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「治療費だって払ってもらうからな」商店街の店先で転んだ客。濡れた歩道で起きた思わぬトラブル

  • 2026.9.5

隣から流れてきた水で、店先が濡れていた

商店街の中にある小さな店で働いていたころのことです。朝になると、それぞれの店が開店前に店先を掃除していました。

隣の店は水を流して床を洗い、うちは箒で掃くのがいつものやり方でした。歩道にはわずかな傾斜があり、隣で使った水がうちの前まで流れてくることがあります。

その日も、店先の一部がまだ濡れていました。晴れていたので、そのうち乾くだろうと思い、私は店の中で開店準備を続けていました。

しばらくすると、外から大きな音がしました。

慌てて出ると、年配の方が歩道に膝をついていました。買い物かごが少し離れたところに転がっています。隣の店の方も、すぐに外へ出てきました。

「大丈夫ですか。どこか痛みませんか」

二人で声をかけると、その方は私の腕につかまりながら、ゆっくり立ち上がりました。目立った外傷は見当たりませんでしたが、驚いた様子で何度も足元を見ています。

「こんなところ、濡れてるなんて分からなかったよ」

私は「申し訳ありません。中で少し休まれますか」と声をかけました。

怒った声で、治療費の話が出た

すると、その方は濡れた歩道を指さし、急に声を強めました。

「店の前で転んだんだぞ。もしケガしてたらどうするんだ」

少し間を置いて、さらにこう言われました。

「治療費だって払ってもらうからな」

突然の言葉に驚きましたが、言い返すことはしませんでした。まずは今の状態を確認するほうが先だと思ったからです。

「今、痛むところはありますか。歩くのは大丈夫そうですか」

その方は膝を曲げたり足を動かしたりしてから、「今のところは大丈夫だ」と答えました。

隣の店の方も「こちらで水を使ったので、何かありましたら連絡してください」と言い、店の連絡先を書いた紙を渡しました。

その方は紙を受け取ると、しばらく黙っていました。

「……まあ、今は痛くないからいいけど。気をつけてくれよ」

「はい。すみませんでした」

その後、その方は自分で歩いて商店街の奥へ向かわれました。後日、店に連絡が入ることもありませんでした。

それからは、水が残っていないか確かめるようになった

その日のうちに、隣の店の方と店先の掃除について話しました。

「思ったより、こっちまで水が流れてたんですね」

隣の方も気にしていたようで、「明日から流す量を減らします」と言ってくれました。

私も、それまでは「どうせすぐ乾く」と深く考えていませんでした。しかし、少し濡れているだけでも、歩く人にとっては危ないことがあります。

それからは、隣で水を使ったあとは、うちの店先まで流れてきていないか確認するようになりました。残っていれば、開店前にモップで拭き取ります。

あの日、強い言葉を向けられたことには驚きました。それでも、まず相手の状態を確認し、必要な連絡先を渡したことで、大きな言い争いにはならずに済みました。

何も起きなかった朝ほど、足元まで気にする必要がある。店先を掃除するたび、今でもあの日のことを思い出します。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた50代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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