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「秘密の花園」イートン校。 ジョージ王子が学ぶ英国名門校の知られざるルール11

  • 2026.9.8
Getty Images

2026年9月、ジョージ王子が英国屈指の名門寄宿学校イートン校へ進学する。父ウィリアム皇太子と叔父ヘンリー王子も学んだ約600年の歴史を持つ男子校には、燕尾服の制服や独特な言葉遣い、校則、伝統行事、成績評価などユニークな慣習が今も残っている。英国王室の未来を担う王子を待ち受ける、知られざるスクールライフを学校公式の「イートン用語集」などからご紹介!

Ken R. Goff / Getty Images

ジョージ王子もまもなく袖を通す、伝統の燕尾服

イートン校といえば、約600年の歴史を感じさせる燕尾服のユニフォーム。黒い燕尾服にベスト、ピンストライプのパンツ、カチッとした白い襟を合わせ、歴史ある校舎の間を若きジェントルマンたちが行き交う風景は、まるで時代映画や歴史小説の一場面のようにロマンティックだ。

ヴィクトリア朝時代から変わっていないように見えるイートン校の制服だが、実は少しずつ現代化されている。シルクハットは日常での着用は1964年に廃止されたほか、今日では定められた時間や校外ではカジュアルな服装も認められており、伝統的なスタイルを残しながら、着用ルールは時代に合わせて柔軟になっている。

写真/1995年9月6日、イートン校登校初日のウィリアム王子(当時)。

Max Mumby/Indigo / Getty Images

入学初日から25の寮の色と校内地図を暗記テスト

新入生を待ち受けるのが「カラーズテスト」と呼ばれる、25ある寄宿舎の色と、広大な校内に点在する建物の場所、イートン独自の古い名称を答える暗記テスト。ジョージ王子も入学早々、この洗礼を受けるとみられる。 卒業生で作家のヒューゴ・ヴィッカーズは、自身のテストで羊の消毒槽の場所まで知っていたため、出題者をいら立たせたとか。

写真/ジョージ王子。

Simon M Bruty / Getty Images

新入生はスマホ禁止。学校がガラケーを支給

イートン校は2024年9月以降、新入生にあたる第9学年の生徒たちのスマートフォンの校内持ち込みを禁止。代わりに、通話とテキストメッセージ程度しか使えないシンプルな端末を学校が支給する制度を導入している。もともとウェールズ皇太子家はデジタルデバイスの使用に慎重で、子どもたちには自分のスマホを持たせていないと明言しているため、ジョージ王子はこのルールにはすんなりとフィットできそうだ。

写真/ジョージ王子。未来の英国王がスマホデビューするのはもう少し先になりそう。

Ken Goff / Getty Images

素晴らしい課題は永久アーカイブへ、出来が悪ければ“破られる”

イートン校では、課題の評価にも独自の伝統があり、特に優秀だと評価された課題は「Sent Up for Good」に選ばれ、学校のアーカイブに永久保存される。一方、基準を大きく下回ると「Rip」とされ、生徒は寮長とチューターに課題を見せ、署名をもらわなければならない。その呼び方は、かつて課題用紙の上部を実際に破ったこと(rip)に由来するとか。

写真/学生時代のウィリアム皇太子。2000年撮影。

Karwai Tang / Getty Images

罰として寮の庭の草むしりをすることがある

イートン校で規則を破った生徒に待っている懲罰は極めて地道な作業。時には寮の庭の草むしりが課されることもあるという。実際には燕尾服のまま作業することはないだろうが、正装姿で黙々と草をむしる光景を想像すると、ちょっとシュール。

写真/ジョージ王子。果たして草むしりをやったことはあるだろうか?

