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防災士の資格を持つ著者が綴る東日本大震災の経験。地震対策と被災後に役立つ知識が詰まった実録コミックエッセイ【書評】

  • 2026.3.8

【漫画】本編を読む

※本書は、現在防災士としても活動する漫画家&イラストレーターの著者・アベナオミ氏が、東日本大震災を経験した当時(2011年3月11日〜4月)の詳細なメモをもとにまとめた作品です。津波など自然災害を想起させるシーンがありますので、予めご留意の上お読みください。

近年の地震と異常気象の脅威は以前よりも大きくなっている。その経験から店頭では防災グッズのコーナーが目立つようになるなど、防災への意識はこれまでよりとても高くなっている。しかし、生活が激変するような災害を経験したことのない人にとって、いざ実際に被災してしまったときにどんな行動や判断をすれば命が助かるのかは本当にわからないものだ。『今日、地震がおきたら』(アベナオミ/KADOKAWA)は、著者のアベナオミ氏が、宮城県利府町周辺で自身が経験した東日本大震災発生直後の1カ月間の様子と、そこから得られた教訓をまとめたコミックエッセイである。

著者は当時20代後半で、夫と1歳7カ月の長男と3人で暮らしていた。地震後、アベ家の家屋は住めなくなるほどの損傷は受けなかったために避難所へは行かず自宅避難する「中間被災者」と呼ばれる被災者となる。この地震の後に生まれた著者の子どもたちが勘違いしているように、ニュースで流される避難所の様子だけが被災地域に住まう人々のすべてではないことをあらためて思い知らされる。自宅にいながら電気と水道が止まり、町に物資が届かない日々の記録は、未経験者にとって想像以上の状況だろう。そんな日々を工夫したり我慢したりしてなんとか乗り切っていくので、ほぼ全ページに学ぶべきことが描かれているといっていい。

また、各章の最後に掲載されているコラムページには、マストで備蓄しておくべきもの、被害が拡大しない家具の配置などの予防策のほか、被災後の限られた物資での調理方法の知識などがとてもわかりやすく説明されている。特に乳幼児に必要なものや生理への備えなど、性別が違うと見落としがちになりそうな生活用品のことがしっかり記載されているのも心強い。

本書のタイトル通り、いつどこで起きてもおかしくないのが自然災害だ。描かれている経験と知識から学べることは、自分と家族のためになるのはもちろん、当事者にならなくても間違いなく誰かの役に立つ。この作品に出合えて良かったと思うときがきっと来る。

文=nobuo

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