。夜になっても暑さに注意が必要で、熱帯夜だと、家の中で寝ているだけで、熱中症になる危険があります。

この記事では、熱帯夜に考えられるリスクや、暑い中でも安眠する方法のほか、災害時の熱帯夜対策や熱中症予防について紹介します。

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熱帯夜が引き起こすリスクとは?

熱帯夜とは、夕方から翌朝までの最低気温が25℃以上になる夜のことをいいます。

特に都市部は自動車やエアコンなどによる人工排熱が多く、アスファルトの道路やコンクリートの建物が熱を蓄積するため、郊外よりも気温が高くなるヒートアイランド現象が発生しやすくなります。

そのため、夜になっても気温が下がりにくく、熱帯夜を記録する日が増えています。

熱帯夜には次のようなリスクがあります。

熱中症のリスクが高まる

暑さの厳しい日中に屋外で作業をしたり、激しい運動をしたりするときには、多くの人が熱中症を警戒するでしょう。

しかし、実際に熱中症で救急搬送された人の発生場所をみてみると、最も多いのは住居(敷地内全ての場所を含む)となっていて、総務省の調査では全体の約4割を占めています。

熱帯夜にはエアコンを使用するなどの暑さ対策をしないと、寝ている間に熱中症になる危険があります。

就寝中は倦怠感や手足のしびれなどの熱中症の初期症状に気づきにくく、重症化しやすいので注意が必要です。

停電時は命に関わる危険も

地震や雷、台風などの災害によって停電が発生した場合、エアコンが使えなくなるおそれがあります。また、緊急避難場所や避難所に指定されていることの多い学校の体育館は、エアコンが設置されていないことも少なくありません。

厚生労働省の調査によると、熱中症による年間の死者数は近年1,000人を超える年が増えています。そして、2018年以降65歳以上の高齢者が8割を超えている状況です。

高齢者や乳幼児、持病のある人などは熱中症にかかりやすく、家の中にいても普段からエアコンを適切に使い、暑さ対策をすることが命を守ることにつながります。

そして、停電などによりエアコンが使えない場合の暑さ対策を検討し、備えておくことが大切です。

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暑さによる睡眠障害が招く体調不良

熱帯夜には、熱中症以外の危険もあります。寝苦しくて夜中に何度も目が覚めてしまったり、なかなか寝付けなかったりすることに悩んでいる人もいるでしょう。「寝不足で疲れが取れない」という声も、よく聞きます。

睡眠は人体にとって欠かせない休養で、睡眠が不十分だと、脳や心臓の血管、代謝、内分泌、免疫などに影響を及ぼし、病気のリスクを高めることが分かっています。

体温調節の機能も低下するため、熱中症になる危険も高まります。

熱帯夜でも安全に眠るための対策

ここでは、熱帯夜における具体的な安眠対策と熱中症対策を紹介します。

エアコンは就寝1時間前までにつけ、温度設定は28℃前後に

夜になっても、家の中に日中の熱気がこもっていることがあります。寝室のエアコンは就寝時間の1~2時間前につけ、部屋をしっかりと冷やしておきましょう。

寝るときの温度設定は、体を冷やし過ぎない28℃前後が目安です。外気との温度差がありすぎると、夏バテの原因にもなるので注意しましょう。

エアコンの冷気が室内を循環するように、扇風機やサーキュレーターの併用もおすすめです。ただし、眠っている間に涼しい風を直接体に当てるのは、体温が下がりすぎてしまうおそれがあるので避けましょう。

冷感寝具や通気性のよい寝具を利用

寝具選びも大切です。人は寝ている間にもたくさん汗をかくので、パジャマは汗を吸収しやすく、通気性のよい素材を選びましょう。

シーツや枕カバーは肌に触れたときにひんやりとする接触冷感素材が快適です。寝具の湿気が気になるときは、マットレスの下などに敷く除湿シートを活用しましょう。

就寝前の入浴や水分補給で体を冷やす

生活習慣にも、安眠のヒントがあります。入浴は就寝の1~2時間前に済ませましょう。夏はシャワーで済ませたくなりますが、ぬるめのお湯につかるのがポイントです。

お風呂から上がったら、脱水予防にコップ1杯の水を飲むようにしてください。入浴後、上がった体温が下がるときが、入眠しやすいタイミングです。

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災害時に備えておきたい暑さ対策グッズ

ここからは、災害時にも役立つ暑さ対策グッズを紹介します。

電気不要の冷却グッズ

災害で停電が発生した時や、エアコンのない学校の体育館に避難した時には、電気を使わない冷却グッズが役立ちます。

例えば、28℃以下で凍結するネッククーラー、水で濡らして使う冷感タオルなど、普段の外出やアウトドアで使っている暑さ対策グッズを活用しましょう。

また、叩くと冷たくなる冷却パックや、冷却スプレーなども暑さ対策に役立ちます。スポーツで捻挫したときなどの応急処置(アイシング)用として備えている家庭もあるでしょう。

