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“レンチン寿司”が特許に!?おいしく解凍できる「冷凍手毬寿司」のユニークなアイデアに注目

  • 2026.9.18

「おうち需要」の拡大や冷凍技術の発展によって盛り上がりを見せ、2025年には国内生産額(工場出荷額)が前年比6.4%増の8577億円と4年連続で過去最高を更新。国内消費量も初めて300万トンを突破するなど、拡大を続けている冷凍食品業界。その中で、異色の進化をとげた商品がある。それが、電子レンジで温めるだけで“お寿司”が食べられる「冷凍手毬(てまり)寿司」だ。

株式会社ニックスインターナショナルが開発した「冷凍手毬寿司」
株式会社ニックスインターナショナルが開発した「冷凍手毬寿司」

特許も取得!氷でレンチン後の温度を調整するアイデアがユニーク

今回紹介するのは、水産物の加工や輸入を手掛ける株式会社ニックスインターナショナルが開発・発売した商品「冷凍手毬寿司」(8カン入り・想定売値1167円)。「シャリは温かく、ネタは冷たく」を実現する技術で2025年に特許(※)も取得した画期的な冷凍食品で、現在はイオンのネット専用スーパー「Green Beans(グリーンビーンズ)」にて購入できる。

※特許第7737750号

「冷凍手毬寿司」
「冷凍手毬寿司」

「冷凍手毬寿司」で実現した、温かいシャリの上に、ひんやりと冷たいネタが乗っている状態の再現は、これまで難題とされてきた。シャリを温めるため、“レンチン”すると、シャリとネタが同時に加熱されてしまう。ネタに火が入れば食感は損なわれ、生の風味は失われる。“レンチン”するタイプの一般的な冷凍食品と同じやり方では、お寿司本来の温度差までは再現できない。

それを解決するため、ニックスインターナショナルが発明したのが、2つのトレーの間に氷(水)をはさむという仕組みだ。へこみのある同じサイズの容器を重ね合わせ、その隙間に水を封入。お寿司のネタの部分が氷に接するように作られており、レンジで加熱しても、氷や解けた水にネタの部分の熱が逃げる仕組みとなっており、ネタが温かくなることを防いでいる。

奥の容器に入っている水は、手前の容器の寿司ネタが温まるのを防いでいる
奥の容器に入っている水は、手前の容器の寿司ネタが温まるのを防いでいる

一方で、シャリの側には熱が効率よく伝わるため、加熱を終えるころには「シャリは温かく、ネタは冷たい」という理想的な状態ができあがるというわけだ。調理は電子レンジ500Wで3分ほど加熱するだけ。そのあとしばらく蒸らすとさらにおいしくなるそうだ。編集部でもレンジで加熱してみた結果、ふわふわとした食感でお酢の香るシャリの上に、ネタの冷たさを感じられ、レンジで加熱したお寿司とは思えないクオリティだった。

回転しないレンジの場合は、途中で一度向きを変えて温度のムラを減らす
回転しないレンジの場合は、途中で一度向きを変えて温度のムラを減らす

また、水産加工企業としての強みも発揮している。それが「CAS凍結」と呼ばれる技術を用いている点だ。この「CAS凍結」では、磁場をかけて水分子を振動させ、過冷却状態を保ったまま一気に凍らせることで氷結晶を微細化し、細胞膜の損傷を抑える工夫がされているそうだ。そのため、解凍の際に発生するドリップが抑制され、通常の冷凍技術に比べて、解凍した食材の旨味や食感が、凍結前の状態に近いままで維持される。今回紹介している「冷凍手毬寿司」にも、この「CAS凍結」が使われている。実食でも、食感が特徴的な「いか」や「えび」の手毬寿司も、冷凍していないお寿司とそん色ない食感と味わいだったのが印象的だ。

解凍後もえびのプリプリとした食感が失われていなかった
解凍後もえびのプリプリとした食感が失われていなかった

「冷凍手毬寿司」を開発した老舗企業の原点とは?

「冷凍手毬寿司」を開発・発売したニックスインターナショナルは、もともと輸入ウニの専門商社として、1976年に設立された。以来、寿司チェーンやスーパー、卸売業者へ水産物を供給し続けてきた老舗だ。南米のチリから輸入されている冷凍ウニには、一度さっとお湯を通す「ブランチング」という工程が施されていて、解凍しても生ウニと近しい食感になるよう工夫しているという。そんなニックスインターナショナルのウニは、イトーヨーカドーの「セブンプレミアム」でも販売されている。解凍しても味わいが変わらない冷凍加工技術へのこだわりは、ウニの輸入から始まり、今や「冷凍手毬寿司」という新しいジャンルへとアイデアの広がりを見せている。

チリ産のうにを加工輸入した「フィヨルドの雫」
チリ産のうにを加工輸入した「フィヨルドの雫」

“レンチン”してもネタが温まらない技術の開発により誕生した「冷凍手毬寿司」は、新しい冷凍食品の選択肢としてこれから広がりを見せていくかもしれない。ニックスインターナショナルの高濱信也社長にもインタビューしたところ、これからは地域に根差した水産の特産品を活用した「手毬寿司」にもチャレンジしたいとの展望を教えてくれた。さらに発展を見せるであろう「冷凍寿司」の世界からは、目が離せない。

※記事内に価格表示がある場合、特に注記等がない場合は税込み表示です。商品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格と異なる場合があります。

取材・文=平岡大和

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