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「あなたのお子さんは、そういうこと言わない?」家庭科室で始まった雑談。私が返答に困ったワケ

  • 2026.9.18

ミシンの前で、私の手が止まった

子どもの学校の役員で、バザーに出す巾着を縫うことになった。

家庭科室に集まったのは五人で、私は窓側のミシンを割り当てられた。

同じ班になった彼女とは、入学式で顔を合わせて以来、行事のたびに立ち話をする間柄だった。

布を裁ちながら、週末の試食会の話をしていた。よく笑う人で、こちらの話にも丁寧に相づちを打ってくれる。だからその日も、いつもの雑談の続きだと思っていた。

アイロンの蒸気が上がったところで、彼女がふいに手を止めた。

「ねえ、ちょっと変なこと聞いてもいい?」

「え、何ですか?」

彼女は少し声を落とした。

「子どもって、人の気持ちが色みたいに見えること、あると思う?」

「色…ですか?」

「うちの子ね、時々『オーラの色が分かるみたい』って言うの。私も最初は、何の話だろうって思ったんだけど」

冗談なら笑って返せたのかもしれない。けれど彼女の顔は真剣で、私は針の近くに置いていた手を止めた。

「そうなんですね…。うちでは、そういう話は聞いたことないです」

「そっか。急に変なこと聞いてごめんね」

彼女は少し笑うと、また布の角を折り始めた。その日は、それ以上その話にはならなかった。

翌週、もう一度同じ話をされた

それきりだと思っていたのに、翌週の作業日にも同じ話を向けられた。

給湯室でお茶を汲んでいると、うしろから彼女に声をかけられた。

「この前の話、覚えてる?」

「オーラの話ですか?」

「そうそう。あなたのお子さんは、本当にそういうこと言わない?」

「うーん…少なくとも、私は聞いたことないですね」

「そっか。うちも急に言い始めたから、もしかしたらと思って」

湯呑みを持つ手が止まった。

悪気があって聞いているようには見えなかった。それでも、二度目となると、どう返せばいいのか分からない。

「そういうこともあるんですね。でも、うちはたぶん違うかな」

少しだけはっきり返すと、彼女は「あ、そっか。ごめんね」と小さく笑った。

帰り道、同じ役員の人に思いきって話してみた。

「この前から、オーラが見えるみたいな話をされてて…」

「それは返事に困るね」

「そうなんです。嫌な人じゃないから、余計に何て言えばいいのか分からなくて」

「無理に話を合わせなくていいと思うよ。私も去年、似たような話をされたことあるし」

「そうなんですね」

「うん。聞かれたら『うちは分からないです』くらいでいいんじゃない?」

その言葉を聞いて、少し肩の力が抜けた。

その後も、学校行事で彼女と顔を合わせることはあった。運動会では、テントの下からこちらに気づいて手を振ってきたので、私も軽く会釈を返した。

以前なら、またあの話をされるのではないかと身構えていたかもしれない。でも今は、聞かれても無理に合わせず、「うちは分からないです」と返せばいいと思っている。

嫌いになるほどではない。でも、何でも話せる相手でもない。そのくらいの距離で付き合うのが、私にはちょうどよかった。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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