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「お前らがいるからだ!」真夜中のベランダから響いた叫び。1年後、隣の部屋から人の気配が消えた

  • 2026.9.19

隣のベランダが、真夜中に開いた

新卒で入った会社に寮はなく、私は駅から歩いて十分ほどのアパートを借りました。

二階の角から二番目の部屋で、隣には私と同じくらいの年に見える人が住んでいました。

引っ越した日にあいさつへ行くと、隣人はごく普通の様子でした。

「今日から隣に越してきました。よろしくお願いします」

「あ、どうも。こっちこそ。うるさかったら言ってください」

それから半年ほどは、特に何事もありませんでした。

壁越しにテレビの音が聞こえることはあっても、気になるほどではありません。

様子が変わったのは夏のある夜でした。

翌日の仕事のことを考えながら布団に入っていると、突然、隣から網戸を勢いよく開ける音がしました。

枕元の時計を見ると、午前1時です。

次の瞬間、ベランダから大きな声が響きました。

「お前らがいるからだ!」

驚いて身体が固まりました。誰に向かって言っているのか、何のことなのかまったく分かりません。

少しすると、また声がしました。

「お前らがいるからだろ!」

怖さより先に、「いったい何が起きているんだろう」という戸惑いがありました。

カーテンの隙間からそっと見ると、隣人が部屋着のままベランダに立っています。

こちらを見ている様子はなく、暗い外に向かって同じような言葉を繰り返していました。

声を返したのは、私ではなかった

どうしたらいいのか分からずにいると、少し離れた部屋から声が飛びました。

「すみません、もう夜中ですよ!」

続いて別の部屋からも、「もう1時だぞ。静かにしてくれ!」と声がします。

そこで隣人の声はいったん止まりました。

私はほっとしてカーテンを閉めましたが、しばらくすると、また何かをつぶやく声が聞こえてきました。

その夜はなかなか寝つけませんでした。

翌朝、ゴミを出しに行くと、下の階の人から声をかけられました。

「昨日の夜、聞こえた?」

「はい。びっくりしました。何だったんでしょうね……」

「私も分からない。さすがにあの時間だったから、管理会社には連絡しておいたよ」

「そうだったんですね。ありがとうございます」

私だけが気にしていたわけではなかったと分かり、少し安心しました。

ただ、それきりにはなりませんでした。

その後も月に一度ほど、夜になると隣のベランダから大きな声が聞こえることがありました。

不思議なのは、昼間の隣人です。

廊下ですれ違えば普通に会釈をして、

「どうも」

と声をかけてくることもあります。

夜中に叫んでいた人と、目の前で静かに頭を下げる人が、私の中ではなかなか結びつきませんでした。

理由を知らないまま、隣は静かになった

それから一年ほど経った初夏、隣の部屋の前にいくつもの段ボールが置かれていました。

玄関も開いていて、部屋の中にはほとんど荷物が残っていません。

「引っ越すのかな」

そう思いましたが、こちらから聞くほど親しいわけでもなく、そのまま自分の部屋へ入りました。

数日後には段ボールもなくなり、隣から人の気配がしなくなりました。

結局、あの声が誰に向けられていたのか、なぜ夜中に叫んでいたのかは最後まで分かりませんでした。

ただ、それ以来、真夜中に隣のベランダが開く音を聞くことはなくなりました。

しばらくして、新しい人があいさつに来ました。

「今日から隣に越してきました。よろしくお願いします」

「こちらこそ、よろしくお願いします」

ドアを閉めたあと、ふとベランダのほうを見ました。

隣には洗濯かごが一つ置かれているだけでした。

今でも、あの夜の理由は分かりません。ただ、午前1時の静かなアパートに響いた「お前らがいるからだ」という声だけは、妙にはっきり覚えています。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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