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奈良・吉野の山奥になぜ行列が? 86歳の元寿司職人が独学で作り上げた絶品“塩ラーメン”とこだわりの“マグロ丼”

  • 2026.4.15

街のおいしい店に潜入し、店主の人柄からにじみ出る人気の秘密を発見するシリーズ「実録!人情食堂」。今回は、山奥にあるにもかかわらず、営業日には行列が絶えないラーメン店を取材しました。

©ABCテレビ

奈良県・吉野町、近鉄吉野駅から車で10分、細い山道を進んだ先に突然現れるのが「ラーメン河」です。営業時間は午前10時から正午までのたった2時間で、しかも年間およそ150日しか営業しません。

それでも、開店前にはすでに店頭で待つお客さんがチラホラ。前日から並ぶ人もいるほどの人気ぶりで、大阪や愛知など遠方からのお客さんや、バイクツーリングの常連さんも数多くやって来ます。

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看板の塩ラーメンは1日50食限定。透き通ったスープが特徴で、「もったいなくて残せない」とお客さんも思わず飲み干してしまうほどのおいしさ。あっさりしながらも奥深く、ゆずの香りがアクセントを添えます。そして、もうひとつの名物がなんとマグロ丼。40食限定で、ラーメンとセットで頼む人が多いそうです。

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この味をひとりで守るのが、店主の長田亜起男さん(86)。もともと大阪で寿司店を営んでいましたが、50歳で店を畳んで吉野に移住。そして18年前の2008年、以前から興味があったというラーメンのお店を開きました。

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【動画】店舗は自宅の1階、元ガレージを改装。基礎から内装までひとりで手がけ、ラーメン作りも独学で味を追求。唯一無二の塩ラーメンを完成させました。

お店の定休日の早朝、長田さんの姿は大阪・鶴橋にありました。マグロを仕入れるため、40年来の付き合いのマグロ店にやって来たのです。長田さんのマグロの目利きは、お店の人も一目置くほど。さらに精肉店にも立ち寄り、鹿児島産のブランド豚・三味豚のブロック肉から、脂の少ない「真ん中だけ」を買うなど、食材に妥協はありません。

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営業日の仕込みも早朝から始まります。スープは鶏をメインに鰹節や昆布を合わせ、「魔法の石」をお鍋の中でクルクル。その正体は秘密ながら、これを入れてスープを作ると、味が「まろやかになる」のだそうです。味の決め手となる「かえし」は11種類の調味料などを独自にブレンド。こちらも何が入っているかは秘密とか。

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マグロ丼のマグロは、目利きで仕入れた背の部分の赤身を大きめのぶつ切りに。海なし県の奈良で、おいしいマグロが食べられることを喜ぶお客さんに、「店の前の川で獲れた」と冗談を言ったら「本気にしてた人がおった」と笑う長田さん。そんな店主の茶目っ気も「ラーメン河」の魅力のひとつです。

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開店時間の10時になると、長田さんは大忙し。立ちっぱなしでラーメンを作り続けます。怒濤の2時間営業をひとりでこなせるのは、長田さんを気遣う常連客の存在があるから。「勝手にやってることです」と笑いながら、食器洗いやテーブルの掃除、お会計などを無償で手伝うやさしい常連さんたちが、長田さんを陰で支えています。

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春も近いある日、取材スタッフを外に連れ出した長田さんが、近くにある5本の桜の木を見せてくれました。これは、3年前に他界した妻・美智子さんが35年前に植えたもの。長田さんは今年も開花を楽しみにしています。

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大の愛犬家だった美智子さん。犬がストレスなく遊べる場所を求め、移住先に選んだのが吉野でした。多いときで47頭を飼っていたこともあり、大きな犬舎で大事に育てていましたが、美智子さん亡き後、その後を追うように次々と亡くなってしまいました。

最愛の妻を亡くし、心にぽっかり空いた穴を埋めたのは、遠くから足を運んでくれるお客さんたちでした。長田亜起男さん、86歳。「まだ2〜3年やりたい。90歳になってもできます」と、まだまだおいしいラーメンとマグロ丼を作り続けます。

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「実録!人情食堂」は、4月6日(月)放送の『newsおかえり』(ABCテレビ 毎週月曜〜金曜午後3:40〜)で紹介しました。

『newsおかえり』YouTubeチャンネルで配信中

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