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筋肉、体力を蓄えるのも大事な防災!秋に取り組みたい防災トレーニング

  • 2026.10.30

からっとした空気に高い空。身体を動かしやすい季節になりました。「スポーツの秋」とよく言われますが、日ごろから運動習慣は持っていますか?

いま、「防災筋力」「減災体力」という言葉が注目されています。スポーツ庁も、2026年9月1日の防災の日に体験型防災教育プログラム「PLAY BOSAI」を発表しました。スポーツの要素を取り入れ、楽しみながら防災の知識や体の動かし方を学べるプログラムになっています。

いざという時、自分の命を守ったり、人を助けたりするために動ける体力があるかどうかは、防災上、大切な要素です。知識や備蓄だけではなく、この秋、体力もアップデートして「もしも」に備えておきましょう。

大災害時、自分や家族を救うために必要なのが筋力や体力!

内閣府の2014年度防災白書によると、阪神大震災の発生時、生き埋めになったり、閉じ込められたりした人のうち、救助隊によって救助されたのはわずか1.7%で、95%以上は自力で脱出したか、家族や友人、隣人によって救助されています。このデータが示すのは、発災直後の自助や共助の重要性です。自らの力で避難したり周囲の人を助けたりするための筋力や体力を維持することは、防災対策の一つといえそうです。

東日本大震災発生時には、交通網の麻痺により、徒歩で帰宅した人も少なくありません。遠くに職場のあった友人は、9時間半かけて徒歩で帰宅したと話していて、日ごろから脚力を鍛え、体力を備えておくことの大事さを感じさせられました。

スポーツ×防災 スポーツ庁の提唱するPLAY BOSAIとは?

スポーツ庁が開発した「PLAY BOSAI」は、スポーツの楽しさを取り入れた体験型防災教育プログラムです。体を動かしながら災害時に役立つ「判断力・行動力・協力意識」を養えるのが特徴です。地域コミュニティでの「共助」の意識を高め、有事の際に助け合える社会の実現を目指しています。

主な種目は次の通りです。

避難所を模した場所と物資のある場所を往復する「避難所シャトルラン」は、避難所に何が必要なのかを考えながら、物資を正しく運び終えるまでのタイムを競います。「防災スクワットチャレンジ」は、スクワットを行いながら、地震、火事、水害といった災害を想定した防災ポーズをとることで、体力と防災意識の両方を高めます。目標重量を予想してリュックに物資を詰める「非常持ち出し袋ウエイトチャレンジ」は、「運べる重さを正しく見積もる力」と「荷物を背負った状態で安全に移動する力」を同時に鍛えます。

多くの自治体で「PLAY BOSAI」を体験できるイベントが開催されているので、興味のある方はぜひこちらから、今後の開催予定などを調べてみてください。

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あなたの減災体力はどのぐらい? 自分や大切な人を守るための体力はありますか?

災害が起きたとき、自分の力で安全な場所まで逃げ切るための体力を「減災体力」といいます。災害には、いつ、どこで遭遇するかわかりません。地面が液状化して、歩くのが不安定な場所にいる可能性もありますし、高層マンションや高層ビルで階段を使わなければならないケースも十分考えられます。重たい非常用持ち出し袋を背負って移動しなければならないかもしれません。

そう考えると、避難には、重たい荷物を背負って階段を上り下りする脚力や、がれきの上など足場の悪い場所でも倒れずにバランスをとる体幹、長い距離を歩ききる持久力など、日常ではあまり意識することのない、“総合的な体力や筋力”が必要とされることが分かります。体力不足は避難の遅れや転倒につながり、生死を分ける可能性も。特に、高層マンションや高層ビルがある大都市では、体力は「いのちを守る武器」にもなり得るのです。

東日本大震災などをきっかけに、体力作りに励む人が増えた時期もあったようですが、のど元過ぎれば‥‥で、現状では、日ごろから運動を習慣にしている人は多くはないようです。

厚生労働省の2024年「国民健康・栄養調査結果の概要」によると、運動習慣のある人の割合は、男性が38.5%、女性が31.5%となっており、半数以上の方は運動習慣がないのが現状です。

株式会社ウィンゲート(東京都板橋区)では、この減災体力を測定するプログラム「減災体力測定」を開発しました。個々の体力を科学的に「見える化」し、どんなトレーニングをすればいいのかを教えてくれるというものです。減災体力測定では、災害発生後の生死を分ける初動において、自力避難の目安となる体力レベルを「階段20階昇降+5km歩行」と設定。災害現場での行動を徹底的に分析し、必要不可欠な身体能力として、以下の5つの測定項目に集約しています。

1:脚力(椅子立ち上がり)
2:バランス力(片足立ち)
3:筋持久力・運搬力(物資搬送)
4:敏捷性・判断力(四方向ステップ)
5:全身持久力(低姿勢移動)

例えば、1の「脚力」が必要な想定場面は、家具の下からの脱出や階段の上り下りで、脚力・瞬発力などで評価されます。実際に、どんな形で測定するのか、ウィンゲートのトレーナーが体験した際の様子がウィンゲート社の公式noteに公開されているので、興味のある方はのぞいてみて、実際に体験してみるのもよいでしょう。

「ああ、この動きならわかる」と思うかもしれませんが、「わかる」と「できる」の間には大きな壁が。頭で「わかる」だけではなく、日ごろからトレーニングを継続し、実際に「できる」身体にしておくこと、そして自分の現状を把握しておくことが大切です。

筋肉量UPの秘訣は、まず下半身の筋肉を鍛えること

筋力が大切なことは分かったけれど、何から取り組むべき?と迷ったら、まずは下半身の筋力を鍛えることからはじめましょう。下半身には大腿四頭筋やハムストリングス、ヒラメ筋など大きな筋肉が集まっていて、人体の筋肉の約7割を占めています。筋肉量が多くなるほど脂肪が燃えやすくなり、ダイエット効果も期待できて一石二鳥です。

普段運動習慣がない方にもおすすめなのが、反動を使わずゆっくり動き、膝や腰への負担を抑えながら安全に行うことができるスロースクワット。まずは1回10秒、5回ずつを1セットにして朝晩1セットずつなど無理のないところから始めましょう。

<<スロースクワット基本のやり方>>

  1. 姿勢を作る:足を肩幅よりやや広めに開き、つま先は少し外側に向ける。腕は胸の前で組む(初心者や、しゃがみ込むのが苦手な方は、腕を前にまっすぐ伸ばす形でも大丈夫。バランスをとりやすくなります)。
  2. 腰を下ろす:膝がつま先より前に出ないように、お尻を後ろへ引きながら3〜5秒かけてゆっくりと太ももが床と平行になるまで下げる。
  3. 立ち上がる:3〜5秒かけてゆっくりと体を上げる。このとき、完全に膝を伸ばしきらずに負荷を保つのがポイント。

鍛えていないと、年齢とともに筋力は衰えてしまいます。

離れて暮らす親などにも、いざという時に動ける体力を維持することの重要性を伝えて、日々の筋力トレーニングをすすめてみてはいかがでしょうか。

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<執筆者プロフィル>
水野佳
保健師/オートキャンプ歴9年

学生時代にはバックパックを担いでフィールドワークや旅に出かけ、バングラデシュでの井戸掘りなども経験。旅やアウトドアでの知識や経験を防災活動に繋げる。産業保健師として企業勤務時に、救命講習やBCPなどの企画・運営にも関わった経験も持つ。

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