1. トップ
  2. エピソード
  3. 「最後なんだし、連絡先くらいいいでしょ?」しつこく聞いてきた同僚。退職3か月後、他の同僚から聞かされた事実に唖然

「最後なんだし、連絡先くらいいいでしょ?」しつこく聞いてきた同僚。退職3か月後、他の同僚から聞かされた事実に唖然

  • 2026.9.13
「最後なんだし、連絡先くらいいいでしょ?」しつこく聞いてきた同僚。退職3か月後、他の同僚から聞かされた事実に唖然

給湯室で、いきなり言われた

席が斜め向かいの人は、私よりひとまわり以上年上でした。

仕事以外で話すといっても、天気や昼休みに行く店の話くらい。休憩室で一緒になっても、会話が長く続くような関係ではありませんでした。

私にとっては、ただ同じ職場で働いている人。

それ以上でも、それ以下でもありませんでした。

最初に連絡先を聞かれたのは、給湯室でした。

マグカップをすすいでいると、後ろから何でもないことのように声をかけられました。

「ねえ、連絡先教えてよ」

突然だったので、思わず手が止まりました。

「え…私ですか?」

「そう。仕事以外でも連絡できたら便利じゃない?」

「いや、仕事のことなら内線で大丈夫なので…すみません」

なるべく角が立たないように断りました。そのときは、少し軽い気持ちで聞いただけなのだろうと思っていました。

ところが、その次の週あたりから、帰る時間が妙に重なるようになりました。

私が机の上を片づけ始めると、少し遅れて後ろから同じように荷物をまとめる音がします。先にエレベーターへ乗っても、扉が閉まる直前に駆け込んでくることがありました。

「あ、今日も一緒だね」

「そうですね…。でも私、ちょっと寄るところがあるので」

「途中まででいいよ。方向、一緒でしょ?」

そう言われると、それ以上強く断るのもためらってしまいます。

歩く速さを少し落としても、反対に速めても、半歩ほど後ろを歩く距離はほとんど変わりません。信号を待つ間も、「今日は寒いね」「明日は雨らしいよ」と、返事に困るような話が続きました。

悪いことをされている、と言い切るほどではない。でも、毎日となると落ち着きません。

そのうち私は、どう言えば自然に一人で帰れるのかを、家で考えるようになりました。

改札の前で、三度目だった

給湯室で断ったあとも、駅まで一緒に歩く途中で連絡先を聞かれることがありました。

一度目は駅の階段の下。二度目は改札の手前でした。

定期を出そうとしたところで、また声をかけられました。

「やっぱり連絡先、だめ?」

「すみません。そういうのはちょっと…」

「番号だけでもいいじゃん。嫌だったら、あとで消してくれていいから」

そこまで言われて、かえって困ってしまいました。

「いえ、本当に大丈夫です。ごめんなさい」

できるだけはっきり言って、その日は改札を通りました。

三度目は、帰宅する人で改札付近が混み合っていた時間でした。

後ろの人の邪魔にならないよう端へ寄ったところで、また同じ話になりました。

「ねえ、最後にもう一回だけ。教えてくれない?」

「…何度も言ってますけど、教えるつもりはないです」

自分でも、それまでより少し強い声になったのが分かりました。

それから私は、退勤時間を十五分ほどずらすようになりました。

駅まで着いても一本電車を見送り、少し時間を空けることもありました。

仕事の話ですらそれほどしたことのない相手です。まして、休日に連絡を取り合ったり、会ったりする理由はありません。

なるべく必要以上に関わらないようにしながら、半年ほどが過ぎました。

その後、別の理由で転職することになりました。

最後の出勤日、会社を出ると、また後ろから声がしました。

「今日で最後なんだよね?」

「はい。今までありがとうございました」

「じゃあさ、最後なんだし連絡先くらいいいでしょ?」

思わず言葉に詰まりました。

最後だからこそ、もう聞かれないと思っていたのです。

「……すみません。お世話になりました。失礼します」

それだけ言って、私はそのまま駅へ向かいました。

これで本当に終わったと思っていました。

ところが三か月ほどたったころ、以前の職場で仲の良かった同僚と食事をする機会がありました。

異動した人や新しく入った人の話をひととおりしたあと、ふとあの人の話になりました。

同僚が少し言いにくそうに、箸を置きました。

「そういえばさ…あの人、あなたの連絡先聞いてきたよ」

一瞬、何を言われたのか分かりませんでした。

「え……辞めたあとにですか?」

「うん。一回じゃないよ。『知らない?』って何度か聞かれた」

「……教えてないですよね?」

思ったより早口で聞き返していました。

同僚はすぐに首を振りました。

「もちろん。勝手に教えられないし。『本人から聞いてください』って言ったよ」

少し安心したのと同時に、背中が冷たくなるような感じがしました。

「まだ聞いてるんですか……」

「うん。だから、一応言っておいたほうがいいかなと思って」

私はもう、あの会社にも、あの部署にもいません。

それでも私の連絡先だけは、私の知らないところでまだ探されていた。そのことが、何より気味悪く感じられました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