冷蔵庫は、停電してもドアを閉めたままにしておくと2~3時間は冷気を保ちます。冷凍庫に入っている保冷剤や氷枕も、溶けてしまう前に有効活用してください。

電池式・手動式の扇風機やうちわ

ハンディタイプの扇風機をはじめ、手であおぐうちわや扇子も役立ちます。風があたると涼しく感じる理由は、皮膚のまわりの温まった空気を動かしてくれるから。肌を水で濡らしてから風をあてると、蒸発するときに熱を奪う気化熱の働きで、より涼しく感じます。

ハンディタイプの扇風機は、電池式または充電式が多いので、替えの電池やポータブルバッテリ―も用意しておきましょう。電池を使わない手回しタイプの扇風機もあります。

飲料水や経口補水液の備蓄

水分補給は熱中症対策の基本です。災害時には断水が発生するおそれがあるので、飲み水を備蓄しておきましょう。備えておく量の目安は、1人1日3Lを最低3日、できれば1~2週間分」です。

ペットボトルの水だけでなく、常温で保存できる飲み物であれば、普段から飲んでいる紙パックのジュースやレトルトのスープなどを多めに買い置きして、備蓄に数えてもかまいません(ただし、アルコールは除きます)。

たくさん汗をかいたときには、汗とともに失われる塩分を補うことが大切なので、夏は経口補水液やスポーツドリンクも用意しておくとよいでしょう。

暑さ対策グッズは防災バッグに常備を

災害の危険が迫っているときに一時的に身を寄せる避難場所や、自宅が被災したときに生活の場となる避難所には、エアコンが設置されていないかもしれません。もし設置されていたとしても、停電で使えないおそれがあります。

避難の際に持ち出す荷物をまとめた防災バッグは、季節ごとに中身を点検し、春から秋にかけては暑さ対策グッズを入れておくようにしましょう。

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高齢者や子どものいる家庭での注意点

高齢者は体温調節の機能が低下しているため熱中症になりやすく、体調の異変に気づきにくくなっています。また、乳幼児も体温調節の機能が未熟で、体調が悪くても言葉で伝えることができません。そのため、周囲の見守りや声かけが大切です。

こまめな見守りと声かけ

熱中症になる危険が高いタイミングは「暑くなり始めの時期」「急に熱くなった日」「熱帯夜の翌日」「厳しい暑さが続いているとき」です。

身近な高齢者や子どもには、服装の調節やエアコンの利用を勧め、「のどが渇いた」と感じる前のこまめな水分補給を呼びかけましょう。

ぼーっとしていたり、口数が少なかったり、食欲がなかったりするのは体調不良のサインかもしれません。顔が赤く、たくさん汗をかいているとき、めまい、吐き気、倦怠感などの症状があるときは熱中症のおそれがあります。

水分と塩分をとり、涼しい環境で休んでも体調が回復しなければ、病院を受診しましょう。意識がはっきりしないときは、救急車を呼んでください。

夜間の室温チェックを習慣に

高齢になると体温調節の機能が低下するだけでなく、暑さそのものを感じにくくなります。だからといって、熱中症の危険が減るわけではありません。

「まだ大丈夫」とエアコンをつけないでいるのは危険です。温湿度計を確認し、気温が高い日にはエアコンをつけることを習慣にしましょう。

快適に眠れる環境は季節によっても異なりますが、寝具の中の温度が「33℃前後、湿度50%前後」です。エアコンの設定は28℃前後が目安ですが、使用状況や室内の環境によっても効き方が変わるので、やはり温湿度計で実際の室温を確認して調節することが大切です。

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まとめ

夜間の熱中症は重症化しやすく、命に関わります。暑さ対策、熱中症対策をしっかりとして熱帯夜を安全に過ごしましょう。

また、災害時には停電や断水が発生するおそれがあります。電気を使わない暑さ対策グッズや、飲料水などを備えておきましょう。

<執筆者プロフィル>
山見美穂子
フリーライター・防災士
岩手県釜石市生まれ。幼いころ両親から聞いた「津波てんでんこ」の場所は、高台の神社でした。

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