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医師から『皮膚がん』と言い渡された50代男性→数年前から、身体に起きていた“小さな異変”に「あの時、病院へ行っていれば…」

  • 2026.11.3
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

みなさん、こんにちは。安全な周術期をお守りする麻酔科専門医の松岡です。

「足の裏に黒い点があるけれど、靴擦れの血豆だろう。痛みもないし放っておけばそのうち消えるはずだ」

そう自己判断し、仕事の忙しさにかまけて放置してしまった50代男性のAさん。しかし数年後、予想だにしなかった深刻な体調異変に襲われ、激しい息苦しさに苦しむ日々を送ることになりました。

「あの時、病院へ行っていれば……」

当時の安易な見過ごしを深く悔やむAさんですが、治療には多くの時間と体力を要することになりました。

今回は、痛みのない足の裏の異変に潜むリスクと、早期発見のために見逃してはならない身体のサインをお伝えします。

足の裏の黒い点が招くリスクと進行の仕組み

なぜ「痛くない血豆のようなもの」が命を脅かすことになるのでしょうか。これは「悪性黒色腫(メラノーマ)」という皮膚のガンの疑いがあり、特に日本人では足の裏や手足の爪に生じるタイプ(末端黒子型黒色腫)が全体の約3〜4割を占めるとされています。メラノーマは以下のようなメカニズムで静かに進行します。

【進行のフロー】

  1. 発生: 皮膚の色素細胞(メラノサイト)がガンの性質を持ち、足の裏などに痛みのない黒いシミや結節を作ります。
  2. 浸潤(根を張る): 表面上は小さく見えても、ガン細胞は皮膚の深部に向かって根を張り(垂直方向への進展)、血管やリンパ管へ侵入していきます。
  3. 全身転移: 深部へ進展したガン細胞が血流やリンパ液に乗って肺などの臓器へ転移するリスクがあり、進行すると呼吸困難や全身の機能低下といった重篤な症状を引き起こします。

「ただのホクロ・血豆」と放置してはいけない境界線

「こんなところにホクロ(血豆)なんてあったかな?」「痛くもないのに、わざわざ仕事を休んで病院に行く時間なんてない」。忙しい日々の中で、つい自分の体のことを後回しにしてしまう気持ちもわかります。

しかし、今回のケースでぜひ知っておいていただきたい「危険な境界線」があります。

通常、靴擦れや軽度の打撲による血豆(内出血)であれば、皮膚のターンオーバーに伴って古い角質とともに外側へ押し出され、1〜2ヶ月ほどで自然に色が薄くなって消えていきます。一方、数ヶ月経っても一向に消えない場合や、むしろ徐々に色が濃くなったり面積が広がったりしている場合は、単なる血豆ではない可能性を疑う必要があります。

メラノーマは初期に痛みがなく、見えにくい足の裏などに発生することが、発見を遅らせる最大の落とし穴となります。「血豆なら数週間で薄くなるはず」という時間軸を知っておくことが、早期発見への第一歩です。

悪化する前に、確認すべき5つのサイン

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

早期に発見できれば、適切に対処できる可能性が大きく高まります。新しい黒い点を見つけたら、以下の5つのサイン(ABCD(E)ルール)を確認してください。

A(Asymmetry):形が「非対称」である

綺麗な丸ではなく、形がいびつであれば要注意です。

B(Border):輪郭が「ギザギザ・ぼやけている」

周囲の皮膚との境界がくっきりしておらず、にじんだようになります。

C(Color):色が「不均一である」

単色ではなく、濃淡があったり、一部が白や赤く抜けたりしている場合は危険です。

D(Diameter):直径が「6mm以上」である

目安として鉛筆の消しゴムの大きさよりも大きい場合は要注意です。

E(Evolving):大きさや形が「変化している」

以前より大きくなった、出血したなどの変化は直ちに受診が必要です。

ABCD(E)ルールを確認して早期受診へ

足の裏に生じる黒い点は、初期の自覚症状や痛みが乏しいため単なるホクロや血豆と見誤りやすく、発見が遅れることで深刻な病態へと進行する危険性を孕んでいます。

見分けるポイントとして、形が左右非対称、輪郭のぼやけやにじみ、濃淡の混在、直径6mm以上の大きさ、さらにはサイズや色調が徐々に変化しているといった「ABCD(E)ルール」の確認が極めて有効です。

「受診すると痛い検査をされるのではないか」と心配されるかもしれませんが、皮膚科では「ダーモスコピー」という特殊な拡大鏡を用い、皮膚を傷つけることなくその場で数分で良性か悪性かの傾向を観察できます。

「この程度の黒ずみで受診するのは大げさだ」と自己判断で放置せず、1〜2ヶ月経っても消えない血豆のような病変や、わずかでも違和感・変化に気づいた段階で速やかに皮膚科を受診しましょう。


監修者・執筆:松岡 雄治

総合病院や大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じて、幅広い診療科の周術期管理に従事。現在は急性期病院の麻酔科医として最前線の医療に携わっている。専門医としての高度な医学的知見を活かし、医療・健康・美容分野でのコラム執筆や医学論文の解説などを幅広く手掛ける。医療AI技術開発プロジェクトへの参画など多岐にわたる実績を持ち、読者に寄り添った分かりやすい医療解説に定評がある。保有資格は麻酔科専門医、睡眠コンサルタント、睡眠検定1級など。

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