1. トップ
  2. カルチャー・教養
  3. 「マリー・アントワネット・スタイル」が横浜美術館で華やかに開催中

「マリー・アントワネット・スタイル」が横浜美術館で華やかに開催中

  • 2026.9.3

「今推しの展覧会」

フリーキュレーターのSEIJIです!

最近は、美術館の展覧会に様々な工夫やサプライズを感じます。そんな美術館の現在をコラムにしてお届けする「今推しの展覧会」。今回、私をググッと惹き付けたのは気品あふれる姿とゴージャス感が満ち溢れたマリー・アントワネットの展覧会でした。

コートドレスのマリー・アントワネット フランソワ゠ユベール・ドルーエ 1773年 ヴィクトリア&アルバート博物館蔵

歴史上にひときわ輝くファッショナブルな王妃の刺激的な展覧会「マリー・アントワネット・スタイル」が横浜美術館で華やかに開催中!

歴史上もっともファッショナブルな王妃とされている、オーストリア皇女マリー・アントワネット。時代のファッション・アイコンとなった彼女の装いやインテリアは、18世紀から現代にいたるまで、ファッションやデザイン、映画など多様な分野に影響を与えました。

横浜美術館で開催中の「マリー・アントワネット・スタイル」では、あらゆる点で新しい様式(スタイル)をうちたてていったマリー・アントワネット王妃の革新性と人物像に迫っています。

「マリー・アントワネット・スタイル」展示風景(横浜美術館、2026 年)

日本初公開を含む約200点の華麗なる展示

同展では、マリー・アントワネットがつくりあげた「スタイル」が、いかに時代を超えて人びとを魅了し、そして今日のクリエーターたちにも示唆を与え続けているかを知ることができます。

ドレス、ジュエリー、家具、絵画や版画、写真など、日本初公開を含む約200点で構成された展示空間は華やかなムード。V&A(ヴィクトリア&アルバート博物館)企画の世界巡回展に、国内の関連作品も加えた日本オリジナルの展示であることも一見の価値ありなのです。

Victoria and Albert Museum(ヴィクトリア&アルバート博物館)とは

英国の国立博物館のひとつで、1852年に産業博物館として開館。ヴィクトリア女王と夫アルバート公によって基礎が築かれたことから1899年に現在の名称に。幅広い時代と分野にわたる280万点以上の収蔵品を通して、5,000年を超える人類の創造の歴史をふり返り、新しい物語を発信しています。

「マリー・アントワネット・スタイル」展示風景(横浜美術館、2026 年)

王妃が経験した人生と末路

マリー・アントワネットは、14歳で王太子妃としてフランスに嫁ぎました。以来、宮廷に新たな視点をもちこみながら、ルイ16世下フランスにおける高級産業、とりわけファッションと織物産業の発展に多大な影響を与えました。

植民地と奴隷制を基盤とした国際的なプレゼンスに加え、文化においても中心的な役割を担っていた当時のフランスで、マリー・アントワネットは、堅苦しい宮廷の慣習に挑み、あらゆる面でみずからの意向を形にしていったのです。

その意向は、衣裳のみならずインテリアから音楽、ライフスタイルまで、よりシンプルで洗練された王妃の趣向は、またたく間に国内外で流行しました。

しかしその一方で、マリー・アントワネットのスタイルは斬新ゆえに取り沙汰され、民衆には想像もつかないほどの贅沢の象徴と受けとめられるようになっていったのです。

革命の気運が高まるなか、マリー・アントワネットは次第に反体制派の標的となり、ギロチンへと導かれていきました。

皇后ウジェニー ピエール゠ポール・アモン 1850年代 東京富士美術館蔵
ガーランドスタイル・ストマッカー ショーメ 1906年頃 個人蔵(協力:アルビオンアート ジュエリー インスティテュート)

マリー・アントワネットが残したものとは

悲運の生涯を閉じたマリー・アントワネットですが、その威光は死後も人びとの記憶のなかに生き続けました。

ナポレオン3 世の后ウジェニーを筆頭に、19世紀には王党派の支持者たちが彼女のスタイルを懐かしみ愛しんだのです。

一方、ブルジョワたちは、家柄の正当性を主張すべく、マリー・アントワネット風の装いやインテリアを自らの生活の中に取り入れていきました。

こうしてつくられた気運は、マリー・アントワネット王妃に関わる品々が各国で収集される一因にも。

マリー・アントワネットの装いは仮装舞踏会の人気のテーマとなり、ときに物語の主人公にも重ねられ、そのイメージは数々の出版物を通じて世界に広まっていきました。

20 世紀初頭までに、マリー・アントワネットとその美意識は、ひとつの偶像として確立されました。

マリー・アントワネットの肘かけ椅子(4点組の1点)ジャン゠バティスト゠クロード・スネ 1788年 ヴィクトリア&アルバート博物館蔵

マリー・アントワネット・スタイル

華やかさと悲劇に象徴されるマリー・アントワネットのイメージは、いまなお人びとを魅了し続けています。

同展では、マリー・アントワネットがつくりあげた「スタイル」にさまざまなかたちでインスピレーションを得た現代のクリエーターたちが手がけたファッション、デザイン、映画、音楽など様々なジャンルの作品を鑑賞できます。

「マリー・アントワネット・スタイル」展示風景(横浜美術館、2026 年)

なかでも、パステルカラーやリボンなどマリー・アントワネットの好んだドレスのシルエットを採り入れたファッションは、洗練とともに、退廃や破壊、さらには「女性らしさ」への問いかけや多様性など、現代社会の課題にまで視点を広げています。

同展では、女優として活躍している中条あやみさんが展覧会アンバサダーに就任。時代を超えて愛されるマリー・アントワネットの「スタイル」の魅力を紹介しています。展覧会がいっそう華やかに感じられる演出ですね!

「マリー・アントワネット・スタイル」展示風景(横浜美術館、2026 年)
マリー・アントワネット旧蔵の天然真珠とダイヤモンドの3 連ネックレス フランス製 18世紀後半 ハイディ・ホルテン・コレクション、ウィーン

「いいアートとの出会いは、きっとあなたの心を豊かにしてくれるでしょう」by SEIJI。

展覧会の期間は2026年11月23日(月・祝)まで。展覧会の詳細は下記のURLからご覧ください。

https://www.marie2026.jp

プロフィール/SEIJI(小太刀正史)

フリーキュレーター。MeDEL個人事務所主催。学芸員の目線から美術館の情報を発信する活動を始める。自身もオブジェ作家として活動歴あり。

OBJECT東京展入選 From A The art日本オブジェ部門佳作 日本文化デザイン会議

ETDA展参加など

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