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「電車、本当に1時間半こないよ」知らない無人駅で怯えて待っていた電車。だが、母の優しさと乗客の一言に心温まった

  • 2026.9.6
「電車、本当に1時間半こないよ」知らない無人駅で怯えて待っていた電車。だが、母の優しさと乗客の一言に心温まった

知らない駅で、目が覚めた

学生のころ、学校からの帰りに電車で寝過ごしたことがあります。

目が覚めて窓の外を見ると、そこは自宅の最寄り駅ではありませんでした。

慌てて電車を降りると、そこは改札に誰もいない小さな駅でした。

ホームには屋根と細長い明かりがひとつ。その先の線路も、駅の外へ続く道も暗く、私は急に心細くなりました。

時刻表を確認すると、戻る方向の電車は一時間半後です。

「え、そんなに来ないの?」

見間違いかと思い、時刻表を指でなぞりながら何度も確認しました。それでも時間は変わりません。

不安になり、母へ電話をかけました。

事情を話すと、母も時刻を調べてくれました。

「電車、本当に1時間半こないよ。そのまま電話つないでおこう」

外では小雨が降っていました。私は屋根のある明かりの下から動かず、携帯を耳に当てたまま母と話しました。

学校のことや、明日の朝ごはんのこと。普段ならわざわざ話さないようなことを、途切れ途切れに話していました。

一時間半後に来た、二両の電車

電車は、本当に一時間半後にやってきました。二両だけの短い電車です。

乗り込んだ車両には誰もいませんでした。

ようやく帰れることにほっとして座り、濡れた傘を畳んで座席の横に立てかけました。

母との電話は、そのままつながっていました。

次の駅で、三人が乗ってきました。もう一つの車両には誰もいないのに、三人はこちらへ来て、斜め向かいのドアの前に座り込みました。

袋からカップ麺を取り出し、一人が言いました。

「まだ熱いから、3分くらい待っとけよ」

知らない土地の夜で、車内にいるのは私と三人だけです。

何かをされたわけでもないのに、私は急に緊張しました。

母には小さな声で返事をしながら、鞄を抱えて身を縮めていました。

けれど、三人はこちらを気にする様子もありません。

聞こえてくるのは、テスト範囲がどこまでなのかという話ばかりでした。

「そこまで入るって言ってたやろ」

「いや、次からじゃなかった?」

そんな話をしばらく続けたあと、一人は眠ってしまいました。

残った二人も、起こさないようにするように少しずつ声を落としていきました。

あと三駅。そう分かっているのに、その日は一駅一駅がやけに長く感じられました。

降りる直前に、こちらを向いた一人

最寄り駅のひとつ手前で、三人が立ち上がりました。

そのまま降りていくのだと思っていると、一人が扉の前で振り返りました。

「傘、そこに置いたままですよ」

見ると、座席の横には私の傘が立てかけたままになっています。

「あっ…ありがとうございます」

慌てて傘を手に取ると、三人はそれ以上何も言わずに降りていきました。

ずっと警戒していたことが、少し恥ずかしくなりました。

最寄り駅で電車を降りても、母との電話はまだつながっていました。

「もう着いた?」

「うん、今着いた」

返事をしながらホームの明かりを見上げると、さっき一時間半を過ごした無人駅にあったものと、よく似た形をしていました。

振り返ると、あの夜いちばん長く感じたのは、一時間半待ったホームよりも、三人と同じ車両で過ごした三駅だった気がします。

結局、何も起きませんでした。それどころか、忘れかけていた傘まで教えてもらいました。

あのときの傘は、今も家にあります。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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