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「神という存在自体が魅力的」…漫画「終末のワルキューレ」作画担当アジチカが映画『オデュッセイア』描き下ろしイラストと共に神話の魅力を語る

  • 2026.9.10

数々のスペクタクル巨編で観客に驚きと衝撃を与えてきたクリストファー・ノーラン監督が、古代ギリシャの吟遊詩人ホメロスの英雄譚を映画化した『オデュッセイア』(9月11日公開)。映画史上初となる全編IMAX撮影によって生みだされた本作は、すでにノーラン作品史上最高の興収を収めているほか、IMAX映画、R指定映画(米国での)としても世界歴代No.1を記録している。

【写真を見る】トロイア陥落のシーンをはじめ大がかりな撮影がもたらす迫力はケタ違い!

漫画「終末のワルキューレ」のアジチカが語る『オデュッセイア』やギリシャ神話の魅力とは? [c] 2026 UNIVERSAL STUDIOS
漫画「終末のワルキューレ」のアジチカが語る『オデュッセイア』やギリシャ神話の魅力とは? [c] 2026 UNIVERSAL STUDIOS

世界中の人々と同様に、ノーランが紡ぐこの壮大な世界観に心奪われたというのが、神々と人類の戦いを描いた人気コミック「終末のワルキューレ」を手掛ける4人組漫画家ユニット、アジチカだ。このたび、本作に向けて「『オデュッセイア』といえば!というものを散りばめました」と特別イラストを描き下ろしてくれたアジチカへのインタビューを敢行。本作の感想をはじめ、ギリシャ神話やそこに登場する神々の魅力、おもしろさを語ってもらった。

「観終わったあとに『え?そんなに時間経った?』と驚いた」

主人公が対峙する数々の試練、危険な怪物たち、宿敵との対決といった要素から“すべての冒険物語の原点”ともいわれる「オデュッセイア」。この物語を新たに映像化した本作は、トロイの木馬作戦で知られるギリシャ軍の智将にしてイタケの王オデュッセウス(マット・デイモン)が10年に及んだトロイア戦争に勝利したものの、故郷への帰還にさらに10年もの時間を要してしまう苦難の旅が描かれる。

壮絶な帰路を経験するオデュッセウスに思わず感情移入してしまう [c] 2026 UNIVERSAL STUDIOS
壮絶な帰路を経験するオデュッセウスに思わず感情移入してしまう [c] 2026 UNIVERSAL STUDIOS

もちろん、ギリシャ神話の神々を描いているアジチカは原典にも親しんでおり、「壮大な世界観や物語をノーラン監督が手掛け、それがすばらしいスターたちの演技で観られるとワクワクしていました」と映画を観る前から大きな期待を抱いていたようだ。一方で、「神話として観る分にはおもしろいエピソードだらけですが、オデュッセウスには“余計なことをする人”というイメージもあったので、主人公を好きになれないかもしれない」と、造詣が深いからこそ一抹の不安もあった。

トロイの木馬作戦を計画した智将オデュッセウスの10年に及ぶ帰郷が描かれる [c] 2026 UNIVERSAL STUDIOS
トロイの木馬作戦を計画した智将オデュッセウスの10年に及ぶ帰郷が描かれる [c] 2026 UNIVERSAL STUDIOS

しかし蓋を開けてみると、「気が付けばオデュッセウスに寄り添い、ペネロペ(アン・ハサウェイ)に惚れ込み、テレマコス(トム・ホランド)を応援していました」と絶賛し、オデュッセウスとその帰りを健気に待ち続ける家族のドラマに共感。ノーラン作品のなかでも『オッペンハイマー』(23)に次ぐ172分という長尺だが、「観終わったあとに『え?そんなに時間経った?』と驚いたほどでした」と圧巻の映画体験に時間を忘れて没入していたようだ。

オデュッセウス一行は故郷への航海の道すがら、人ならざるものと対峙することに [c] 2026 UNIVERSAL STUDIOS
オデュッセウス一行は故郷への航海の道すがら、人ならざるものと対峙することに [c] 2026 UNIVERSAL STUDIOS

「神というどうやっても敵わない大きなものに包まれてもがいているイメージ」

荒れ狂う海に一つ目の巨人キュクロプス、魔女キルケ(サマンサ・モートン)、歌声を聴いた者には死が訪れるという美しきセイレーン、危険な色香が匂い立つ海の精霊カリュプソ(シャーリーズ・セロン)、さらに神々までが有無を言わさぬ存在として故郷を目指すオデュッセウス一行に立ちはだかる。「人ならざる者たちに感じる畏怖感や臨場感もすばらしかったです」という言葉通り、実写映像で具現化された神話の世界の住人たちの迫力、不気味さにアジチカも圧倒されている。

今回の描き下ろしイラストに詰め込まれているのもまた、このような人智を超えた存在に対する無力さだ。「神というどうやっても敵わない大きなものに包まれて、もがいているようなイメージを与えられたらいいなと。バックを宇宙のような夜空にして、オデュッセウスが無重力のなかをもがいているようにも見えるポーズにしました」。

漫画家ユニットのアジチカが『オデュッセイア』をテーマにイラストを描き下ろし! イラスト/アジチカ
漫画家ユニットのアジチカが『オデュッセイア』をテーマにイラストを描き下ろし! イラスト/アジチカ

