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デザイナー16組が参加した有田焼ブランド「2016/」の10周年展示が開催

  • 2026.11.4
Kenta Hasegawa

佐賀県の有田焼は、日本で初めて焼かれた磁器をルーツとし、400年超の歴史を誇る。その窯元や商社と、国際的に活躍する16組のデザイナーとのコラボレーションによって、現代のライフスタイルに寄り添うコレクションをつくり出したのが陶磁器ブランド「2016/」(ニーゼロイチロク)だ。

このほど、2016年のブランド創設から10周年を迎えたことを記念し、ブランドの共同クリエイティブディレクターを務める柳原照弘が主宰するスペース、ヴァーグ神戸で展覧会を開催。また4組のデザイナーによる新作が発表された。

Kenta Hasegawa

16組のデザイナーによる多彩なコレクションができた理由

「2016/」の始まりは2013年。有田の陶磁器商社・百田陶園の新ブランド「1616 / arita japan」を手掛け、好評を得ていた柳原照弘に、一社ではなく、有田焼として新しいブランドの開発が託されたのだ。

柳原は「1616 / arita japan」でタッグを組んだ、オランダのショルテン&バーイングスを共同ディレクターに迎え、16組の海外・日本のデザイナーたちに声をかけていった。開発に要した期間は3年。有田焼の誕生から400年の節目の年である2016年のミラノデザインウィークで、世界の食卓に上ることを目指すグローバルブランドとして「2016/」は産声を上げた。

<写真>ヴァーグ神戸での展示風景。

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柳原はこのプロジェクトの特徴を次のように見ている。

「有田焼の素晴らしい点として、技術の高さはもちろんですが、もう一つ、重要だと自分が考えたのは、分業制でものづくりが行われていることです。陶石から磁器用の土をつくる、型をつくるなど、分業で行われます。窯元さんや商社さんのチームワークがあって、バリエーション豊かな陶磁器をつくることができるのです。『2016/』の16組のデザイナーたちによる多彩なコレクションは、有田でなければ生まれなかったでしょう」

<写真>今回、展示にも携わった柳原。

Kenta Hasegawa

10年の全アイテム、500種類以上で軌跡を語る

「ヴァーグ神戸」の静謐な空間に、10年間のほぼ全アイテムが展示された。ラインアップはなんと500種類以上におよぶ。できる限り廃盤を控え、継続してきたのは、「2016/」は一過性の企画ではなく、継続すること、少しずつアップデートを行い、現代の暮らしで使われることを目指してきたからだ。

<写真> 奥に見えるのは、スイスのクーン・カプートが手掛けた花器やボウルのシリーズ。有田の伝統的な技法「吹付」に着想を得ている。手前は柳原照弘の新色開発の途中で生まれた色ムラを持つ特別ライン。

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インゲヤード・ローマンに感銘を与えたマテリアルと釉薬

このアニバーサリーイベントを機に、新作に取り組んだ柳原照弘、インゲヤード・ローマン、TAFのガブリエラ・レンカとマティアス・シュタルバウム、藤城成貴という4組のデザイナーがヴァーグ神戸に集まり、「2016/」でのプロジェクトを見つめ直し、トークを行った。スウェーデンの高名なガラスデザイナー・陶芸家であるローマンはこう話した。

「有田で、陶石を採掘した泉山を見せていただいたことを印象深く覚えています。有田焼の始まりがこの地なのだ、と。マテリアルと釉薬の素晴らしさに感銘を受け、私のシリーズを手掛けてくださる香蘭社さんに、それを生かしたい。ですから装飾的な絵柄は考えていませんということを伝えたのです。みなさんを大変驚かせてしまいました」

香蘭社は華麗な絵付で有名な有田焼の老舗名窯。だが、このアイデアを受け入れ、ローマンが描き出した、端正なフォルムのティーセットを見事に製品化した。

<写真>10周年を機にデザイナー4組が集まり開かれたトーク。左から、柳原、ローマン、TAFのレンカとシュタルバウム、藤城。

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<写真>インゲヤード・ローマンがデザインした「2016/」のアイテム。

