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「ヒグマの出没は日常」の知床 事故を繰り返さないために変わったことと、続く葛藤【北海道・羅臼岳】

  • 2026.9.10

世界遺産・北海道知床にある、雄大な羅臼岳。
この山の中で2025年、登山をしていた20代の男性が、ヒグマと出会い、命を失いました。

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クマは現場近くで駆除されました。
クマは子どもを連れていて、事故前からたびたび目撃され、追い払いも行われたとみられています。

この日を境に、知床はクマとの向き合い方を、変えることになります。

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クマとの“いい距離の保ち方”を考える連載「クマさん、ここまでよ」。

1年前の事故への反省と、繰り返さないという強い思い。
ヒグマの生息地・知床で続く、野生動物の保護と、人の安全を守る取り組みを取材しました。

ほぼ毎日クマに遭遇

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400から500頭のクマが生息するとされる、知床。
危険と隣り合わせの中、知床財団によるパトロールが行われています。

知床財団・保護管理事業係の金川晃大係長は、「知床はヒグマの生息密度が高いので日常的にクマの出没がある。早めに察知するために車でパトロールしている」と話します。

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対岸に設置したカメラを回収へ…。大声をあげ、クマに人の存在を伝えながら、向かいます。

知床財団による、1日2回の定期パトロール。
目撃情報があれば、昼夜を問わず出動します。

金川係長は「多いときには1日10件ほど出没するので、1日中、外を走り回っている」と話します。
パトロール中はほぼ毎日クマに遭遇するといいます。

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この日はクマが秋にかけて食べる、ハイマツの実のりを確認。出没しそうなエリアを、事前に把握します。

「ことしも実りがいいのでクマがこの辺りに停滞するかなというので警戒している」

2025年も続けていたパトロール。それでも、事故は防げませんでした。

守るべきものは何か?続く葛藤

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視聴者提供

これまでは、人につきまとったり、人の食べ物を口にしたりするなど、危険性が高い個体が、捕獲の対象でした。
しかし事故後は、追い払いで改善しない、いわば危険予備軍も捕獲対象となり、2026年も1頭捕獲しました。

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視聴者提供

「クマを保全しないといけないのもそうだが、一方で観光客の安全も確保しないといけない。そのはざまで試行錯誤しながら対策を行っているのがこの地域」と金川係長は語ります。

ヒグマの生息地・知床で続く、野生動物の保護と、人の安全を守る取り組み。葛藤は続きます。

山開きの4日後に閉鎖

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羅臼岳の山開き。約1年ぶりに、登山道が再開されました。

ところが4日後、再び閉鎖へ…。
登山者に、クマがつきまとう事案が発生したのです。

木下小屋管理人の四井弘さんは、あの事故を境に状況が一変したと話します。

「登山客はめちゃくちゃ減っています。あれだけの事故だから怖がっているのでは」

知床財団や環境省らで作る「知床ヒグマ対策連絡会議」は、事故を受け、登山道の危険性を「ヒグマ警戒レベル」でランク分け。
問題行動を起こすクマが確認された場合、速やかに登山道を閉鎖すると決めました。

ただ、現場には迷いもあります。

金川係長は「登山というアクティビティは基本的に登山者がリスクに備えて判断して行うもの。それはどこの山も一緒だと思うので、閉鎖するというのは登山を否定するような措置だと思う」と考えを述べます。

安全を守るための閉鎖。
ただそれは、知床らしい自然との向き合い方なのか。

答えは、簡単には見つかりません。

正しい情報と備え

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この日、羅臼岳を訪れていた登山者です。クマスプレーに加え、万一に備えた装備も携えていました。

登山者は「難しいですよね、北海道なので山に限らず、市街地でもそういう危険があるので、できる限りのことをして利用させてもらうということしかできないのかな。何かあったときには何かしら規制が出るのは仕方がないのかな」と話します。

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遭難者捜索サービス「ココヘリ」

知床自然センターなどでは、クマ対策グッズのほか、遭難時の位置情報を把握する「ココヘリ」の貸し出しも始めました。
それでも、課題は残されています。

知床財団事業部の山本幸部長は、「登山道の情報発信は強化したり見せ方を変えたりはしているけれど、全員に届いていない感覚はある。スプレーなんかも本数を倍にしているけれど、正しい使い方がどこまで浸透しているのか把握できていない」と指摘します。

行政だけでは、事故を防ぐことはできません。
山に入る一人ひとりが、情報を知り、備えること。

その積み重ねが、同じ悲劇を繰り返さないための第一歩です。

「人」側に求められる意識

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知床財団ではクマの出没ポイントにカメラを設置していて、クマの行動だけでなく、訪れる人が危険な行動をとっていないかというデータを集めながら対策に活かそうとしています。

人とクマの不要な接触が、人を恐れない、人に慣れてしまう危険な個体を生む要因にもなっています。

クマの生息地ということと、人の安全を守っていくということへの葛藤が続きます。

知床はクマの生息地だという前提で、訪れる私たちも、例えばクマスプレーを正しく使えているのかなど正しい情報を把握しておくことが大切です。

正しい情報をより多くの方が知り、備えること。
痛ましい事故を防ぐためには、私たち一人ひとりの意識を見直し、できることを実践していくことが重要になります。

取材・文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あま

※掲載の内容は、HBC「今日ドキッ!」放送時(2026年8月10日)の情報に基づきます。

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