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「今近くにいるから、少し話せない?」職場で知り合った相手から届いた、意味の分からない連絡に戸惑った

  • 2026.9.19
「今近くにいるから、少し話せない?」職場で知り合った相手から届いた、意味の分からない連絡に戸惑った

知り合ってすぐに、質問が増えていった

その人とは、職場の休憩室で知り合った。子どもの年が同じだと分かった日から、昼休みになると、よく私の隣に座るようになった。

「お子さんも来年から習い事とか考えてる?うちも何か始めようかなって思ってて」

「うちはまだ全然。何も決めてないよ」

「そうなんだ。休みの日は、家族でどこか行ったりするの?」

ちゃんと話したのは、まだ二回目くらいだった。悪気はなさそうだったが、少し答えづらいことまで迷いなく聞いてくる。

「旦那さんって、どんな仕事してるの?」

「ああ……夫の仕事のことは、あんまり人に話してなくて」

「そうなんだ。ちょっと気になっただけ」

それで終わったと思っていたが、別の日にもまた聞かれた。

「そういえば、旦那さんってどこに勤めてるんだっけ?」

「そこは本当に話してないんだ。ごめんね」

同じことを三度聞かれたころには、私も笑って答えるのが少し苦しくなっていた。

そのうち、私が返事をしていなくても連絡が続けて届くようになった。夕飯を作っている最中にも、台所に置いたスマートフォンが何度も鳴った。

「今日もお疲れさま。明日のお昼、一緒に食べようよ」

しばらくすると、また届く。

「さっきの話、途中だったよね。また聞かせて」

すぐに返さなくても、翌日会えば普通に話せる。最初のうちは、そう考えていた。

返事をしない夜に、同じ言葉が2度届いた

冬の平日の夜だった。子どもを寝かしつけ、台所の片づけを終えたころ、スマートフォンが鳴った。

画面に出ていたのは、その人の名前だった。

こんな時間に何だろうと思ったが、出る気にはなれなかった。着信が止まり、少しするとまた鳴った。

二度目も出ずにいると、今度はメッセージが届いた。

「今近くにいるから、少し話せない?」

私は画面を見たまま、手を止めた。

近くって、どこのことだろう。

その人には、家の場所を教えた覚えがない。住んでいる地域についても、詳しく話したことはなかった。

どういう意味なのか考えていると、少し間を置いて、まったく同じ文面がもう一度届いた。

「今近くにいるから、少し話せない?だめ?」

さっきよりも胸がざわついた。

「近く」が職場の近くなのか、駅の近くなのか、それとも私が住んでいる場所の近くなのか。それすら分からない。

カーテンを少しだけ開けて外を見た。街灯の下の道にも、向かいの駐車場にも、人の姿は見えなかった。

まだ起きていた夫が、台所の入り口から声をかけてきた。

「さっきから電話鳴ってるけど、どうした?」

「職場の人。こんなメッセージが来てて…」

私はスマートフォンの画面を見せた。

夫が少し眉を寄せた。

「『近く』って、この辺にいるってこと?」

「分からないの。家の場所なんて教えてないし」

「だったら、今日は出なくていいんじゃない?」

「うん。そうする」

夫も念のため窓の外を見たが、道は静かなままだった。

そのあとも、日付が変わる少し前まで、間をあけて何度か着信があった。鳴るたびに気になったが、私は一度も出なかった。

翌朝、職場で顔を合わせると、その人はいつもと変わらない様子で声をかけてきた。

「昨日は遅くにごめんね。ちょっと話したかったんだけど、時間遅かったよね」

あまりにも普通の調子だったので、私は少し返事に迷った。

「うん。夜は家のこともあるから、電話には出られないことが多いんだ」

「そっか。じゃあ、またお昼に話そう」

「うん。仕事の合間なら」

私はそれだけ返した。

あの夜の「近く」がどこを指していたのかは、結局聞かなかった。

それからは必要な仕事の話だけをするようにして、昼休みも別の席で過ごすことが増えた。夜は連絡の通知も気にしないようにして、必要があれば翌朝確認することにした。

その後、あの夜のように何度も着信が続くことはない。

ただ、「今近くにいる」と言ったとき、その人がどこにいたのか。それだけは今も分からないままだ。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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