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「コーディネートはまずボトムスから決める」「トップスは必ず重ね着する」。服を厳選し自分を整える、60代からの着こなしのヒントとは【インタビュー】

  • 2026.10.9

「60代からのシンプルな暮らしやファッション」のSNS発信が人気を集めているシニアインフルエンサーの山岡まさえさん。山岡さんは60歳を前に、「手放し活」としてたくさんの持っていた服を整理した。このほど厳選されたワードローブをいかに組み合わせておしゃれに生きるかをリアルに見せてくれる『服を選ぶことで今日の自分を整える 60代からの着こなし365日』(自由国民社)を刊行。「思い切って服を整理して、本当に大丈夫?」な不安に寄り添ってくれる、上質な「お手本」のような一冊だ。著者の山岡さんにお話をうかがった。

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インスタ発信のリアルコーディネートを1冊に

――本書は1年まるごとの着こなしが写真で紹介されていてすごく参考になります。コーディネートを考えるところからのスタートですか?

山岡まさえさん(以下、山岡):いえ、これは私がインスタに投稿したものをそのまま使っているんです。もう2年以上、毎日投稿していた折、「そのままの写真でいい」ということだったので出版をお引き受けしました。Threadsでそのコーディネートについて発信しておりましたので、それを引用したりしながらポイントを補足したりしています。

――本書には日付が入っていますが、まさに山岡さんの「リアルコーディネートダイアリー」ということですか?

山岡:そうなんです。ただ私が現時点でリアルに持っている服でやりたかったので、本にした段階で紹介できなくなってしまったブランドのものとか、処分してしまっていたものなどは変更しています。また平日は仕事で土日はお休みのため、そういう日はTシャツにスウェットみたいなリラックスウェアが多く、そこは変えています。とはいえ90%以上リアルです。

――「手放し活」として洋服を100着程度に整理されたとのことですが、どうやってアイテムを厳選したのでしょう?

山岡:まず姿勢よく歩きたいから「もうヒールは履かない」と決めており、フラットシューズでコーディネートできるお洋服を条件に、その上で「着回し」ができることを選択基準にしました。一着で主役級の服は意外と着回しができないので外す対象になりますが、とはいえ値段も高いし思い入れもあるしで踏ん切りをつけるのに時間がかかりました。ただ一着処分したらあとは早かったですよ。

――中にはハイブランドのものもあります。ハイブランドでも取っておくものと捨てるものがあったわけですね。

山岡:そうですね。いいものはずっと長く着続けられるし、さらに着回しの良さも考えて残ったのがたまたまハイブランドだったという感じですね。ハイブランドだから残したわけではなくて、ワンピースのような着回せないものは全部処分しました。そういう服は「そのお洋服素敵!」と前に褒めてくださった友人知人がいたら譲ったりして、あとはフリーマーケットで処分しました。

――ワードローブを厳選・整理して、一番良かった点ってどんなところですか?

山岡:数が少なくなったことで自分がどんな服を持っているのか理解できるようになって、コーディネートの幅がすごく広がったことですね。もともとそんなにコーディネートが上手い方ではなかったんですが、「着回しできるもの=好きで似合うもの」と考えるようになったこともあって、どれを合わせてもいい感じに決まるようになりました。

アメカジは60代に似合う!

――日々のコーディネートを考える上でのセオリーみたいなものはありますか?

山岡:順番ですね。まず初めにボトムスを決めます。それからトップスを決めるんですが、その際に「必ず重ねる」ようにしています。基本カジュアルなんですけど、60代のカジュアルをシンプルにしてしまうと、本当に普段着というか部屋着になってしまうので、必ず2枚以上重ねるようにします。Tシャツにはカーディガンやシャツを羽織ったり、冬ならニットを着たり、2枚以上トップスは重ねるようにします。

――山岡さんのコーディネートを見て「あ、こういうの私もってないわ」と、新たな物欲を刺激される方もいるかもしれません。シンプルと逆の発想ですが、そういう場合はどう考えたらよいのでしょうか?

山岡:着回しが利く服として選んだ服は「オーソドックスで誰のクローゼットの中にもありそうなもの」だったりもするんです。たとえば白のシャツなんて私と同じものでなくても世の中にたくさんあるし、もうすでにお持ちだったりもするでしょう。なので、まずはみなさんのクローゼットの中に似たようなものがないか探してみてほしいですね。

私のフォロワーさんは50代から70代の方たちが多いんですけど、ファッションを楽しんでいた若い頃はいわゆる「アメカジ世代」に当たるんです。実はアメカジって、60代や70代になってもちゃんと年相応に着こなせば男女共にカッコいいものなんですよ。トレーナー、Vセーター、カーディガンはアメカジの定番ですし、みなさん、買い足さなくても持っているんじゃないでしょうか。60代の方は「カジュアルは若い子たちの服。私たちにはもう着られない」ってすぐに言われますが、ちょっと若い頃好きだった「アメカジ」や「トラッド」の世界を見直してみれば、「あれは大人の洋服だった」ってわかると思いますよ。

――60代になって、そうしたアメカジが再び似合ってくるっていうのはなぜでしょう?