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「6月4日」という名の行事なのに、6月4日には行われない

イートン校最大の学校行事「Fourth of June(6月4日)」はイートン校を支援した英国王ジョージ3世の誕生日を祝うために始まった。しかし現在は実際の6月4日ではなく、その日に近い都合のよい日に開催されるようになっている。

行事のハイライトは、選抜されたボート部のクルーが、生花で飾ったカンカン帽をかぶって木造ボートに乗り、川を進む水上行列。その華やかな光景は、イートン校の古風でロマンティックな世界観を象徴する瞬間だ。

写真/イートン校公式インスタグラムの「Forth of June」の紹介動画。

Karwai Tang / Getty Images

兄弟が同時に在学すると、名前に「兄」「弟」を示す記号が付く

公式文書で使われる生徒名には、兄弟が在籍している場合は「ma」「mi」が付けられる。maは年上、miは年下を意味し、同じ姓の兄弟を学校内で区別するという。ウィリアム皇太子とヘンリー王子は1998年から2000年まで約2年間を同時に同校で過ごしたため、規則上はそれぞれ「Wales ma」「Wales mi」と区別されたことになる。 ジョージ王子とルイ王子の場合は、学年が5つ違っているため、この珍しい表記も、二人には使われないとみられる。

写真/年齢差が約4年9カ月のジョージ王子とルイ王子。学年は5つ違い。

Tim Graham / Getty Images

1年を3つの“半分”に分ける、謎の学期割り

イートン校では学期を「half(半分)」と呼ぶ。これは当初は1年に3週間の休暇が2回だけの2学期制だったため。しかし現在の1年は、3学期制。そのためミカエルマス、レント、サマーという3つの“半分”で構成される、という不思議な感じに。イートン校では自らこの慣習について「ちょっと混乱するかもしれませんね」と認めている。

写真/イースター休暇をカナダで過ごすウィリアム皇太子とヘンリー王子。1998年撮影。

Ken Goff / Getty Images

ウィリアム皇太子も選ばれた、エリート組織「ポップ」

イートン校には、学業や人望、リーダーシップを認められた最終学年の生徒から選ばれる自治組織「ポップ」がある。メンバーには自由にデザインしたベストの着用など特別な服装が認められる。また校内の大通り、ロングウォーク沿いにある低い壁“ポップウォール”に座れるのも、メンバーだけに認められた特権のひとつ。ウィリアム皇太子や、同窓生の俳優トム・ヒドルストンもポップに選ばれていたと伝えられている。

写真/ポップのメンバーの証である象徴的なベストを着用したウィリアム皇太子。2020年撮影。

Chris Jackson / Getty Images

上級生なら、校内でお酒が飲める

校内には「Rowland’s Tap」、通称“タップ”と呼ばれる飲食スペースがあり、合法となる上級学年にはアルコール飲料も提供されるという。作家でジャーナリストのトム・サイクスはガーディアン紙で「私がアルコールに出会ったのは、14歳の時にイートン校でのことだった」と語っている。もちろん、これはサイクスの在学当時の話で、14歳は現在のタップでは対象外となる年齢だ。

写真/ウィリアム皇太子もビールの味を覚えたのはイートン校?

WPA Pool / Getty Images

Prideフラッグを校内に掲げる取り組みも

男子校として約600年の歴史を持つイートン校も、時代とともに価値観を更新している。2020年には校内にプライドフラッグを掲げ、LGBTQコミュニティへの理解を深めるシンポジウムを開催。現在は性的マイノリティに限らず、黒人やアジア系の歴史、ジェンダー、宗教、障がいなどを幅広く取り上げ、講演や討論、文化行事を通じて多様な背景や価値観について学ぶインクルージョン教育に力を注いでいる。伝統を守りながら社会の変化を受け入れるこうした姿勢は、同校が教育理念に掲げる「他者への共感」と「リーダーシップと奉仕」の現代的な実践ともいえるだろう。

写真/2019年、LGBTQ+の若者のホームレス問題に取り組む「アルバート・ケネディ・トラスト」を訪問したウィリアム皇太子。

Karwai Tang / Getty Images

これから5年間、父ウィリアム皇太子と叔父ヘンリー王子も学んだ学び舎で勉学に励むことになるジョージ王子。約600年受け継がれてきたユニークな伝統に触れながら、どのような青年へと成長していくのか楽しみだ。

SHOKO OGUSHI

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