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「このままどこかへ行けたらいいのに」ワーママが抱える限界と孤独【著者インタビュー】

  • 2026.10.14

【漫画】本編を読む

“いい母親”とは一体どんな人で、“正解の育児”とはどんなものなのだろう。母親になると、そうした疑問が付きまとい、自分自身の在り方が分からなくなる時がある。

『わたし、迷子のお母さん ある日突然、母親するのが苦しくなった』(らっさむ/KADOKAWA)は、母親のリアルな葛藤が詰め込まれた漫画だ。主人公の楓はひとり娘を持つ、ワーキングマザー。キャリアと子どものどちらも大切にしたくて日常を踏ん張っていたが、ある日、心の糸が切れ、自宅へ帰れなくなってしまった。

だが、楓はそれを機に、自分の心が限界であることに気づき、育児との向き合い方を見つめ直していく。

子育て中の女性が抱えるリアルな悩みを落とし込んだ本作に、著者は一体どんな想いを込めたのだろうか。制作秘話や、母親を辞めたくなる前に意識したい心の守り方などをうかがった。

――本作では、楓の姿を通して、仕事と育児を両立させようと奮闘するワーキングマザーの苦しみがリアルに描かれていますよね。作中では、自宅に帰れなくなった楓がパニック発作を起こすシーンも描かれていますが、そうした設定にされたのには何か想いなどあったのでしょうか。

らっさむさん(以下、らっさむ):私自身、会社からの帰宅中に「ああ、このままどこかへ行けたらいいのに」と思ったことがあり、若い頃には過呼吸発作も起こしていました。心で「頑張ろう」と思っていても身体がいう通りにならないバラバラな感じが、葛藤する楓にしっくりくるような気がしたんです。

――楓は、日々の忙しさや限界の心に気づいてくれない夫の態度にも苦しんでいましたね。育児が始まると、夫婦がすれ違うのはあるあるですよね…。

らっさむ:自分の気持ちを他者が分かるように言語化して伝えるって、すごく難しいですよね。ましてや、育児のような未経験の出来事の辛さや悩みを大変な時期の渦中で言語化するのは、とても難しいと思います。

私自身、言っても伝わらない相手にとてもモヤモヤしたし、怒ってみたり、文章にしてみたりしたんです。でも、そのうち、それすら馬鹿らしく思えてきて、理解してもらうことを諦めた時期がありました。

パートナーが相手の気持ちをヒアリングしてあげられたらいいんだけど、時間や気持ちの余裕がなかったり、そもそもの共感力がなかったりすると、頑張っている側は孤独ですよね。

――実際に、ご自身も育児中に夫婦関係がギクシャクしたことはありましたか?

らっさむ:すごくありました。なんなら、今でもそういうことはあります。ヒアリングや寄り添いってタイミングが大事なので、「今更、それ聞く?」とか「親なのに、そんなことも分かんないの?」みたいに、お互いの気持ちがすれ違ってしまったことはありましたね。

「言わなくても分かってよ」と言っても「言ってくれなきゃ分からない」と返されたり、「言っても無駄」と思ってしまったりして、夫婦関係は方向性を見失っていくことが多いのかもしれません。

取材・文=古川諭香

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