1. トップ
  2. エピソード
  3. 「50万円って、何のことですか?」妹夫婦との食事で止まった義弟の箸。数日後、僕の家に来た理由

「50万円って、何のことですか?」妹夫婦との食事で止まった義弟の箸。数日後、僕の家に来た理由

  • 2026.9.26

「お兄ちゃんなら当然でしょ」と言った妹

2年前の春、3つ下の妹から電話がありました。

結婚式と新生活の準備でお金が足りず、少し貸してほしいという相談でした。

僕は銀行で50万円を下ろし、封筒に入れて妹に渡しました。

貸すとは言ったものの、僕の中にはご祝儀のつもりもありました。

返ってこなくても仕方ないと思っていたのです。

ただ、妹が封筒を受け取ったときの言葉だけは忘れられません。

「お兄ちゃんなら、これくらい当然でしょ」

そう言ってバッグにしまい、そのまま結婚式の話を始めました。

「ありがとう」の一言はありませんでした。

それから2年。返済の話も、お礼の言葉もないままです。

盆や正月に顔を合わせても、僕からお金の話をすることはありませんでした。

返してほしいというより、あの日の態度を思い出すたび、少し寂しい気持ちになっていました。

「50万円って、何のことですか」

ある週末、妹の家に食事に呼ばれました。義弟が用意してくれた鍋を3人で囲み、結婚したころの話になりました。

僕が何気なく、「あのときの50万円も役に立ったならよかったよ」と口にすると、義弟の箸が止まりました。

「……50万円って、何のことですか?」

思わず妹を見ると、妹は黙ったまま目を伏せました。

義弟は少し戸惑った様子でしたが、「あとで二人で話します」とだけ言い、その場ではそれ以上聞きませんでした。

数日後、今度は義弟が一人で僕の家を訪ねてきました。

差し出された白い封筒には5万円と、手書きの紙が1枚入っていました。

「毎月5万円ずつ、今回を含めて10回でお返しします」

その下には10回分の返済予定日が並んでいました。

「知らずにすみませんでした。夫婦のことなので、二人で返します」

義弟はそう言って頭を下げました。そして、妹から50万円のことを聞いたと教えてくれました。

「本人も、『50万円も出してもらったのに、ありがとうも言わなかった』って言っていました。ずっと言い出せなかったみたいです」

その夜、妹からメッセージが届きました。

「お兄ちゃん、ありがとう。ごめんね」

2年たって、初めて妹自身から届いたお礼でした。

僕は少し考えてから、「今度、ほかの式の写真も見せて」と返信しました。

引き出しにしまった封筒を見ながら、ようやくあの日から止まっていたものが、少しだけ動き出した気がしました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