山岡:やっぱり60代にもなると人間くたびれているからだと思います。実はアメカジというファッションは「くたびれているところをいかにカッコよく見せるか」という世界なんですね。くたびれたものに対する愛着であったり、それを「良い」と思うことであったり、そういう価値観を持つことは自分のことを肯定することにもつながっていくので、すごくしっくりくるんです。

――「年を重ねたことで生まれる余裕」みたいなものが、ある種のカジュアル性と相性がいい?

山岡:そうですね。いわゆる「キレイめカジュアル」ではなくて、私たちの世代だからこそ着られるカジュアルが、こういうファッションなんじゃないかなって思っています。ただ私のフォロワーさんもそうですが、もともとカジュアル派じゃない方も多いんですね。私も「カジュアル」とは言うものの、実はあまり強く意識はしていなくて、わかりやすいから使っているようなところもあります。どちらかというと「60代でも肩が凝らなくて楽に着られて、汚れたら自分で洗えてお手入れも楽なお洋服」というイメージ。やっぱり締め付けられていたり、重たかったり、細かったりするとしんどくてつらいのが60代なので、そうじゃないお洋服を選んでいったらカジュアルだった、みたいな感覚ですね。

――カジュアルといえば、今、古着が世界的に人気ですが、そういうのは取り入れますか?

山岡:あんまり古着は得意ではないんですが、ヴィンテージ感を取り入れるとしたらアクセサリーがいいと思います。ちょっとこなれ感が出たりしますし。そうでなくても、この年代には絶対にアクセサリーは必須です。キレイな華やかさが出ますから。

不要なものがないと心がシンプルに

――「今あるもので十分着回せている。流行は関係ない」と本に書かれていますが、街中で流行りものに惹かれて購入に迷うようなことははいのでしょうか?

山岡:今のお洋服で満足しているのであまりそういうのはなくて、どちらかというとお買い物するときでも「買い足す」よりは「買い替える」感じですね。昔のものと今のものではデザインも違ってきていますし、たとえば「この紺ブレ、だいぶヘタってきたな」と思ったら新しいのに買い替える。そうすると今のデザインになるので、全体的に今っぽさが出てきます。

――ちなみにお洋服のお店を見るのは好きですか?

山岡:はい。ただ昔と違って衝動買いはなくなりましたし、お店の方と仲良くなれるようになりました。服が減って自分のクローゼットの中身をしっかり把握できているので、お店の方にすごく具体的に質問することができるんですよね。そうするとお店の方が「そういうクローゼットなら、こっちの方が絶対着回しできますよ」とか奥から服を出してきてくれたり。すごくお買い物が楽しくなりました。

――素材などアイテム選びで気にしていらっしゃるところはありますか?

山岡:私は洗った後にアイロンをかけたりせずそのまま着られるお洋服、それでいてキレイに見えるものにしています。実はそれが値段に比例してくるというのがあって、ファストファッションはギリギリのところで生地から型を取っているから、糸と生地が合っていなくて洗うとヨレが出たりするんですよね。お手入れをしっかりするなら別にいいですが、洗いざらしをさらっとカッコよく着たいなら、そこそこいいものじゃないと難しい。安いものでも手間をかけるとすごくオシャレに着られたりしますから、時間をかけられるならそれもアリだし、時間をかけられないならちょっと高いものを頑張って買う。そのどっちかだと思っています。

――シンプルワードローブはミニマリスト的な発想になりますが、山岡さんのコーディネートはほんとにバラエティ豊か。シンプルだからこそ工夫すれば素敵になるって魅力的です。

山岡:「今の自分に不要なものはなくていいよね、でも必要なものは増えてもいいよね」と思っています。これからも生きていく上でいろんなものが必要になると思うんです。たとえば杖。ハイヒールは捨てたけど杖は買い足さなきゃ…みたいなこともあるだろうし、単純に「物を減らして物がないからシンプル」っていうよりも、「不要なものがないから心がシンプルになる」みたいなイメージですね。実際、いらないものをなくすってすごく心地いいんですよ。

本書を見ていると「こういうアイテムが使えるんだ」がすごくリアルに腑に落ちる。これからシンプルワードローブを目指したい人には大いに参考になる一冊だろう。

取材・文=荒井理恵

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