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「並ばないなら買うな」と行列で言い放った私が、1年後、同じ列で娘を抱えて立ち尽くした話

  • 2026.9.5
ハウコレ

列に戻れずにいた私へ「順番、ここで合ってますよ」と声をかけてくれた女性。その横顔は、私が強い言葉をぶつけた相手でした。

行列の最後尾に着いた途端、抱っこ紐の中で娘が泣き出しました。

正しいのは私のほうだと思っていました

駅前のパン屋には、限定の食パンを求めて長い行列ができます。独身だった頃の私も、その列の常連でした。ある日、スマホから顔を上げると、前にいたはずの子連れの女性が、横から列に戻ってくるところでした。割り込みにしか見えませんでした。私は迷わず言いました。「並ばないなら買うな」。周囲の視線が集まる中、彼女は「すみません」とだけ言って、男の子の手を引いて最後尾へ下がっていきました。列を守った私が正しい。その日はずっと、そう思っていました。

同じ列で、娘が泣き出しました

あれから1年。娘を産んだ私は、あの食パンを家でも食べようと思い、同じ列に並びました。ところが、順番が近づく前に娘が泣き始めたのです。あやしても収まらず、私は列を離れて店の脇へ移りました。娘が落ち着いた頃には、列は進み、自分のいた位置には別の人が並んでいます。戻っていいのか分からず、私は列の横で足を止めたままでした。後ろのほうから向けられる視線が、あの日の自分の目と重なりました。

「順番、ここで合ってますよ」

そのとき、列の中ほどにいた女性が私を手招きしました。「順番、ここで合ってますよ」。自分の前を空けて、そう言ってくれたのです。お礼を言おうと顔を上げた瞬間、あの日のことを思い出しました。私が責めた人でした。娘を抱えたまま、頭を下げました。「あの時は、ひどいことを言いました」。彼女は首を振って言いました。「私も、あの時は余裕がなかったんです」。あの日は、息子さんの靴が列の外へ転がり、拾いに離れただけだったと教えてくれました。私は事情を確かめもせず、責めていたのです。

そして...

食パンを2つ買い、店の前で彼女と少しだけ話しました。今の私は、列で子どもを抱えて立ち往生している人を見かけたら、先に「どうぞ」と場所を空けるようにしています。正しさを口にする前に、事情を聞く。あの日もらった一言を、今度は私が渡す番だと思っています。

(20代女性・会社員)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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