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【インレッド的女子のための本棚】「美肌投資」著者・美容エディター吉田瑞穂さんが推薦する2冊の本を紹介

  • 2025.4.14

InRed世代に読んでほしい書籍をご紹介!今回は、『美肌投資』(扶桑社)を発売した、美容エディター・ジャーナリストの吉田瑞穂さん推薦の2冊です。

美しさの多様性と脳内で定義される美の深淵

美容ページに掲載する写真を選ぶたび、自分の感覚を疑います。「私はこの写真を美しいと思ったが、皆そうだろうか」と。この世には黄金比のものですら否定する人がいる。美に対する眼差しの多様性の裏に、網膜で像を結び脳に情報が送られる時点で何か違いがあるのかも。そんな疑問から「脳内で定義される美」をテーマに選書しました。

1冊目は『天才と発達障害―映像思考のガウディと相貌失認のルイス・キャロル』。この本と出合った頃、長女を産んだばかりでした。二人の天才を通し、脳の偏りが極まると美もまた極まる例に感嘆するとともに、認知様式の差異で目に映る世界がまったく違うことを痛感。子育てもその視点を大切にしようと思ったと同時に、自分の美的感覚を疑い続けると決心した本です。

2冊目は、言わずと知れた名作『金閣寺』。現在の娘と同じ頃(中学時代)に読みました。金閣を通して「現実の美」と、主人公の「脳内で定義された美」の衝突を目の当たりにします。やや自己陶酔的にも感じる筆致ですが、美しさの多様な文章表現は、感受性豊かな10代に刺さりました。

2冊とも事実をベースに書かれた本ですが、まさに事実は小説より奇なり。脳が作り出す奇妙な現実が、美しさの傍らにある。そんな内容に惹かれたのかもしれません。

文=吉田瑞穂

『天才と発達障害 映像思考のガウディと相貌失認のルイス・キャロル』 岡 南著/講談社

視覚優位のアントニオ・ガウディと聴覚優位のルイス・キャロル。彼らの認知の偏りが、偉大なる「サグラダ・ファミリア聖堂」や「不思議の国のアリス」を生み出した。発達障害の新たな可能性を探る衝撃の書。

『金閣寺』 三島由紀夫著/新潮文庫

寺が寝静まる。私は金閣に一人になる。吃音の悩み、身も心も奪われた金閣の美しさ――昭和25年の金閣寺焼失事件を題材として、放火犯である若い学僧の破滅に至る過程を抉る問題作。31歳の三島が自らの内面すべてを託した不朽の名作。


今回、おすすめ書籍を教えてくれたのは…
吉田瑞穂さん

大手通信キャリアを経て、2001年美容記者・編集者として独立。女性誌、広告、会報誌などの制作に携わる。2005年美容コンテンツ制作チームmuseを設立。化粧品開発なども手がける。1児の母。趣味は旅、グルメ、サウナ、都市伝説。

『美肌投資』 ¥1,870/扶桑社

あふれる玉石混交の美容情報から、なにを選べばいいのか? 美容編集・記者歴25年・2万5000個の美容アイテムを熟知した筆者が、医師・化粧品開発者・美容医療機器エンジニアなど膨大な取材をもとに、効率的な肌管理に導く令和の「肌管理指南書」。

※InRed2025年5月号より。情報は雑誌掲載時のものになります。
※画像・イラスト・文章の無断転載はご遠慮ください。

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