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新婚夫婦「失敗しました…」新築で120万円薪ストーブ設置→隣人から苦情殺到…2軒に謝罪した“大誤算”

  • 2026.11.8
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「隣の人に『お宅のストーブの煙で、洗濯物ににおいが付くんです』と言われて。憧れて付けた薪ストーブが、週末の夜しか使えなくなりました」

そう話すのは、昨年の春に郊外の分譲地に地元の工務店で注文住宅(3LDK・延床約95㎡/土地約165㎡、約4,000万円)を建てたOさん(30代女性・会社員、夫と二人暮らし)です。結婚2年目の新婚で、子どもはいません。

薪ストーブは、夫の長年の憧れでした。本体と煙突の工事で約120万円です。工務店の設計担当は「隣の家まで4mの住宅地です。薪ストーブは煙とにおいで近所に迷惑がかかりやすく、薪の置き場と乾燥にも手間がかかります。この区画では、おすすめしません。炎を楽しむなら、煙の少ないペレットストーブ(木を固めた燃料を使うストーブ)もあります」と止めました。

帰り道、Oさんが「薪ストーブ、住宅地で大丈夫?」と聞くと、夫は「乾いた薪なら煙は出ないよ。ずっと憧れだったんだ」と答えます。夫婦は薪ストーブで進め、リビングの東側の壁に据え付けます。設計担当は屋根より高い煙突を勧めましたが、費用を抑えて法令で定める最低限の高さまでにしました。

最初の冬、乾燥した薪を買って毎晩たきました。着火のたびに白い煙が出て、風の弱い夕方は、煙が隣の家の庭に流れます。12月、東隣の人から洗濯物のにおいの話をされ、その翌週には裏の家からも「子ども部屋の換気口からにおいが入る」と声がかかったのです。

住宅地の薪ストーブは、煙の行き先が決まっている

薪ストーブの煙は、薪が十分に乾いていても、着火と消火のときに多く出ます。煙突が低いと、煙は屋根やひさしの下にこもり、風で隣の家の窓や洗濯干し場に流れます。隣の家が近い住宅地では、煙の行き先はほぼ決まっているのです。

環境省のガイドブックでは、薪の含水率(木に含まれる水分の割合)は20%程度以下が望ましく、煙突の排出口は十分高くして障害物を避けるとされています。洗濯干し場や窓、給気口の近くに煙突があると、においや煙が入り込む原因になります。建設廃材や塗料の付いた木は燃やさず、煙突は年に一度は点検して、すすやタールを取り除く必要があります。

住宅地では、薪ストーブの煙やにおいによる近所とのもめ事が実際に起きていて、自治体が使い方の注意を呼びかけています。乾燥した薪だけを使うこと、洗濯物が干されている時間帯を避けること、煙突を近隣の建物より高くすることが、その中身です。設置に補助を出す自治体もあり、条件は自治体によって異なります。

薪ストーブは建物の設備なので、向き不向きは設計の段階で分かります。工務店や設計担当が、敷地の条件から煙の行き先を伝えるのが望ましく、Oさんの設計担当は「この区画では」と理由まで伝えていました。夫婦には、「乾いた薪なら大丈夫」という夫の言葉のほうが印象に残っていたのです。

120万円の薪ストーブが、週末の夜だけに

2軒に謝り、薪ストーブは洗濯物のない夜だけにしました。裏の家からは、換気口を閉めておくので使う日を前もって教えてほしいと頼まれました。平日は帰りが遅くて火をおこす時間がなく、使うのは週末の夜だけになります。煙突を屋根の棟(てっぺん)より高く延ばす工事に約30万円をかけ、着火には煙の少ない着火材を使うようにしました。

薪代は1シーズン約8万円で、煙突の掃除にも費用がかかります。夫は「憧れだけで決めて、失敗しました」と言い、Oさんは「止めきれなかったのは私も同じ」と返して、言い合いにはなりませんでした。

煙突を延ばしてから、煙が庭にこもることは減りました。今は週末の夜に2時間ほどたき、使う日は隣の2軒に前もって伝えています。平日の暖房はエアコンです。

夫は「聞かれたのに、憧れだけで答えてごめん」と謝り、煙突を延ばす費用を自分のボーナスから出しました。

薪ストーブは、煙の行き先から考える

薪ストーブの炎と、体の芯まで届く暖かさは、ほかの暖房にはない魅力です。停電のときも使え、薪を割る時間を楽しみにする人もいます。

一方で、煙とにおいは自分の家の中には残らず、隣の家に届きます。だからこそ、住宅地で薪ストーブを考えるなら、隣の家の窓と洗濯干し場の位置から煙の行き先を考えることが欠かせません。

・住宅地では、薪ストーブの煙やにおいで近所とのもめ事が起きやすい。隣の家との距離、風向き、隣の窓と洗濯干し場の位置を見て、設計担当に相談する
・薪は含水率20%程度以下まで乾かす。建設廃材や塗料の付いた木は燃やさない
・煙突は周囲の建物より高く、まっすぐに。年に一度は点検と掃除をし、すすやタールを取り除く
・着火時は煙が多い。洗濯物が干されている時間帯を避け、使う日を隣に伝える

薪ストーブを考えるなら、隣の家の窓と洗濯物の位置を一度見てみてください。

参考:
木質バイオマスストーブ環境ガイドブック(環境省)
薪ストーブ・暖炉の使用にご注意ください(文京区)
薪ストーブ等の適切な使用について(川崎市)


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
行政で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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