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老眼になったらどうすればいい?対策の基本を眼科医岩見先生にお伺いしました

  • 2026.3.11

なんか最近スマホの画面が見づらい・・・これって、もしかして老眼?!
誰でもなるといわれていても、自分はまだだと思っていたのに・・・もしかして老眼鏡が必要?
それとも、老眼も治療は可能なの??
老眼について、いわみ眼科院長の岩見久司先生による解説です。

これって、老眼の始まり?!

「最近、手元が見えにくい」
「ピントが合うまでに時間がかかる」
こうした変化を感じ始めるのが、45歳〜50歳頃です。
そして50歳〜55歳になると、老眼の症状がはっきりしてきたと感じる方が増えてきます。
老眼は誰にでも起こる自然な変化ですが、正しい知識がないと、
「我慢するしかない」
「どう対処すればいいか分からない」
と悩みがちです。
まずは、老眼の正体から整理してみましょう。

老眼で起きているのは、水晶体の柔軟性の変化

老眼の原因は、目の中にある水晶体が年齢とともに硬くなることです。
水晶体はピントを合わせるために形を変えていますが、加齢によって柔軟性が失われ、調節力が低下していきます。
老眼の初期に起こるのは、単に近くが見えなくなることではありません。
ピントを合わせるまでに時間がかかること、そして重要なのは、一度かけた調節が元に戻るのにも時間がかかるようになる点です。
このため、
・あるときは見える
・少しすると見えにくくなる
・日によって調子が違う
といった、見え方が安定しないという症状が生じます。

老眼対策の基本は「見る距離を離す」こと

老眼への対処として誤解されやすいのが、「意識して遠くを見る時間を作る」という考え方です。
本当に大切なのは、物を見るときに、できるだけ距離を離して見る習慣をつけることです。
老眼では、水晶体に強い調節をかけると、その状態からの回復が遅くなります。
物を近づけすぎて見ると、水晶体に過剰な負担がかかり、結果としてピントが戻りにくくなり、見え方の症状が安定しなくなります。
「さっきは見えたのに、今は見えにくい」と感じる原因の一つがこれです。
ここで見落とされがちなのが、姿勢の影響です。
スマートフォンやパソコンの使用が増えた現代では、子どもだけでなく大人でも前かがみの姿勢が習慣化しています。
姿勢が悪くなると、自然と物との距離が近くなり、水晶体に強い調節がかかりやすくなります。
老眼対策としては、
・物を見るときに距離を離す
・姿勢を整え、見る距離を安定させる
・足りない分を眼鏡やコンタクトで補う
この3点を意識することが、見え方を安定させ、老眼に悩まないための基本になります。

近視と遠視で、老眼の感じ方は大きく違う

老眼の自覚症状は、もともとの目の状態によって大きく異なります。
近視の人は、眼鏡やコンタクトレンズの度数を少し緩めることで、老眼の初期には比較的楽に対応できることがあります。
近くを見るための余裕を作れるためです。
一方、遠視の人はより強力な対策が必要です。
遠視では、近くを見るだけでも強い調節が必要なため、老眼が始まると早い段階から見えにくさを強く感じます。
道具を使わずに対処することは難しく、早めのサポートが必要になります。

老眼対策としての眼鏡とコンタクトレンズ

老眼対策の道具としては、遠近両用眼鏡と遠近両用コンタクトレンズのいずれも、現在では一般的な選択肢になっています。
それぞれに特徴があり、生活スタイルや見え方の好みによって向き不向きがあります。
遠近両用眼鏡は、目線の位置によって遠方用と近方用の度数を使い分ける仕組みです。
使い始めには、視線の動かし方に少し慣れが必要ですが、画質が大きく落ちることは少なく、見え方が比較的安定しやすいという利点があります。
日常生活全体を一つの眼鏡でカバーしやすい点も特徴です。
一方、遠近両用コンタクトレンズは、1枚のレンズで遠くも近くも見ようとする構造になっています。
そのため、近くを見やすくするために加入度数(老眼の度)を強くすると、見え方の質が低下し、人によっては「ぼやける」「はっきりしない」と感じることがあります。
細かい文字を見る作業や長時間の近業では、不満が出る場合もありますが、眼鏡をかけずに過ごしたい方にとっては有用な選択肢です。
どちらが優れているというよりも、何を重視するかによって適した道具が変わると考えるのが現実的です。
なお、遠近両用眼鏡を選ぶ場合には、処方の質が使い心地を大きく左右する点にも注意が必要です。
特に重要なのが、左右それぞれの瞳孔間距離(PD)です。目の位置には左右差があることが多く、これを考慮しないと、遠近両用レンズ本来の性能を十分に発揮できません。
眼鏡を作成する際には、PDが左右別に測定・記載されているかを確認することが、満足度の高い眼鏡につながります。

新しい老眼治療は冷静に考える

近年、多焦点眼内レンズによる白内障手術や有水晶体眼内レンズ挿入術といった選択肢も登場しています。
ただし、いずれも手術である以上、慎重な判断が必要です。
また、アメリカではFDA承認の老眼点眼薬も登場していますが、暗く見えるなどの副作用や長期的な安全性の問題があり、日本では現時点で様子を見るべき段階と考えられます。
背景には、眼鏡使用への心理的抵抗が日本より強い文化もあります。

まとめ:老眼は「正しく知って、上手に付き合う」

老眼は誰にでも起こる変化ですが、症状も対処法も人それぞれです。
見る距離を意識し、姿勢を整え、眼鏡やコンタクトを上手に使い、新しい治療は冷静に検討する。そして迷ったら眼科で相談する。
正しい知識を持つことが、老眼に悩まないための第一歩です。

[執筆者]


岩見久司先生
いわみ眼科院長
加齢黄斑変性や糖尿病網膜症などを得意とする網膜内科医。
網膜の病気に将来繋がっていく可能性のある小児の近視が現在急増しており、近視治療にも積極的に取り組んでいる。
令和5年度より、「100歳まで見える目」をたくさんの方が持てるように啓蒙活動も開始。
1日100人を超す外来をこなしながら、若手医師の教育や医師・医療関係者向けの講演も頻繁におこなっている。

大阪市立大学医学部卒
医療法人社団久視会 いわみ眼科理事長
眼科専門医
医学博士
兵庫医科大学非常勤講師

いわみ眼科
https://iwami-eyeclinic.com

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