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ボディコンにワンレン、ソバージュなどなど!綾瀬はるか、ファーストサマーウイカらが『ファーストボイス』で纏うバブルファッション

  • 2026.10.3

“日本初のセクハラ裁判”に着想を得て制作された『ファーストボイス』(公開中)。映画のなかで裁判が開廷したのは1989年。1986年頃から始まった空前の好景気“バブル”にまだ日本中がまみれ、浮かれまくっていた時代だ。映画を観ると、そんな空気感が最も顕著に表れたのが女性のファッションやメイク、そしてヘアスタイルだった、と改めて思う。ボディコンシャス、ビビッドなリップカラー、前髪を立たせた“トサカヘア”、ワンレン(ワンレングス)のロングヘア、毛先のみにパーマをかけたソバージュ等々、時代を彩ったトレンドが次々と思い浮かぶ。

【写真を見る】肩パッドが入った衣紋掛けみたいなジャケットスーツを愛用する弁護士の朝日道子

ファーストサマーウイカがバブルファッションのテキストに身を包む

劇中に登場する女性たちのルックもそんな流行をしっかり踏襲している。ファーストサマーウイカが演じる原告、上原恵の装いは、ショッキングピンクのダブルブレストのスーツに真紅のリップにはじまる、まさにバブルファッションのテキストみたいだ。男性はもちろん、女性たちからも「そんな格好しているからセクハラされても仕方ない」と批判されるが、恵は終始、自分は間違ってないと主張し続ける。そんな追い詰められた気持ちが、強い色の服や濃いメイクによって前へ押し出される瞬間が何度もある。

ショッキングピンクのダブルブレストのスーツに真紅のリップが目を引く上原恵 [c]2026「ファーストボイス」製作委員会
ショッキングピンクのダブルブレストのスーツに真紅のリップが目を引く上原恵 [c]2026「ファーストボイス」製作委員会

本作のヘアメイクを担当している百瀬広美によると、恵のメイクはウイカ本人との話し合いから生まれたものらしく、艶感優先のいまとは異なる、ベタっとした口紅の重量感も見逃さないでほしい。

ハツラツとしてリーダシップにも優れた恵 [c]2026「ファーストボイス」製作委員会
ハツラツとしてリーダシップにも優れた恵 [c]2026「ファーストボイス」製作委員会

役柄による違いなど細部にこだわりを感じるバブルファッション

綾瀬はるか演じる弁護士、朝日道子のワードローブには、当時流行ったパワースーツが何着か収まっている。肩パッドが入った衣紋掛けみたいなジャケットスーツだ。衣装デザインの小川久美子は、いまはどこを探してもなかなか見つからないこのパワースーツを映画のために何着か作ったと語っている。

【写真を見る】肩パッドが入った衣紋掛けみたいなジャケットスーツを愛用する弁護士の朝日道子 [c]2026「ファーストボイス」製作委員会
【写真を見る】肩パッドが入った衣紋掛けみたいなジャケットスーツを愛用する弁護士の朝日道子 [c]2026「ファーストボイス」製作委員会

女性ファッションを役の立場や年齢に比例してざっくり色分けすると、最もビビッドなのが原告の恵、次はカチューシャがトレードマークの松本穂香扮する新人弁護士の藤野栞、服もヘアもやや抑え気味でかっちりとした印象なのが朝日弁護士、髪をアップにして首元には品のいいパールのネックレスをしている木村多江演じるベテラン弁護士、宮本由莉子という順番になるだろうか。

役の立場や年齢に比例してファッションも色分けされている [c]2026「ファーストボイス」製作委員会
役の立場や年齢に比例してファッションも色分けされている [c]2026「ファーストボイス」製作委員会

バブルファッションだからと言ってみんなが同じ服ではなく、よく見ると細部が違うし、ド派手一辺倒になってないところに衣装担当者たちの誠意を感じる。小川は前田哲監督との話し合いで、当時の流行をそのまま再現するのではなく、映画の世界観になじませることを心がけたそうだ。あからさまではない、リアルを目指した独自のクリエイティビティは映画の衣装作りにおいては必須だ。

ボディコンを着て法廷に立つ道子 [c]2026「ファーストボイス」製作委員会
ボディコンを着て法廷に立つ道子 [c]2026「ファーストボイス」製作委員会

女性差別的な表現と女性たちを鼓舞するムーブメントが同時に巻き起こったバブル時代

服やヘアメイク以外にも、映画では興味深いトピックがいくつか紹介される。女性誌が先駆的に「セクハラ実態特集」を組む一方で、男性週刊誌が訴訟を揶揄する記事を掲載して部数を稼いでいる。

少し前の1984年には、タバコ型禁煙グッズ「禁煙パイポ」のCMでスーツの男性が自分の小指を立てて「私はコレで会社をやめました」と呟いて視聴者の笑いをとる。小指は女性のことを指す。これには前段があって、同じCMでその前に登場した2人の男性が「私はこの禁煙パイポでタバコをやめました」と呟いた後なので効果は絶大だった。

“日本初のセクハラ裁判”に着想を得て制作された『ファーストボイス』 [c]2026「ファーストボイス」製作委員会
“日本初のセクハラ裁判”に着想を得て制作された『ファーストボイス』 [c]2026「ファーストボイス」製作委員会

1985年、「私はコレで~」はCM放送の年から始まった流行語大賞で大衆賞に選出される。その4年後の1989年、流行語部門の金賞に選ばれたのが「オバタリアン」、そして新語部門金賞が「セクシャル・ハラスメント(セクハラ)」だった。ちなみに「オバタリアン」は、おばさんとゾンビが人間の脳みそを喰らうホラーコメディ映画『バタリアン』(85)を掛け合わせた造語である。

『ファーストボイス』が描く性差別撤廃への熱い思いはいまも受け継がれている [c]2026「ファーストボイス」製作委員会
『ファーストボイス』が描く性差別撤廃への熱い思いはいまも受け継がれている [c]2026「ファーストボイス」製作委員会

今日では許されない女性差別的な表現と、女性たちを鼓舞するムーブメントが同時に巻き起こったのがバブル時代。好景気の泡は脆くも弾け散ったけれど、『ファーストボイス』が描く性差別撤廃への熱い思いは、いまも受け継がれている。

文/清藤秀人

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