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プロダクトデザイナーの藤城成貴は、そうそうたるデザイナーの中の一人として選ばれ、緊張したと振り返る。

「それまで、デザインにおいて大切なことは『調和』だと話してきましたが、今回のプロジェクトではインパクトのあるものをつくることが課せられていると感じました。そこで『赤』という色に行きつき、最初に赤のシリーズをつくりました。新作の花器は、円筒形と正円で構成されています。こうしたまっすぐの造形は、1300度で焼成し、どのように収縮するかが読めない磁器にとって難しい形です。そのチャレンジに錦右エ門窯さんが応えてくれました」


<写真>新作が並ぶテーブル。左手前はクリスチャン・ハースのコレクションに加わった、新色のインディゴ・ブルーのバージョン。左の奥は藤城成貴による新作の花器。右はTAFによる人気のトレイを発展させたトレイの形が異なるバリエーション2種、花瓶、小さなボウル。「子どものためのアイテムをデザインしてほしい、というリクエストでした。大人になっても楽しめるものにしたいと考え、楽しさを取り入れ、アイスクリームがとけたような形のプレートをデザインしたのです」とTAF。

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17世紀、朝鮮から連れられてきた陶工・李参平が、1616年に有田の山で陶石を発見、日本で初めての磁器を焼く。それから4世紀にわたり、人々の研鑽と探求心で発展を遂げてきた有田焼。

「2016/」の10年の歩みは、この400年という有田焼の歴史を、次の世代へ受け渡すバトンタッチの時間だったのだろう。有田の職人の人々とデザイナーたちによるクリエイティブなリレーの行き先は、私たちの日々の暮らしの風景とつながっていく。

<写真>柳原照弘のシリーズに加わった新色「ベージュ」。さまざまな料理を引き立てる「ベージュ」の開発に柳原は時間をかけた。同じテーブルに並ぶオレンジ色の色ムラのあるシリーズは、数量限定の特別ライン。新色を開発する際に釉薬のムラによって偶発的に生まれた美しさに着目し発売される(売り切れ次第販売終了)。

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神戸に続き、城崎と福岡でイベントが開催

ヴァーグ神戸での展覧会は、11月9日まで。その後、城崎温泉や福岡・姪浜のライフスタイルショップ「フラムティーデン(fremtiden)」で、「2016/」の魅力を伝える展示やイベントが行われる。ぜひこの機会に触れてみてほしい。

<写真>ヴァーグ神戸の展示風景。

2016/ 10th Anniversary Exhibition at Vague Kobe
【エキシビション】
会期:10月30日(金)~11月2日(月)、11月6日(金)~11月9日(月)
会場:Vague Kobe(ヴァーグ神戸:兵庫県神戸市中央区海岸通9-2 チャータードビル)
Instagram「Vague Kobe」

2016/ × 城崎温泉「器と温泉」

日時:11月11日(水)~11月15日(日)
メイン会場: MMM_kinosaki(MMM_城崎:兵庫県豊岡市城崎町湯島(城崎郵便局前))ほか、旅館・飲食店など
MMMを中心に、温泉街の各旅館、飲食店にて「2016/」 の設えや商品を展示販売するポップアップを開催する。
instagram「2016/ × 城崎温泉」

2016/ × fremtiden「Everyday Objects - 日常をかたちづくるもの - 」
会期:12月4日(金)~12月27日(日)
※水曜定休(水曜祝日の場合は翌平日が休み)
会場:fremtiden (フラムティーデン:福岡県福岡市西区姪浜駅南1-10-20 MEINOHAMA STEPS:2F 3F)
ライフスタイルショップ「fremtiden」にて、「ヴィトラ」の製品でコーディネートされた空間の中で、「2016/」の新作と代表的なコレクションを展示。
Instagram「fremtiden 」

※2027年も東京などで10周年のアニバーサリーイベントを予定。インスタグラムなどでチェックを。
instagram「2016/」


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