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自分たちの指定席に座っていた男性。「ここ私たちの席みたいなんですが」と友人が勇気を出して、声をかけた結果

  • 2026.9.6

何度も確認した、指定席の番号

十年ほど前、友人と旅行に出かけたときのことです。

前の晩から楽しみでなかなか落ち着かず、当日の朝も待ち合わせ時間よりかなり早く着いてしまいました。

改札の前で写真を撮り、売店では同じ飲み物を買いました。それから私は、指定席の券を何度も確認していました。

「もう覚えたでしょ、その番号」

友人に笑われて、私も「分かってるけど」と笑いました。それでも号車の入口まで来ると、もう一度だけ券を見ました。

ところが通路を進み、自分たちの席の前まで行くと、一人の男性が座っていました。

私は思わず足を止めました。友人も隣で、自分の券を取り出しています。

「ここだよね?」

「うん。番号も合ってる」

日付も号車も席の番号も間違っていません。二人分の指定席を取っていることも、改めて確認しました。

それでも、すぐには声をかけられませんでした。

男性が席を間違えているだけかもしれません。それなのに、「そこは私たちの席です」と言うだけのことが、なぜかものすごく言いづらく感じたのです。

私と友人は顔を見合わせました。

「どっちが言う?」

「…じゃあ、私が言う」

私は券を手にしたまま、一歩前へ出ました。

「すみません、ここ私たちの席みたいなんですが…。2席とも指定席を取っていて」

男性は一瞬こちらを見ると、何も言わずに立ち上がりました。そして荷物を持ち、そのまま通路を歩いていきました。

あまりにもあっさり席を離れられたので、今度は私のほうが戸惑ってしまいました。

席に座ってからも、少し気になっていた

ようやく席に座ったものの、私はしばらく男性のことが気になっていました。

「言い方、きつくなかったかな」

「全然。普通だったよ」

友人はそう言いましたが、私はまだ少し落ち着きませんでした。

電車が動き始めてから、前の座席の背もたれにあるポケットを見ると、折りたたまれた小さな紙が残っていました。

先ほどの男性のものかどうかは分かりません。私は中を開かず、しばらくして通りかかった車掌さんへそのまま渡しました。

「この席に残っていました」

「ありがとうございます。お預かりします」

やり取りは、それだけでした。

結局、男性がなぜ私たちの席に座っていたのかは分かりません。

単純に番号を見間違えていたのかもしれませんし、別の理由があったのかもしれません。

その後は何事もなく、友人との旅行を楽しみました。

今振り返っても、一番印象に残っているのは男性が座っていたことより、声をかける直前の数十秒です。

自分の席だと分かっているのに、「間違っていたらどうしよう」「嫌な言い方になったらどうしよう」と考えて、なかなか一歩が出ませんでした。

今でも指定席へ向かうとき、誰かが自分の席に座っているのが見えると、あの日の友人との顔の見合わせ方をふと思い出します。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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