「神は存在自体が魅力的でスケール感だけでおもしろい」

漫画「終末のワルキューレ」は、人類の存亡を懸け、全世界の神々と歴史上の偉人が1対1のタイマンバトルを繰り広げるバトルアクション。神々が人類の前に立ちはだかるという意味では、映画と類似するところも多い。この“神”という存在についてアジチカは、「存在自体が魅力的だなと思っています。神が、いわゆる神っぽく壮大で偉大な存在でも、そのスケール感だけでおもしろいですし、逆に人間っぽいことをしても意外性がおもしろい。もはやおもしろさの勝ち確ですね」とその魅力を分析する。

続けて、「ギリシャ神話といえば、やっぱり人間味のある神が多いというイメージです」とも説明。神々の多くが気まぐれで時に人間を振り回す展開は神話世界の定番であり、本作においても海が荒れたり嵐に見舞われるのは海の神ポセイドンの怒りだと恐怖し、天空や雷を司るゼウスが物乞いのふりをして訪ねてくるという伝説から、誰であっても客人は丁寧にもてなさないといけないという“ゼウスの掟”が崇められている。

ポセイドンとゼウスは漫画「終末のワルキューレ」にもケレン味たっぷりに登場。神々を描くうえで大事にしていること、おもしろさについては、「『終末のワルキューレ』はゼウスやポセイドンを“キャラクター”として描いているので実際の神話とは全然違ったりもするのですが、ギリシャ神話の数々の逸話や破天荒なエピソードのおかげで全然やりすぎにならないというか、私たちがどんなキャラクターにしようとも、神話がそれを上回ってくるので安心して描いています」とのこと。オリジナルそのものがぶっ飛んだ存在であるとユニークな解釈を述べてくれた。

工芸と戦争と知恵を司る女神アテナ役のゼンデイヤなど豪華キャストが勢ぞろい photo by Melinda Sue Gordon [c] Universal Studios. All Rights Reserved.
工芸と戦争と知恵を司る女神アテナ役のゼンデイヤなど豪華キャストが勢ぞろい photo by Melinda Sue Gordon [c] Universal Studios. All Rights Reserved.

「こんな表現の仕方があったか…!と本当に勉強になりました」

本作では映画史上初となる全編IMAX撮影によって壮大な旅路を映像化。このように、ノーラン監督といえばビジュアルへのこだわりも持ち味の一つだ。漫画家としても「人ならざる者たちに対する表現の仕方のレパートリーの多さ」が参考になったという。

「異形のものは意外と少なかったというか、決して“異形”として描かれていないように感じました。じっくり見ると普通の人と変わらないところもあるのですが、観客に与える畏怖感が何パターンもあって、こんな表現の仕方があったか…!と本当に勉強になりました」と、独特のオーラを放つキャラクターの描き方への称賛を惜しまない。

ノーランの映像術はアジチカにとっても参考になったという [c] 2026 UNIVERSAL STUDIOS
ノーランの映像術はアジチカにとっても参考になったという [c] 2026 UNIVERSAL STUDIOS

ノーラン作品の魅力についても「いつも映画らしい豪華な画作りと出演者で、監督の名前を見ずとも、思わず映画館に足が向いてしまうような土台があって。そして観始めたら、寄木細工のように緻密に構成された脚本と丁寧な演出。たとえ何時間あったとしても1ミリも飽きることなく、夢中で観てしまうとんでもないクオリティが魅力だと思います。しかも、どの作品もおもしろすぎる。絶対におもしろいだろうなと確信しながら映画館に向かえるというのは本当に幸せすぎて大好きです」と熱弁する。

実際に船上での撮影を行うなど、ノーラン監督は徹底したリアリティを追求している [c] 2026 UNIVERSAL STUDIOS
実際に船上での撮影を行うなど、ノーラン監督は徹底したリアリティを追求している [c] 2026 UNIVERSAL STUDIOS

ちなみに、好きなノーラン作品を尋ねたところ、ヒュー・ジャックマン&クリスチャン・ベール共演の『プレステージ』(06)をピックアップ。「語り合える方があまり周りにいないのでみなさんにおすすめしたいです。全然性格は違いますが、『終末のワルキューレ』にも出てくるニコラ・テスラも登場しますし、読者の方で観ていない方がいらっしゃいましたら、いまからでもぜひ」と自作にも触れながら、19世紀末のロンドンを舞台に2人のマジシャンの因縁を描いた同作をプッシュしてくれた。

「『オデュッセイア』はバトル好き、神話好きな人にドンピシャのおもしろさ」

【写真を見る】トロイア陥落のシーンをはじめ大がかりな撮影がもたらす迫力はケタ違い! [c] 2026 UNIVERSAL STUDIOS
【写真を見る】トロイア陥落のシーンをはじめ大がかりな撮影がもたらす迫力はケタ違い! [c] 2026 UNIVERSAL STUDIOS

最後に、「終末のワルキューレ」ファンに向けて「読者の方々にはバトル好きな人と、神話好きな人が大勢いると思います。神話が好きな方は『オデュッセイア』はもうドンピシャのおもしろさなのですぐ観に行ってください。神話に詳しくないよという方も、バトルあり、冒険譚のような壮大さもあり、エンタテインメントとしてすごくおもしろい映画でしたので、それはもうすぐに観に行ってください」と『オデュッセイア』を激推しするアジチカ。その言葉通りの映画体験をぜひ劇場で味わってほしい。

文/サンクレイオ翼

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