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“日本の芸術界のため”に西洋美術を蒐集。大原孫三郎のコレクションから始まった、岡山〈大原美術館〉

  • 2025.7.1
エドヴァルト・ムンク《マドンナ》、エル・グレコ《受胎告知》、児島虎次郎《和服を着たベルギーの少女》/大原美術館蔵
エドヴァルト・ムンク《マドンナ》、エル・グレコ《受胎告知》、児島虎次郎《和服を着たベルギーの少女》/大原美術館蔵

親友とともに蒐集した、西洋美術を公開するために

大原美術館(岡山/倉敷市)

倉敷の事業家で日本美術のコレクターでもあった大原孫三郎が、1930年に設立。日本で最初にできた西洋美術中心の私立美術館だ。世界的名画が並ぶ本館や、民藝の陶芸や版画が並ぶ工芸・東洋館を、倉敷旅の行きつけに挙げる人も多い。

そんな館が生まれたきっかけは、岡山出身の画家・児島虎次郎(1881~1929年)。大原の薦めで渡欧した児島は、現地で制作に励む一方、「日本の芸術界のために」と作品蒐集を思い立つ。大原の協力のもと、何度かの渡欧でモネ、マティス、エル・グレコらの作品を集めた児島だったが、その後47歳で逝去。

早すぎる死を悼んだ大原は翌年、児島が集めた作品と児島自身の作品を公開するために美術館を開いた。「今を生きる人々にとって意義あることを」という2人の願いは、今も館に息づいている。

エル・グレコ《受胎告知》
日本に2点のみのエル・グレコ作品のうち1点が本館に展示。高さ1m以上。伝統的な宗教画とは違う、動きのある大作は圧巻。《受胎告知》1590年頃~1603年、油彩、キャンバス。大原美術館蔵。
児島虎次郎《和服を着たベルギーの少女》
児島虎次郎がベルギー留学中に制作。絵を見た現地の画家エミール・クラウスからの助言は、その後の創作の礎となった。《和服を着たベルギーの少女》1911年、油彩、キャンバス。大原美術館蔵。
エドヴァルト・ムンク《マドンナ》
エドヴァルト・ムンクによる《マドンナ》には、複数バージョンの油彩画と版画版がある。大原美術館では版画版を所蔵。1895~1902年、石版、紙。
河井寛次郎《三色釉扁壺》
河井寬次郎《三色釉扁壺》1963年。江戸期の米蔵を改装した〈工芸・東洋館〉に展示。ともに大原美術館蔵。

Information

岡山〈大原美術館〉外観

大原美術館(岡山/倉敷市)

1930年開館。子供が美術に出会う場としてのプログラムも充実。〈児島虎次郎記念館〉開館準備中。

住所:岡山県倉敷市中央1-1-15 
TEL:086-422-0005
営:9時~15時(3月~11月は~17時)
休:月曜(7月下旬~8月は無休)
入館料:一般2,000円

profile

実業家・大原孫三郎

大原孫三郎(実業家)

おおはら・まごさぶろう/1880~1943年。社会事業にも注力し、倉敷に病院や農業研究所、貧しい子弟のための奨学会を開設。画家の児島虎次郎も奨学生だった。

紹介している作品は、展示替えや貸し出しなどで展示されていない場合もあります。

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